かつての自分だった場所
あ、夏終わった。
毎年そんな日がかならず来る。
札幌の夏は短いから、だいたい9月の初旬に、前触れもなく来る。
それは大学生だった自分が旅行に出るタイミングだったりする。
とにかくお金がなかったので、いちばん早い時間の快速で空港に向かって、いちばん安い空の便に乗って、人がたくさんいなさそうな場所を目指して。
荷物もたくさんは持てないから、本州の夏の装いだけをたずさえて。
駅に歩いていくときの、優しいというよりは弱くて淡い光に照らされた街と、
街を通り抜ける冷たい風と、
風に鼻をくすぐられて、くしゃみをしていた自分。
すべてが旅で、すべてが季節で、すべてが自分だったとおもう。
いま、自分は出張のために空港に来た。飛行機は強い日差しを浴びて、ビル群すれすれのところを羽ばたいている。
行き先は、
かつての自分だった場所だ。
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