特別連載『梟の咆哮』/福田和代(5)
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5
「おまえ、もう車を手に入れたとはなかなかやるなあ」
道の駅のバイトが終わり、史奈が駐車場に停めた車に近づくと、どこからともなく森山が現れた。
「乗せてってくれ。俺のバイクは、友達に乗って行ってもらったから」
「どこに行けばいい?」
史奈が運転席に乗り込むと、当然のような顔で森山が助手席に滑り込む。
「晩飯食うだろ。うまい店に案内してやるよ」
森山が勝手にナビに住所を入力するのをしり目に、史奈は車を出した。
運転免許合宿で免許を取った後、史奈が買った初めての車は中古のハイブリッド車だった。車体の色は濃紺だ。
深夜、運転するなら静かな車がいい。ネットで探して、大阪まで買いに行った。十五万キロ近く走った車だそうで、価格は驚くほど安かった。バッテリーが弱っているようだ。カーナビはついているが、地図が古い。エアコンはあまりきかない。それでも、一応は走る。丹後で乗りつぶすつもりだから、長持ちしなくてもかまわない。
まだ見つけていない水を探すため、毎晩、車で走り回っている。少しずつ丹後の土地勘がついたと思う。
「免許は持ってるけど、俺たちは山の中にいるから基本はバイク移動なんだよな。でも、車があれば便利だな。俺も考えようかな」
森山が、物珍しそうに車内を見回している。
彼が案内したのは、史奈のマンションから徒歩でも行ける日本料理屋だった。店の構えは高級な割烹のようにも見え、車を停めた史奈が一瞬ひるんでいると、森山が平気な顔で車を降り、入り口に入っていく。
「俺が勧めるのは、美味しくてお財布にやさしい店だって、この前の焼肉でわかったやろ。ま、ここは俺が奢るから心配すんなって」
Tシャツにジーンズの森山や、似たような服装の自分が気楽に入っていい店なのか――とひるんでいたのが馬鹿らしくなるほど、森山は慣れた態度で「よう」と言いながら入っていく。
混んでいたが、森山はいつの間にか予約を入れていたらしく、店に入ると、優しそうな女性が奥のテーブル席に案内してくれた。
「ここも常連なの?」
半ば呆れて史奈が尋ねると、奥の席を勧めながら森山が照れたように首を振る。
「いや、常連なんて言えるほど来てないけどな。ここの大将が中学の同級生なんだ」
――そうか。森山も、このあたりで育ったのだ。
第一印象が悪かったので、史奈の〈狗〉に対するイメージはダーティだが、当たり前の二十代男性の顔も持つのだ。
「この後も運転するから、ふたりとも飲み物はノンアルやな」
こまやかに森山が世話を焼いた。彼氏にするとお得だと積極的にアピールするだけあって、女性あしらいは意外なくらい上手だ。
注文をすませると、声を落とした。
「おまえ、俺らの里を突き止めて、侵入したやろ。だからこんなことも話せるようになったんや。今さらやからな」
「――どういうこと?」
「里の場所は秘密なんや。長の家なんか、地図にも載らんような場所や。いったいどうやって見つけた? ――まあ、道の駅で働いてるところを見れば、杉尾の養鶏場が手がかりになったんだろうが」
たしかに〈梟〉も、里に外部の人間が入ることを極端に嫌った。迷い込んだ人間を捕らえたことも、史奈が見聞きしただけでも一度や二度ではすまない。だから卵のパックに顔写真なんか載せるなと言ったのに、と森山はひとしきり文句を垂れた。
「あの土地に、昔からずっと住んでるの?」
「いや――正確にはそういうわけでもない」
〈狗〉は、丹後半島を中心に活動していたが、定住はしていなかったと森山は説明した。
「山を移動し続ける暮らしというか。なにしろ俺ら、満月の夜は見た目がまあまあすごいやろ。たまに他人に見られたりすると、厄介なことになるんや」
人狼を思わせる容貌――たしかに、〈狗〉の特徴は他人を驚かせる。十條は自分の〈狗〉としての容貌にコンプレックスを持っているようだが、森山はそうでもないようで、ユーモアすら感じる言い草でけろりとしている。
「森山さんは、他人に見られたりしたこと、あるの?」
「おお、子どものころなら、あるよ。中学生くらいのときかなあ。俺たち、小学生までは変身しないけど、中学生くらいになると顔が変わるようになるからな。満月の日は人に会わないよう気をつけてるんやが、うっかり友達に見られたんや」
「――それで、どうしたの?」
あっけらかんと話を続ける森山に興味をひかれて尋ねる。
「振り向いたら友達がびっくりして大声で悲鳴を上げたから、『アホ、お面や!』って言ったら信じたで。『接着剤でつけたら取れへん』ってな。めっちゃ笑われたわ」
こういうところが森山なのだろう。
機転がきくし、冗談にしてしまえる。常日頃の性格もあって、周囲もそれを信じて面白がってくれる。
「まだみんながスマホを持ってないころやったから良かったけど、持ってたら今ごろ、満月の〈狗〉の写真がSNSに出まわっとるわ」
憮然としているが、これも半分は冗談めかしているのだ。
「お待たせしました!」
お造りやカキフライ、白子の天ぷらに寿司と、テーブルに載るか心配になるくらいのご馳走が並ぶと、森山は「まず食べよか」と満面の笑みを浮かべて箸を取った。森山が勧めるだけあってどれも美味しくてボリュームがあり、史奈も遠慮なく箸を進めた。
眠らず二十四時間動き続けるためか、史奈も食欲で森山に負ける気がしない。食べなければ動けない。食べることは生きることだ。
「俺たちの一族が初めて戸籍を手に入れたのは、終戦後だ。大きな声では言えないが、戦後のどさくさに紛れて他人に成りすまし、戸籍を持った」
しばらく黙々と食べ、腹がくちくなると、ようやく森山が重い口を開いた。
江戸時代には、今の戸籍簿とよく似た宗門人別帳というものが作成されていた。農民、町人、すべての民衆が寺院の檀家となり、戸口を幕藩に管理されていたのだ。年貢を納める時も、冠婚葬祭や遠方に旅に出る時も、みんな宗門の管理下にあった。
〈狗〉は、その中に含まれなかった。
「だいたい俺たち、仏教に興味ねえし」
「でも――どうやって暮らしていたの? 田畑があれば見つかったでしょう」
「そもそも土地がなかったからな。適当な山の中に、掘っ立て小屋を掛けて寝るんや。そりゃもう、貧相な木切れと筵の即席の小屋だったらしいけど。で、〈狗〉の噂を聞いた、ヤバい連中の仕事を請け負っていた」
森山は口を濁したが、江戸時代の彼らは、忍びというより盗賊団に近かったようだ。そんな状態で、まともな仕事にありつけたとは思えない。
〈狗〉には女性がいないし、女の赤ちゃんが生まれても間引くか養子に出すと言っていたが、そもそも、その生活についていける女性がなかなかいなかったのかもしれない。
話を聞けば、主を持ち甲賀忍びとして活躍の場を与えられた〈梟〉より、彼らはずっと過酷な闇の世界にいたようだ。
「終戦後に、このままでは一族が立ちゆかなくなると危ぶんで、戸籍を手に入れる方法を考えだしたのが、十條孝蔵――先日亡くなった前の長の父親だ。今の長の祖父だな」
空襲で、日本のあちこちが焼け野原になった。一家が全滅する悲劇に見舞われたケースも、少なくない。〈狗〉はどさくさに紛れて、そういう家の誰かに成りすました。そうして名前と戸籍を得たのだ。だから、彼らは本来、丹後で活動していたにもかかわらず、東京出身だったり大阪や神戸出身だったりと、戸籍上は妙なことになっているそうだ。十條だの、森山だのという姓も、いわば借り物なのだという。
土地や財産などなかったが、終戦直後は日本中にそんな人間があふれていた。混乱した世の中を生き抜くのは、〈狗〉の得意技だ。闇市の商売など、独擅場といってもよかった。
戸籍を得た〈狗〉は、いろんなやり方で荒稼ぎを始め、稼いだ金で丹後の山中に土地を買った。山を開拓し、生活の基盤を構築していった。あの土地は、他人から見れば貧しい集落だろうが、一族が戦後、三代かけて必死でつかみとった財産なのだ。
戸籍を得て、飛躍的に向上したことがある。子どもらが学校に行けるようになったのだ。十條彰のように研究者になる人間が出てきたのも、学校に行けたからこそだ。
「ま、俺なんかは勉強嫌いだから、高校をさっさとドロップアウトして、あとは身体で稼いでるけどな」
森山はそうしめくくり、愉快そうに笑った。
史奈は、〈狗〉の過去を複雑な思いで聞いていた。他人の戸籍を乗っ取るなんて、おぞましい――とも思える。だが、そうするしかないほど彼らは追い詰められてきたのだ。
自分たち〈梟〉も貧しい集落だったが、それでも彼らに比べれば、ずっと恵まれていた。〈梟〉は常に、そこに存在した。〈狗〉は、どこにも存在しなかったのだ。
彼ら自身がその生き方を選択した――と言えなくもないが、好んで選んだ道でもなかっただろう。
「〈狗〉の歴史はわかった。それで、存亡に関わると言っていたのは――」
「俺たちの土地の話や」
森山が真顔になる。
「伊根に、新しいリゾート施設を建設する話が持ち上がっているのは知ってるか?」
今朝、道の駅に現れた男たちを思い出す。永井が、あれはリゾート建設のため、各地を視察しているのだと言っていた。
「やつら、どうやら俺たちの土地を狙ってるらしいんや」
「〈狗〉の本拠地を?」
驚いて聞き返した。だがあの土地は、あまりに山深く霧が濃い。交通の便も悪く、リゾート地のイメージとはかけ離れている。
「丹後にリゾート地を作る話は、バブルのころから出たり消えたりしてるらしいけどな。そもそも、丹後は舞鶴から天橋立、伊根に久美浜に大江山にジオパークにと観光資源には事欠かない。だけど、それぞれの集客力はまだまだ伸びる余地がある。もうひとつ、客を呼べる施設を作ろうという計画らしいんや。ところが、その広大な予定地に、どういうわけかすっぽりと俺らの土地が収まってる」
ある日、新聞で突然、新規リゾート計画について知らされ、寝耳に水の状態で予定地の地図を見たのだと森山は言った。
「俺らは土地を売る気はない。価格を上乗せされたところで、次に俺らが住むのに適した場所が見つかるとは思えない。あの土地は、爺さんたちが苦労してやっとこさ作り上げた、〈狗〉の隠れ里なんや」
〈狗〉は、なるべく外部との接触を断ちたい。現在の場所は、何から何までおあつらえ向きで、かなり広い範囲にわたって一帯を〈狗〉が買い上げているのだそうだ。
「俺らの嗅覚が鋭いのは知っとるやろ。都会に出ると、大勢の人間の体臭や化粧品や制汗剤やシャンプーや――あらゆる臭いが混じりあうから、とんでもない悪臭を嗅がされて死にそうになるんや。俺らにとって〈狗〉の里は、自然豊かで俺たち以外の人間もおらず、気持ちよく過ごせる楽園なんや」
なるほど――と史奈は頷いた。特殊な嗅覚を持つ〈狗〉ならではの悩みだ。
彼らの姑息な仕事ぶりや、態度の悪さなどはあまり好きではない。だが、同じように特殊能力を持って生まれた一族として、彼らがようやく手に入れた安住の地にしがみつく気持ちは、理解できた。いや、自分たちにしか理解できないと思った。
「でも――それなら、土地を売らない手もあるのでは?」
日本は法治国家だ。売りたくないと言うものを、無理やり売らせることはできない。過去には地上げ屋があの手この手で嫌がらせを繰り返し、売りたくない地主から強引に買うこともあったそうだ。だが、〈狗〉ならそういう連中を黙らせるのは得意だろう。
森山が頷いた。
「もちろんそうや。俺たちは、あの土地を手放す気はない。だけど、ひとつ問題がある。俺たち、水源の土地を手に入れてないんや」
「水源――」
「あの土地には水道を引いてない。電気は引いたけどな。裏の山から、湧水を勝手にパイプで引いてるんや」
その裏山が、他人の土地なのだと森山は言って苦笑した。
「こんなことになるとわかってれば、爺さんたちも必死になってその水源地を買おうとしたはずやけどな。肝心なところでけち臭い真似をしたのが運のつきや。裏山はすでに、元の持ち主がリゾート開発の会社に売ったらしい。俺たちが土地を売らないと言ったら、やつらはきっと、俺たちを追い出すために水源を止めるだろうな」
「なら、井戸を掘るとか――」
「もちろん、やってみたで。だけど、俺たちの土地から水は出なかったんや。井戸を一本掘るにも、けっこうな金がかかるしな」
「水道を引いたら?」
「あいつらは俺たちの土地を売らせたいから、水道を引く申請を許可しないように手を回すやろうな」
なるほど、聞いてみれば八方ふさがりだ。
「でも――なんとかするつもりでしょう」
「そうだよ。それで、おまえに協力を頼みたい。〈梟〉は知恵者らしいからな」
森山は、にっと唇を横に引いた。
「府や市のラブコールに応えて、リゾート建設を引き受けたのは、天蓮リゾートという東京の企業や。すでに、社長を始め、リゾート計画の主だったメンツが丹後入りしている。コテージをひとつ借り上げて、関係者が滞在してるんや。俺らはそこに侵入して、やつらの計画を調べてみた」
侵入と調査なら〈狗〉も得意だろう。
「まずは、計画に参加している主な人間」
森山はスマホを取り出し、写真を表示させてテーブルに置いた。コテージから出てくる六十歳前後の銀縁眼鏡をかけた男性の写真だ。見覚えがあった。今日、道の駅を視察していた男だ。
「こいつが天蓮リゾート社長の小金沢良則。小金沢家は代々、鬼怒川で温泉宿をやっていたが、バブル崩壊後に宿泊客激減で倒産しかけてな。おまけに当時の社長が脳梗塞を起こして、会社を畳むかどうかの瀬戸際、息子に代替わりしたのが三十年ほど前や。ところが、こいつが経営手腕を発揮した。既存の観光地とは一線を画し、空気がきれいで星が見える自然環境を選んで、観光ホテルを建てた。インターネットやSNS中心の宣伝があたり、あっという間に人気ホテルだ。今や全国各地に十四軒のホテルや旅館を持つ」
「それはすごい」
今朝見かけた男性は、そんなに腕利きの経営者だったのか。だが、疑問も残る。倒産間際の温泉宿のオーナーが、急に経営を立て直して各地で人気ホテルを展開した。そのための資金はどこから出たのだろう。
森山は次の写真を見せた。四十代前後の、細面の男性だ。こちらもコテージから出てきたところを撮影したらしく、木製のパイプをくわえ、テンガロンハットに手をかけている。
「こいつは建築家の蒲郡冬。天蓮リゾートのホテルは、ほとんどこの男が設計している。東京出身で、東京に事務所を構えている。いつも、新しいホテルを建てるって時には、小金沢社長と一緒に現地を回り、建設予定地の視察なんかをするらしいぞ」
なんとなく見覚えがあったのは、新聞などで写真入りで取り上げられているのを目にしたことがあるからだ。
「あとは天蓮リゾートの財務部長が一緒に宿泊してるのと、若手社員がふたり交代でコテージに来て、幹部の世話を焼いてる。車の運転とかな。若い連中は、別にホテルを取ってるようだ。三日くらいコテージの出入りを見張って、誰もいない時に一度、内部にも侵入して探ってみた。だけど、たいした情報は得られなかった。リゾート施設の建設予定地は、俺たちの山以外にも何か所かありそうだってのはわかったけどな。――そんなとこだ」
史奈は森山が撮影した写真に視線を落とした。問題は、なぜ彼らがよりにもよって、〈狗〉の土地を建設予定地に選んだかということだ。
「〈狗〉と天蓮リゾートの間に因縁はないの? 昔、仕事をしたとか、遺恨があるとか――」
「ねえよ」
森山は唇を曲げて肩をすくめた。
「長にも聞いたが、天蓮リゾートとの関わりはない。仕事を請け負ったこともない」
「――そう」
だが、〈狗〉が気づいていない理由が、きっとあるのだ。自然が豊かだとはいえ、まともな道もないような山奥に、偶然、リゾート会社が目をつけるとは思えない。
――その理由を、調べなければ。
「ま、俺たち、何かをぶんどってくるとか誰かをたたきのめすとか、荒っぽい仕事は得意だが、地味な調査はあんまり得意じゃない」
森山は、そこで皮肉に唇を歪めた。
「言うとくが、俺だって好きで〈梟〉に協力を頼むわけやない」
――そんなのはこちらも同じだ。
「私も、好きで〈狗〉に協力するわけじゃない。そっちの偏屈な長と、まともに話し合う場が欲しいだけ」
「おまえ、だんだん『もうひとり』のほうに似てきたな――」
顔をしかめた森山が、史奈の顔に自分の顔を近づけた。間近で見ると、カミソリ負けなのか、肌が荒れている。
「ええやろ。この協力は、地域限定・期間限定や。馴れ合う気はない。お互いの目的のために、ちょっと手を貸すだけや」
「わかった」
史奈も頷いた。
森山を信用してはいない。
東京ではいろいろあった。〈狗〉が敵方に雇われ、〈梟〉の氏名や住所を調べ上げて敵に渡したこともあった。あれには大迷惑をこうむった。かんたんに許せることではない。
だが、〈狗〉の一族は敵に回せば厄介だが、味方につけることができれば心強い。今回、彼らに協力しながら、〈狗〉について情報収集できるならラッキーだ。
「そうと決まれば、今後の計画を立てようぜ。なるべく早く情報を入手したいんだ」
森山の言葉の端々に焦りを感じる。ひょっとすると、すでに土地の売買交渉が始まっているのかもしれない。
「わかった。でも、まずはこちらでも相手について調べるところから始めたい。事前準備に丸一日は欲しい」
史奈の言葉に、森山は頷いた。
「了解だ。つまり、明日の夜にもう一度集まるってことだな」
「そう。先に、先方が借りているコテージの場所を教えてもらえない? こちらでも情報を集められるようなら、集めておくから」
ほんの一瞬、森山が迷うのがわかった。
――〈梟〉に出し抜かれるのではないか。
そんなことを疑ったのかもしれない。だが、その逡巡は短かった。
「何かわかったら教えてくれ」
森山は卓上を見回し、店のアンケート用紙を一枚取って、その裏に住所をメモしてよこした。案外、整った文字だった。
そうと決まれば、と呟いた森山は、店の女性を呼んで、飲み物の追加を頼んだ。
「地域限定・期間限定でも、休戦は休戦や。よろしゅう頼むで」
ノンアルコールビールがなみなみと注がれたグラスのふちをコツンと合わせ、森山がにっと笑顔を見せた。
(第6話に続く)
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