世界一わかりにくい算数(小学校6年_数と計算編)
1.日本のカリキュラム
日本のカリキュラムは、整理すると次のようになります。
(以下のサイトを参考にしています。)
内容を私なりにまとめると以下のようになります。
(A.数と計算)
文字と式
分数のかけ算(分数×整数、分数×分数)
分数の割り算(分数÷整数、分数÷分数)
小数と分数の混ざった計算
小数×小数、小数÷小数の分野につきましては「小学校5年_数と計算編」ではなく、小学校6年にもってきました。これは小数も分数の一部とみて説明したほうがいいのではないかと考えているためです。
代わりに分数×整数は「小学校5年_数と計算編」にて説明済みです。
「文字と式」は軽く触れますが、本格的には中学生になってからとなります。
2.米国のカリキュラム
世界大学ランキングで上位を占める大学が多い米国を参考にします。
ソースはカーンアカデミーを参考にしています。
5th grade 、6th grade を参考にしています。
5th grade
1)分数のかけ算
2)分数の割り算
3)小数のかけ算
4)小数の割り算
6th grade
1)有理数の計算
3.理解と社会的実践
(1)分数÷整数
〇 意味で考える
$${\frac{2}{3}}$$÷3 について考えてみます。
$${\frac{2}{3}}$$を3等分しようとしてもピンとこないと思います。
そこでこの分数をさらに分割して、3で割りやすい数にしたいと思います。
割っている数である3を$${\frac{2}{3}}$$の分母と分子にかけてみます。同じ数を分母と分子にかけているので表す量自体は変わりません。
$${\frac{2×3}{3×3}}$$=$${\frac{6}{9}}$$ となり$${\frac{1}{9}}$$が6つあります。
$${\frac{1}{9}}$$が6つという数を3等分するので、6÷3=2を計算して、$${\frac{2}{9}}$$が答えとなります。この計算は、6÷3=$${\frac{6}{3}}$$なので分母に3がいく計算と考えられます。
ここまでの流れを式で表してみます。
$${\frac{2}{3}}$$÷3=$${\frac{2×3}{3×3}}$$÷3=$${\frac{2×3}{3×3×3}}$$
分子と分母の共通の数を消すと、
=$${\frac{2}{3×3}}$$=$${\frac{2}{9}}$$ となります。
これは分数÷整数=$${\frac{分子}{分母×整数}}$$と計算できるということを意味しています。
[算数の問題]
$${\frac{1}{3}}$$Lの水を5本のペットボトルに分けるとき、1本あたり何L分けることができますか(答えは分数で表してください。)
(答え)
$${\frac{1}{3}}$$を5等分するので、1本あたりの水の量は、
$${\frac{1}{3}}$$÷5で計算できます。$${\frac{1}{3}}$$÷5=$${\frac{1}{3×5}}$$
=$${\frac{1}{15}}$$ $${\frac{1}{15}}$$Lが答えとなります。
(2)分数×分数
〇 式を分解する
$${\frac{2}{5}}$$×$${\frac{3}{4}}$$ について考えてみます。
$${\frac{3}{4}}$$=3÷4 なので、
$${\frac{2}{5}}$$×$${\frac{3}{4}}$$は$${\frac{2}{5}}$$に対して、
①3をかけて、②4で割る計算をすることになります。
① 3をかける
「(3)整数×分数」で見たように、整数×分数は
$${\frac{分子×整数}{分母}}$$となるので、
$${\frac{2}{5}}$$×3=$${\frac{2×3}{5}}$$ となります。
② 4で割る
次に $${\frac{2×3}{5}}$$÷4 は分数÷整数が$${\frac{分子}{分母×整数}}$$となるので、$${\frac{2×3}{5×4}}$$となります。
つまり$${\frac{2}{5}}$$×$${\frac{3}{4}}$$=$${\frac{2×3}{5×4}}$$ となるので、
分数×分数=$${\frac{分子どうしのかけ算}{分母どうしのかけ算}}$$となります。
[算数の問題]
(問1)
以下を計算してください。答えは〇$${\frac{△}{□}}$$の形で表してください
① 3×$${2\frac{2}{5}}$$
② $${\frac{4}{5}}$$×$${2\frac{2}{3}}$$
(問2)
$${\frac{2}{3}}$$Lの水の$${\frac{3}{5}}$$を使用しました。使用した水の量は何Lでしょうか。
(問3)
1辺が$${\frac{2}{7}}$$cmの正方形があります。
面積は何$${cm^2}$$でしょう。
(答え)
(問1)
① 3×$${2\frac{2}{5}}$$=3×$${\frac{12}{5}}$$
=$${\frac{36}{5}}$$=7$${\frac{1}{5}}$$
② $${\frac{4}{5}}$$×$${2\frac{2}{3}}$$=$${\frac{4}{5}}$$×$${\frac{8}{3}}$$
=$${\frac{4×8}{5×3}}$$=$${\frac{32}{15}}$$=$${2\frac{2}{15}}$$
(問2)
使用した水の量は$${\frac{2}{3}}$$×$${\frac{3}{5}}$$で計算できます。
$${\frac{2}{3}}$$×$${\frac{3}{5}}$$=$${\frac{2×3}{3×5}}$$
=$${\frac{2}{5}}$$ $${\frac{2}{5}}$$Lの水を使用しています。
(問3)
正方形なので、縦も横も同じ長さとなります。
そのため面積は$${\frac{2}{7}}$$×$${\frac{2}{7}}$$で計算でき、
$${\frac{2×2}{7×7}}$$=$${\frac{4}{49}}$$
したがって面積は、$${\frac{4}{49}}$$ $${cm^2}$$となります。
(3)分数で割る計算
〇 式で考える
6÷$${\frac{2}{3}}$$について考えてみます。
分数÷整数=$${\frac{分子}{分母×整数}}$$とおなじように分母に
$${\frac{2}{3}}$$を持っていきます。
6÷$${\frac{2}{3}}$$=$${\frac{6}{\frac{2}{3}}}$$
ここで分子と分母に3をかけます。
$${\frac{6×3}{\frac{2}{3}×3}}$$=$${\frac{6×3}{2}}$$=$${\frac{18}{2}}$$=9 と計算できます。
6÷$${\frac{2}{3}}$$=$${\frac{6×3}{2}}$$ となっていますが、
$${\frac{2}{3}}$$の分子と分母を逆にした$${\frac{3}{2}}$$ががかっているとみることができるます。この分子と分母を逆にした数を逆数というので、
分数÷分数は逆数にしてかけ算をしているとみることができます。
〇 意味で考える(分数で割るとは逆数のかけ算になる点について)
割り算には2つの意味があると説明したことがありますが、これまであまり使われてこなかった包含除の考え方を使って考えてみたいと思います。
3÷$${\frac{1}{3}}$$ とシンプルな例で考えてみます。
包含除で考えると、「3には$${\frac{1}{3}}$$がいくつ含まれるか」と考えることができます。
すると1には$${\frac{1}{3}}$$が3つ含まれるので、その3倍で
$${\frac{1}{3}}$$は9つ含まれることとなります。
3÷$${\frac{1}{3}}$$=3×3=9
このように$${\frac{1}{3}}$$で割ることは、その逆数の3がかけられることとなります。
ちなみに3÷$${\frac{2}{3}}$$についても考えてみると、
3を①2で割って、②$${\frac{1}{3}}$$で割っていると考えることができ、$${\frac{3×3}{2}}$$ となり、やはり逆数がかかっていることが分かります。
〇 整数の計算を分数で考える
ここで整数どうしの計算も分数の計算に当てはめることができることを確認したいと思います。
足し算と引き算について、分数の計算では「分母をそろえて足し算や引き算」をします。
整数は最初から分母が1でそろっていると考えると、整数の足し算と引き算も分数の計算と同じ方法で計算できることが分かります。
1+2=$${\frac{1}{1}}$$+$${\frac{2}{1}}$$=$${\frac{1+2}{1}}$$=3
2-1=$${\frac{2}{1}}$$-$${\frac{1}{1}}$$=$${\frac{2-1}{1}}$$=1
分数の計算でかけ算は
$${\frac{分子どうしのかけ算}{分母どうしのかけ算}}$$となります。
3×2=$${\frac{3}{1}}$$×$${\frac{2}{1}}$$=$${\frac{3×2}{1×1}}$$=6
分数のかけ算の方法は整数でも成り立っています。
分数の計算で割り算は分数×逆数となります。
6÷3=$${\frac{6}{1}}$$÷$${\frac{3}{1}}$$=$${\frac{6}{1}}$$×$${\frac{1}{3}}$$
=$${\frac{6×1}{1×3}}$$=2
分数の割り算の方法は整数でも成り立っています。
また「÷(整数)」という計算と「×$${\frac{1}{整数}}$$」が同じであることも分かります。
これまで確認したように、整数どうしの計算も分数の計算に当てはめることができ、分数の計算は整数の計算も含むより広い計算方法だと考えることができます。
〇 分子と分母に同じ数を掛けたり、割ったりしても量は変わらない
これまで「分数の分子と分母に同じ数を掛けたり、割ったりしても量は変わらない」ということを説明してきました。
この理由は「1をかけているため」です。それでは計算からこのことを確認したいと思います。
$${\frac{3}{2}}$$×1 は$${\frac{3}{2}}$$で変わりません。
1 は分数で表すと$${\frac{〇}{〇}}$$でこの〇には同じ数が入ればよいので、整数や分数を入れてみます。
例えば〇に整数を入れてみると
$${\frac{3}{2}}$$×1=$${\frac{3}{2}}$$×$${\frac{3}{3}}$$
=$${\frac{9}{6}}$$ のようになり分子と分母に同じ数をかけることは、1をかけることになるので量としては変わらないということになります。
次に〇に分数を入れて $${\frac{10}{15}}$$×1
=$${\frac{10}{15}}$$×$${\frac{\frac{1}{5}}{\frac{1}{5}}}$$
について考えてみます。
「×$${\frac{1}{5}}$$」は「÷5」と同じ計算になります。
つまり$${\frac{10}{15}}$$×$${\frac{\frac{1}{5}}{\frac{1}{5}}}$$
=$${\frac{10÷5}{15÷5}}$$=$${\frac{2}{3}}$$ となります。
分子と分母を同じ数で割ることは、1をかけることになるので量としては変わらないということになります。
ここまでいろいろ説明してきましたが、毎回これらの理屈を考える必要はないので、理屈が大体分かったら、
分数×分数は$${\frac{分子どうしのかけ算}{分母どうしのかけ算}}$$、
分数÷分数は分数×逆数となると記憶して問題を解いて慣れていってもらえればと思います。
[算数の問題]
(問1)
3の中に$${\frac{1}{8}}$$はいくつあるでしょうか。
(問2)
計算してください。答えは〇$${\frac{△}{□}}$$の形で表してください。
① $${3\frac{3}{4}}$$÷$${\frac{5}{7}}$$
② $${\frac{4}{5}}$$÷10
(問3)
荷物が7kgあります。台車1台で$${\frac{1}{4}}$$kgづつ運ぶとき、台車は何台必要でしょうか。
(答え)
(問1)
割り算の包含除の考え方の確認です。
$${\frac{1}{8}}$$が8つあれば1で、それが3だと3×8=24 と計算できます。
もちろん3÷$${\frac{1}{8}}$$=3×8=24 と計算しても同じ答えとなります。
(問2)
① $${3\frac{3}{4}}$$÷$${\frac{5}{7}}$$=$${\frac{15}{4}}$$÷$${\frac{5}{7}}$$
=$${\frac{15}{4}}$$×$${\frac{7}{5}}$$=$${\frac{15×7}{4×5}}$$
=$${\frac{3×5×7}{2×2×5}}$$=$${\frac{21}{4}}$$=$${5\frac{1}{4}}$$
② $${\frac{4}{5}}$$÷10=$${\frac{4}{5}}$$÷$${\frac{10}{1}}$$
=$${\frac{4}{5}}$$×$${\frac{1}{10}}$$=$${\frac{2×2×1}{5×2×5}}$$
=$${\frac{2}{25}}$$
(問3)
(台車1台で運ぶ重さ)×(台数)=(全荷物の重さ)なので
(台数)=(全荷物の重さ)÷(台車1台で運ぶ重さ)=7÷$${\frac{1}{4}}$$=7×4=28
答えは28台となります。
(4)小数のかけ算と割り算
〇 小数×小数
0.43×0.8 を例に小数×小数について計算し、答えを小数で表したいと思います。
まず小数を分数にします。そして分数×分数の考え方を利用します。
$${\frac{43}{100}}$$×$${\frac{8}{10}}$$=$${\frac{43×8}{100×10}}$$
=$${\frac{344}{1000}}$$=0.344 となります。
答えを小数で表したいときは、10倍や100倍が上手く分母に来るようにすると計算が楽になります。
もちろん約分して割り算をしても答えは同じとなります。
〇 小数÷小数
0.42÷0.3 を例に小数÷小数について計算し、答えを小数で表したいと思います。
まず小数を分数にします。そして分数÷分数の考え方を利用します。
$${\frac{42}{100}}$$÷$${\frac{3}{10}}$$
=$${\frac{42}{100}}$$×$${\frac{10}{3}}$$=$${\frac{42×10}{100×3}}$$
=$${\frac{42×10}{100×3}}$$=$${\frac{2×3×7×10}{3×10×10}}$$
=$${\frac{14}{10}}$$=1.4 となります。
10や100については10×10×…の形にして計算すると上手く消しあうことができることがあります。
思いつかなかったら約分しきってから計算することももちろん可能です。
$${\frac{14}{10}}$$=$${\frac{7}{5}}$$=7÷5
①1桁目の数は2だと7を超えるので1となります。7-5×1=2 となるので、小数を使って2に近い数を探します。
②小数第一位のケタを4とすると 5×0.4=2 となります。
7=5+2=5×1+5×0.4=5×1.4 より答えは1.4となります
〇 分数と小数が入り混じった計算
分数も小数も含まれるような計算があります。
そんな時でも以下の2点をおさえておけば計算することができます。
① 小数は分数にできること
② 「かけ算と割り算」は「足し算と引き算」より先に行うといった計算順番を守ること
(忘れた人は「(5)計算の順番」をもう一度確認してください。)
[算数の問題]
(問1)
以下の計算をして答えを小数で表してください。
① 0.1×0.1
② 0.9×0.7
➂ 152.6×3.9
(問2)
以下の計算をして答えを小数で表してください。
① 2÷5
② 720÷0.8
➂ 0.42÷0.3
④ 1.615÷0.19
(答え)
(問1)
① 0.1×0.1=$${\frac{1}{10}}$$×$${\frac{1}{10}}$$
=$${\frac{1×1}{10×10}}$$=$${\frac{1}{100}}$$=0.01
② 0.9×0.7=$${\frac{9×7}{10×10}}$$=$${\frac{63}{100}}$$=0.63
➂ 152.6×3.9=$${\frac{1526×39}{10×10}}$$
分子=1526×39=1526×(30+9)=1526×30+1526×9
=(1000+500+20+6)×30+(1000+500+20+6)×9
=30000+15000+600+180+9000+4500+180+54
=59514
$${\frac{1526×39}{10×10}}$$=$${\frac{59514}{100}}$$=595.14
(問2)
① 2÷5=$${\frac{2}{5}}$$=$${\frac{2×2}{5×2}}$$=$${\frac{4}{10}}$$=0.4
または2÷5は1桁目の数が0なので、小数第一位で考えて、5×0.4=2と考えてもよいです。
② 720÷0.8=720÷$${\frac{8}{10}}$$=720×$${\frac{10}{8}}$$
=$${\frac{8×90×10}{8}}$$=900
➂ 0.42÷0.3=$${\frac{42}{100}}$$÷$${\frac{3}{10}}$$
=$${\frac{42}{100}}$$×$${\frac{10}{3}}$$=$${\frac{3×14×10}{10×10×3}}$$
=$${\frac{14}{10}}$$=1.4
④ 1.615÷0.19=$${\frac{1615}{1000}}$$÷$${\frac{19}{100}}$$
=$${\frac{1615}{1000}}$$×$${\frac{100}{19}}$$
=$${\frac{1615×100}{1000×19}}$$=$${\frac{1615}{19×10}}$$
=$${\frac{5×323}{19×2×5}}$$=$${\frac{323}{38}}$$=323÷38
商を10とすると、38×10=380なので商は1桁であることが分かります。
商を8とすると、38×8=304 が超えない数の中で一番答えに近い数となります。323-304=19 に小数第一位で一番近い数を探します。
38×0.5=19 となるので、38×8+38×0.5=38×8.5=304+19=323
となり商は8.5と計算できます。
また気づくのは難しいですが、323は19の倍数で19×17=323となります。
これに気づけると
$${\frac{5×17×19}{19×2×5}}$$=$${\frac{5×17}{2×5}}$$
=$${\frac{85}{10}}$$ 8.5が答えと導けます。
[社会実践問題]
あなたはケーキ屋さんだとします。チョコレートケーキを販売するにあたり費用を計算したいと思いました。
費用としてチョコレートとバターの材料の費用だけ計算するとします。
材料費はチョコレート1kg2100円、バター1kg2500円です
1人前でチョコレート50gとバター20g使うとき、1人前の費用はいくらになるでしょうか。
(答え)
(「かけ算と割り算」は「足し算と引き算」より先に行うといった計算順番を思い出してください。)
チョコレートは1kgで2100円なので、1gで2.1円($${\frac{21}{10}}$$)となります。
バターは1kgで2500円なので、1gで2.5円($${\frac{25}{10}}$$)となります。
1人前の費用=50×2.1+20×2.5=50×$${\frac{21}{10}}$$+20×$${\frac{25}{10}}$$
=$${\frac{5×10×21}{10}}$$+$${\frac{2×10×25}{10}}$$=105+50=155
155円が費用と計算できます。
(5)数式で文字を使う
チケットが1枚400円で売り上げを計算するとき、以下のような式が成り立つとします。
(売り上げ)=400×(売り上げ枚数)
中学生から本格的に学びますが数式を文字で表すということをしてみます。
例えば(売り上げ)をb、(売り上げ枚数)をaと書くとすると、
b=400×a と表すことができます。このaやbにはいろいろな数が入ることとなります。
このように数式で文字を使うときはアルファベット等の文字や記号の1字を使います。このように文字を使うことの利点を2つ説明します。
① アルファベット等の文字や記号の1字である利点=略して書ける
中学生以降で学びますが、文字を使ったかけ算では×記号を省略できます。
「0.8×a×b」みたいな計算を「0.8ab」と略して書けるようになります。
abと書いたときに、1文字と決まっていない場合は、abが一つの項目をあらわしているのか分からなくなりますが、1字と決まっているので、aとbという二つの項目があると分かります。
ただ省略できるだけだと思うかもしれませんが、いろいろな計算をするたびに何度も(売り上げ)とか書いていると紙がいくらあっても足りません。
さらにいちいち書くという無駄な時間も省略できます。
このように略して書けるという利点は意外と効いてきます。
② 文字を使って数式を表す利点=抽象化
抽象とはいくつかの事物に共通なものを抜き出して、それを一般化して考えることを言います。
・八百屋さんがセールで2割引きで野菜を売ることにします。
「セール価格」をb(円)、「普段の値段」をa(円)とするとb=0.8aとなります。
・経済学者が国民総生産指標が消費指標の0.8倍で計算できることが分かったとします。(適当です)国民総生産指標をb、消費指標をaとするとb=0.8aとなります。
「八百屋さんの具体例」、「経済学者の具体例」からそれぞれ一般化されたb=0.8aという式が導かれました。
数学のメインはこのb=0.8aがどういった特徴があるかということを考えることにあります。
b=0.8aの特徴がわかると八百屋さんや経済学者の両方にとって有効なわけです。
例えばb=80 の時、a=100 となるなどが計算できます。
そうすると八百屋さんの例に直すと、セール価格(b)80円のものは普段の価格(a)が100円であることが分かります。
経済学者の例だと、国民総生産指標(b)が80だと消費指標(a)は100だと分かります。
図式化すると以下のような感じになります。
具体例⇒(抽象化)⇒[数式]<数学で習う範囲>⇒(具体化)⇒それぞれの例
ただ数学を学んでいるときは、この抽象化と具体化をあまりやらずにb=0.8aの特徴を学び続けることになります。
このことが多くの人が数学は役に立たないと考える一因になっているのではないかと感じています。
この具体例から抽象化する方法はケースバイケースなので教えることは難しいと思いますが、カーンアカデミーの例を見るとかなり具体的な例を使って何問も解いていました。
ケースバイケースとは言えいろいろなパターンをやることでなんとなくコツがつかめると思うのでこのやり方は有効だと思います。
自分の経験から数式化するには①データを取る、②仮説として式を立てる、➂確かめる という流れをよくとっていました。
また実社会の問題は解けるとは限らないので、上手くいかなくても我慢していろいろ試すという精神のほうが大切だったりします。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?