ソロ活練習生 席きめに悩む
これからおひとりさまとして愉快に暮らしていくためには、ひとりでどこへでも行けるし、何だってできる!というソロ活上級者を目指していきたいと思っている。
しかし、現在はまだまだひよっこであり、小さなことに「ああっ、どうしたらいいんだ」と心の内でじたばたしてしまうことがあるのだ。
またしても、思い付きによりソロ活in奈良を決行
月曜日から水曜日まで、腰から下をこたつに預けパソコンで仕事をしたりご飯を食べたりネトフリでドラマを見たりして過ごしてしまった。
1週間前から再び「あすけん」という体重管理アプリを入れ、食事に気を付け、1キロ減ったと思った体重が1キロ戻った。
さもありなん。である。
そして木曜日の今日。
私は意を決して「ならまち散策」に、ひとりで出かけることにした。
別に明日だっていいのだ。しかし今週は明日から3連休。
いつでも出かけられるのに、あえて3連休に観光地としての賑わいを取り戻しつつあるならまちに出掛けることはない。行くなら今日!
丁度、ライティングの仕事できのうまで奈良の記事を書いていた。前から行ってみたいと思っていた店に行ってみようではないか!ひとりで!
ソロ活練習生の悩みは小さく深い
目指した店は、竈で炊いた白いご飯が売りのご飯屋さん。ご飯屋さんと言ってもおしゃれ系の奥様達が好むナチュラル系の定食を出してくれる店だ。
お昼のランチ定食が2000円。物価が上がったとはいえ、安くはない。
しかし日ごろ地味な生活をしている分、今日は自分に贅沢を許すことにする。
ガラス張りの引き戸をそっと開けて中に入ると、まず目の前にL字のカウンター席が10席、そして向かい合わせに座れる2人席が3つ、という配置になっていた。
「いらっしゃいませ!」と、にこやかに迎えてくれた若いお姉さんが「お好きな席へどうぞ!」とおっしゃる。
ひとりで初めての店に入るとき、多少なりとも緊張している私に、彼女は自分で席を選べといった。
さあ!どうする!?
ひとりの私が最も邪魔にならない席とは?
二人席は一つだけ埋まって、後の二つは空いている。
ひとりだけれど二人席に座る?
いやいや、この後カウンターに席が一つしかあいてない状態になって2人連れのお客さんが来たらどうする?
この上なく気まずい。
「あの人が一人で2人席に陣取ってなかったら、私たちすぐに座れたのにね」
そう思われるかも。
いや、それよりもお店のスタッフの方に、
「ああー、何で一人なのに2人テーブルにすわっちゃうかなあ!」
と思われるのでは?
だめだ。ひとりで二人席はだめ。席がたくさんある店ならまだしも、一目で見渡せる広さの店ではリスキーだ。
では、カウンターは?
L字のカウンターは一辺に5人ずつ席が用意されている。
縦の1辺には、向こうから、〇✕〇✕✕、という感じで埋まっている。〇が空いている席だ。
とするとこちらに座ると必ず隣の人との間に空席がないこととなる。
既に座っている人にすると
「うわ、近。わざわざ、となりに来なくてもいいのに」と嫌がられるのではないか?
横の一辺は、まだ5つとも空いている。となると、この5つのうちのどこかだ。
L字の角に当たる端の席だと、縦の席の人とすぐ隣の感覚になる。ここはない。
しかし、後で2~3人連れの客が来るかもしれないことを想定すると、その隣が一番邪魔にならない。
まだ右に3つ連続して空席が残る。
よし、ここだ。ここしかない!
私は意を決して、横列の左から二番目に陣取った。
すでに疲れています
席をどこにするか。
ひとりでこういった場面に出くわすのが辛い。
気が小さすぎるのか。
いっそ「こちらのお席にどうぞ!」と、お店の方に導いてほしい。
こんなことを考えながら、まだまだ一人を楽しむ余裕のないまま、一人を楽しむ余裕の顔で、食事を始めた。
最悪の事態
と、食事が6割がた進んだところで後ろのドアが開いた。
なんだか、ワイワイと数人の気配を感じる。
「ヤバい」
落ち着いた表情の下で、私は途端に落ち着かない気持ちになった。
グループの一人が店員さんに言ったのが聞こえてきた。
「4人でなんですが・・・・」
きたあああああああ。最も恐れていた数字「4人」。
カウンター席は4つ空いているのに、あろうことか間に「私」が挟まっていることで「1」と「3」になってしまっているではないか!
「少しお待ちいただくことになりますがよろしいですか?」
店員さんが言った。
ゆっくり食べてなんかいられない!
「よろしくなああああい」
私は声にならない叫びをあげていた。
こ、こんな針の筵のような席で、何食わぬ顔で食事を進めるなんてむり。
私の背中には4人の席まちの客たちの視線が刺さるに違いない。
「あー、この一人の人が一番端にいたら私たち座れたのにね」
そんな目配せをしているのでは?
もう、、、耐えられない。
勇気ある行動
耐えきれなくなった私は、それならばと別の勇気を振り絞ることにした。
「あのおお、わたし、詰めますんで、こちら、どおぞおおおお」
食べかけのお皿をずりずりと左に移動させながら店員さんに「いいですか?うごかしても?」と聞いてみた。
お店の方もホッとした表情で「お食事中ですのによろしいですか?ありがとうございます!」と快く移動を手伝ってくださった。
よろしいんです。そうさせてください。
ようやく、謎のプレッシャーから解放されホッとするわたし。
「ああ、助かった・・・」
ソロ活の道は険しい
よくよく考えてみたら、そんなこと誰も思ってないかもしれない。
誰も一人客の動向など、気に留めていないだろう。
ソロ活の道を険しくしているのは、自分なんだ。
自分は必要以上に、世間の目を気にしすぎているに過ぎない。
こういう自分を少しずつ変えて、もうちょっと大きな顔をしてソロ活を楽しめるようになりたい。
周りへの気遣いは必要だけど、萎縮する必要はないんだから。
ひとりで飛行機に乗って海外へひょいと行っちゃうアラフィフおひとり女子もたくさんいるけど、ホントすごいと思うよ。
私のソロ活道はまだまだ始まったばかりだ。