20歳になった息子へ
20歳のお誕生日おめでとう!
昨日までが子どもで今日から大人になるわけではないけれど、母は20歳を子育てのゴールと考えることにします。
これからも親子なんだけど、これからは大人同士の付き合いということね。
まずはこれまで20年間大きな病気もせず、大きくなってくれたこと、ありがとう。
幼かった君は、めちゃくちゃかわいかった。あのぷくぷくとした手をつないだ感触はいつまでも忘れないでしょう。
女の子二人の後に生まれてきた君は、私にとって3人目の育児ではあったけれど初めての体験の連続でした。
男の子は動きも早くてスタミナもあり、そして「話せばわかる」が通用しない生き物でした。
そんな君が思春期を迎えたころ、親の都合で辛い思いをさせたこともありました。
あのころ、君は同級生より一足早く大人にならざるを得なかったのだと思います。
身体の成長と心の成長がアンバランスになって、君はさなぎのようにじっと殻に閉じこもってしまった。私は待つしかありませんでした。
どんな姿でさなぎの殻から出てくるのだろう。いや、もしかしたら出てこないのかもしれない、もうこの先ずっと。
そんな不安を押しのけるように、君はちゃんと殻から出てきてくれました。
出てきた君の顔は、晴ればれしているように見えました。
そして突然本をむさぼるように読み始めましたね。
知らないことを知りたいという知識欲と、現実を忘れたいという現実逃避。
その両方を叶えるのが読書だったのでしょう。
本を読むようになって、君は私に難しい質問をするようになった。
私はできうる限り答えたけれど、もはや私の答えでは追い付かないほど、君は遠く深いところを見ているようでした。
20歳の君に、母から教えられるようなことはもう多くは残っていないのです。
だからアドバイスをひとつだけ。
「失敗すること」と「恥をかくこと」を恐れないでください。
人は年を重ねるごとに失敗や恥を恐れるようになります。
だけど、はじめからうまくいくことやカッコよくこなせることって、大したことではないのです。
難しいから失敗するし、失敗するからわかることがある。
それをたくさん経験してほしいと思います。
これからさき、君がどんな大人になっていくのか本当に楽しみです。
私のほうは、なるべく子どもたちに迷惑をかけないように生きていくのが目標。
お互い、人として生まれたことに感謝して、人生を楽しみましょう。
では、また。
高校2年生の時、息子が高校を辞めたいと言い出したときのエピソードはこちらからお読みいただけます。