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新刊のご案内【集英社文庫2月刊】

みなさんこんにちは。
集英社文庫noteです。

2月も下旬になりますが、まだまだ寒い!
皆様、いかがお過ごしですか?
春の気配を感じつつも、今はあたたかいお家でゆっくり過ごすのが一番だなぁとしみじみ思う今日この頃。
おうち時間のおともにぴったりな本が、今月も出そろいましたよ。

さて、2月20日に集英社文庫の2月刊が刊行されました。
今月は10作品。
こちらの記事では、それぞれの魅力をご紹介していきます。
みなさんのお気に入りの一冊が見つかったら幸いです。


読み応え抜群! 圧巻の歴史小説!

まずはこちらの2作品をご紹介!

左から『布武の果て』、『チンギス紀 五 絶影』

『布武の果て』
上田秀人

信長に鉄炮を調達し、茶堂衆を務めた堺商人たちが、茶室で見極めた“本能寺の変”の真相とは⁉
今井宗久、千宗易、津田宗及ら納屋衆と、徳川の本多弥八郎らの、天下を巡る壮絶な密室情報戦。
圧巻の戦国交渉小説。

永禄十一年、織田信長が十五代将軍足利義昭を奉じ上洛した。
信長は、貿易の富で自治を貫く堺に鉄炮や硝石の独占を要求。
堺納屋衆の今井宗久、千宗易、津田宗及らは、一旦恭順する。
だが、強かな彼らは商機を逃さぬため、趨勢を見定めようと茶室で戦況分析を始める。
やがて信長が、三好、朝倉、石山本願寺を降伏させ天下に迫る時、徳川から驚愕の情報が……。
〝本能寺の変〟の真相に迫る圧巻の戦国交渉小説。

『チンギス紀 五 絶影』
北方謙三

黒き旗の五十騎。疾駆する死の隊列。
ついにあの剣が、テムジンの手に――。
衝撃の展開が待ち受ける、好評第五巻!

タイチウト氏との戦いの中で幾度もテムジンの前に立ちはだかってきた、草原最強の男・玄翁。
宿命的な決戦が、ついに始まる。
テムジンは配下の槍の達人ジェルメ、強弓のクビライ・ノヤンらとともに玄翁軍に立ち向かい、草原は血に染まる。
玄翁はテムジンとの一騎打ちを望み、そこである秘密が明かされる……。
死闘の末、あの伝説の剣がテムジンの手に! 
歴史を繫ぐシリーズ第5巻。

まずは骨太な歴史小説2作品をご紹介。
堺商人たちの視点から戦国時代の行く末を見る『布武の果て』
戦国時代、大名の支配を受けず納屋衆と呼ばれる有力商人たちによって自治を保っていた堺。その中で、いち早く織田信長の才に気づき接触を図った人物がいました。名を今井彦八郎。のちの今井宗久です。
その後、織田信長からの庇護を受け繁栄していく堺の湊。今井宗久、千宗易、津田宗及は信長にとりあげられ、武将たちに茶道を教える茶道衆となります。機を見るに敏い商人の視点から、各武将たちの情勢を見極め乱世の行く末を見通す三人。激しい戦いが描かれることは少ないのですが、密室で繰り広げられる情報戦が圧巻です。茶室での密会の様子は、今でいう個室の飲食店での会食のような感じで、戦国時代といえど身近に感じる部分もあるかもしれません。
『チンギス紀 五 絶影』は毎月刊行中の歴史大河シリーズの第5巻。
テムジンが軍を作り、モンゴル平原で敵対氏族・タイチウト氏と争うようになってから、ことあるごとに戦場に現れた最強の武人・玄翁。
いよいよ、その玄翁との対決もクライマックスへ……! 長きにわたりテムジンの前に立ちはだかってきた彼は、いったい何を想い戦ってきたのか。
そこには驚くべき事実と、受け継がれてきた想いがありました。
そして、草原に変化の時が近づいてきています。モンゴル族だけでなく、周囲のタタル族や金国の動きも不穏なものになっていきますが、この先やいかに?

闇に葬られた不正を追う。職業ミステリー。

次はこちらの2作品をご紹介。

左から『偽装同盟』、『医療Gメン氷見亜佐子 ペイシェントの刻印』

『偽装同盟』
佐々木譲

ロシアの属国と化した日本。
男は、警察官の矜持を貫けるのか。
「もうひとつの大正」を描く、入魂の改変歴史警察小説、第二弾。

日露戦争敗戦から12年後の大正6年。日本は外交権と軍事権を失い、ロシア軍の駐屯を許していた。
3月、警視庁の新堂は連続強盗事件の容疑者を捕らえたが、身柄をロシアの日本統監府保安課に奪われてしまう。
新たに女性殺害事件の捜査に投入された新堂だったが、ロシア首都での大規模な騒擾が伝えられ……。
「もうひとつの日本」で生きる警察官の矜持を描く、入魂の改変歴史警察小説、第二弾!

『医療Gメン氷見亜佐子 ペイシェントの刻印』
本城雅人

医療監視員の活躍を描く“医療Gメン”シリーズ開幕!
二係捜査シリーズの著者による待望の新シリーズスタート!

元臨床医の氷見亜佐子は厚生労働省の医療監視員。
彼女の仕事は、専門知識を活かして全国の医療現場が滞りなく機能しているかどうかチェックすること。
ある日、東京フロンティア医大の術中死のタレコミ電話を受け調査を進めると、過去にも不審な術中死と優秀な医者の辞職があったことが発覚し――。
癖のある同僚や新聞記者、捜査一課刑事らと共に病院に巣食う悪を暴く。
医療Gメンシリーズ開幕。
 
医療現場に巣食う悪を暴く。
新シリーズ開幕!

【特設サイトはこちら】

上層部からの圧力で、闇に葬りかけられた謎を追っていく職業ミステリー2作品をご紹介!
『偽装同盟』は“もし、日露戦争に日本が負けていたら?”という世界線で描かれる改変歴史警察小説第二弾。
ロシアに統治されるようになった日本。警視庁の特務巡査・新堂は連続強盗事件の容疑者を追いますが、確保したところでロシア側の生活保安課に身柄を奪われてしまいます。その後、別の殺人事件の捜査へと投入されますが、どうやらロシア本国のほうで騒動があったらしく、世間は落ち着かない様子で……?
大正6年、3月といえばロシア革命が勃発したころ。時代が激動する中、ロシア政府や警察上層部に睨まれながらも捜査に取り組む新堂は、その頭脳で一歩ずつ真実に近づきます。果たして事件解決はできるのか? そして今後の日本の行方は……。ぜひご自身の目で確かめてください!
医療現場での不正を正す医療監視員の活躍を描く新シリーズ『医療Gメン氷見亜佐子 ペイシェントの刻印』
主人公・氷見亜佐子は厚生労働省の医療監視員。「日本の医療を正したい」という熱い思いを持つ彼女ですが、いろいろなしがらみのある省庁の中で、思うような結果を出すのが難しい日々。しかしそんな中、とある大学病院での術中死についてタレコミの電話が来ます。真実を明らかにしなくては! と息巻く彼女ですがいろいろな権力問題、いわゆる”政治”がかかわっており一筋縄ではいかず……。亜佐子はこの問題を明らかにすることができるのか!?
弱きを助け、強きを挫く主人公がかっこいい! 失敗も重ねつつ、個性豊かな周囲の人間に助けられ、正義を信じて邁進する姿が気持ちいい一冊です。
シリーズ化が決まっている本作。彼女のこれからの活躍も楽しみです!

小説すばる新人賞出身作家が送る、切なくて心ふるえる物語。

次はこちらの2冊をご紹介。

左から『楊花ヤンファの歌』、『希望の海 仙河海叙景』

楊花ヤンファの歌』
青波杏

第35回小説すばる新人賞受賞作
デビュー後、原稿依頼が殺到!
大型新人が圧巻の熱量で放つ、女性スパイ長編。
戦火の中国で暗殺者として生きることを強いられた二人の女性を描く。

1941年、日本占領下の中国・廈門アモイ。カフェーで女給として働くリリーの正体は、諜報員だ。
ある日、抗日活動家の楊から日本人諜報員の暗殺を指令され、女性狙撃手のヤンファと共に過ごすことに。
次第に彼女に惹かれるリリーだったが、秘密裏に出されていた指令は、暗殺に失敗した場合はヤンファを殺せというものだった……。
女性スパイの暗躍と葛藤を描く、長編。
第35回小説すばる新人賞受賞作。

『希望の海 仙河海叙景』
熊谷達也

3月11日、失われた日常。
そこから、立ち上がった人たち――。
東北に生まれ、東北に暮らす直木賞作家の、「あの日」を描かない、連作短編集。

会社を辞め、故郷の海辺の街・仙河海市で、病弱な母に代わってスナックを切り盛りしている希。
過去、実業団に所属する陸上選手だった希は走ることで日々の鬱憤や悩みを解消していたが、震災によって生活が一変、いつも見る街並みも180度変わって――。
(「リアスのランナー」「希望のランナー」)。
大震災の前も後も、暮らしは続いてゆく。
日々の営みから紡がれる再生と希望の物語、全10編。

『楊花の歌』は、戦火の中国を舞台に傷を抱えた二人の女性スパイが運命的に出会う物語。
1941年の中国・厦門。亜熱帯のその土地で、主人公・リリーはカフェーの女給として働いていました。しかし、彼女の正体は共産主義側に遣われる諜報員。そして、ある暗殺計画に伴うひとつの密命を受けていました。計画に失敗したら、ともに働く諜報員の女性・ヤンファを殺せと――。
時代背景やそれぞれの登場人物が抱える事情がままならず、切なくなります。当時、日本は占領した土地で民族同化政策を進めていました。言葉を奪われ、文化を奪われ、侵略されることの残酷さ。そして、侵略する側の無自覚さ。同じ場所に生きていても明確な立場の差があり、それが彼女たちの関係を複雑にしていきます。
シビアな現実を生き抜く彼女たちの姿に心ふるわされる一冊です。
気仙沼市をモデルとした架空都市“仙河海市”で「東日本大震災」の前後の日常を描いた短編集『希望の海 仙河海叙景』
人々が密接に暮らす地方都市で、当たり前に営まれていた日常。前半は、家族や仕事、いじめ、恋愛など、誰にでもあるような問題を抱える登場人物たちの物語が描かれます。変わらない暮らしの中で、この先どうしようかと悩んでいた彼らは、突如未曽有の大地震に見舞われました。そして、あっけなく崩れ去る生活。
「あの日」を描かないことによって、日々の変化が如実に感じられ、大切な人を失った喪失感や、壊れそうなところから強く結びなおされた絆などが浮かび上がり、”あの日起こったこと”を想像させられます。
そして、最後に残るのはタイトルにもある“希望”。震災から14年たった今、忘れてはいけない記憶を思い起こさせてくれるとともに、温かい気持ちをくれる作品になっています。

よく知られたものの裏にあるのは……? 興味深いエッセイ&ミステリー

お次はこちらの2作品をご紹介します。

左から『うまれることば、しぬことば』、『誰が星の王子さまを殺したのか?』

『うまれることば、しぬことば』
酒井順子

「OL」「婚活」「気づき」「陰キャ」「映え」……あの言い方はなぜ生まれ、なぜ死んでいったのか?
「ことば」にまつわるモヤモヤに迫るポリコレ時代の日本語論!

「婚活」を皮切りに始まった◯活ブームと人生模様。
「陰キャ」と「根暗」の絶妙な違いから見えてくる時代の変化。
ネット用語の「映え」と、紫式部や清少納言も使っていた「映え」の共通点。
日本社会において黒船的な役割を果たした「セクハラ」……。
言葉の生死の現場から見えてくる、日本人のさがとは? 
私たちの〈今〉と〈昔〉を掘り下げ、「ことば」の栄枯盛衰をじっくり考察するエッセイ!

『誰が星の王子さまを殺したのか?』
ミシェル・ビュッシ
訳・平岡敦

『星の王子さま』は遺書だった⁉ 永遠の名作に隠された暗号とは――。
サン゠テグジュペリの死の真相を求めて世界を巡る旅へ。
フランスの鬼才ビュッシが贈る珠玉のミステリー!

「サン=テグジュペリの死の謎を解いてほしい」
カメルーン人の億万長者から依頼を受けた飛行機整備士ヌヴァンと見習い探偵アンディは、世界中に散るサン=テグジュペリの熱烈な信奉者で構成されたクラブ612のメンバーを順番に訪ね、意見を聞くことに。だが二人が面会したメンバーは、後に次々と不審な死を遂げて……。
フランス・ミステリー界の巨匠が『星の王子さま』の隠された暗号に挑む!

身近によく知られているものを改めて探訪する2作品をご紹介。
『うまれることば、しぬことば』は、言葉にまつわるエッセイ。
生まれてから死ぬまで、生きていれば必ず使うであろう“言葉”。日々新しい言葉が生まれ、年に一回は流行語大賞が決まり、その年を象徴するフレーズとして広く知られます。逆に、最近あまり使われなくなり”死語”なんて言われるフレーズがあったり。言葉にも流行り廃りがありますよね。
そんな何気ない”言葉”についてじっくり考え向き合うエッセイが本作品。
言葉を観察することで、日本人の本質が見えてくる……!
SNSなどが当たり前に普及し、見知らぬ誰かに言葉が届いてしまう故に感じる息苦しさや、現代の言葉遣いに違和感を感じる、なんて方いらっしゃいませんか? 本作を読むとなるほどな、と腑に落ちることがたくさんあるかもしれませんよ。
世界的名作『星の王子さま』の著者、サン=テグジュペリの死の謎を追う『誰が星の王子さまを殺したのか?』
飛行機整備士のヌヴァンは一本の電話をきっかけに、あるカメルーンの大富豪に呼び出されます。同じく呼ばれた見習い探偵・アンディとともにその富豪からの依頼、サン・テグジュペリの死の謎を解くために、熱心な星の王子さま信奉者の小さな集い・クラブ612のメンバーを訪ねることになります。
『星の王子さま』が好きな方はもちろん、綺麗な描写のミステリが読みたい方におススメしたい1冊。テグジュペリの著作からの引用が数多く散りばめられており心にすっと染み入るような作品になっています。

ワクワクが止まらない! 人気シリーズ2作品!

最後に、人気シリーズの新刊2作品をご紹介します!

左から『梟の咆哮』、『路地裏の吸血鬼』

『梟の咆哮』
福田和代

若き忍者の末裔たちよ。
吼えろ、駆けろ、未来のために!
一族のルーツを解き明かすため、京丹後へ旅立った史奈を、新たな敵が襲う――!?

眠らない一族〈梟〉の血を引く史奈は、大学を休学し単身、京丹後へ。
一族を奇病から救う、特別な水源を探し求めて、〈梟〉のルーツを辿る旅に出た。
そこで再会したのは、先祖代々忍者として鎬を削ってきた〈いぬ〉の一族。
彼らの隠れ里が、存亡の危機に瀕しているらしいとの噂を耳にして――。
若き忍者の末裔たちが、因縁を乗り越え、未来のためにともに立ち上がる!
シリーズ第4弾、新たなる冒険へ。

【特設サイトはこちら】

『路地裏の吸血鬼』
赤川次郎

その路地裏に迷い込んだ者は、命を落とす⁉
貧乏生活を送っていた峰岸の前に突然、立派なドアが現れて⁉
豪華な食事に、怪しげな美女、謎の路地裏に隠された秘密とは⁉
〈吸血鬼はお年ごろ〉新装版シリーズ最新刊‼

こんな世の中、間違ってる!
恋も仕事もままならず、貧乏生活を送る峰岸は、夜の路地裏をあてもなくさまよっていた。
そんな彼の前に突然現れたのは立派なドア。
中に入ると、豪華なステーキとワイン、そして妖しげな美女が彼を待っていて……。
クロロックが謎の“吸血事件”の真犯人を追う表題作に加え、「吸血鬼の人生相談所」「吸血鬼の出張手当」の2編を収録。
人気シリーズ新装版、第32弾!

人気シリーズ2作の最新刊!
現代を生きる若き忍者の活躍を描く『梟の咆哮』
先日までこちらのnoteで連載をしていたものが文庫になりました!
前巻で超アウトロー競技”ハイパーウラマ”に出場した主人公・榊史奈。今作では自分たち〈梟〉のルーツを探るため京都・丹後へと旅に出ます。それは、ハイパーウラマで関わった〈狗〉の一族のひとり、十條を探す旅でもありました。
〈狗〉の隠れ里を見つけた史奈ですが、彼らは重大な問題を抱えていて……? 一方、新たな出会いと別れが訪れます。
以前は敵同士だった〈梟〉と〈狗〉の共闘に胸が熱くなります! 彼らの高い身体能力を活かしたアクションシーンは今回も必見です!
『路地裏の吸血鬼』は大人気シリーズの新装版第32弾!
今回もスーパー吸血鬼クロロックが大活躍!
表題作「路地裏の吸血鬼」ではある路地裏で人が殺される事件が!? しかもその人は全身の血を抜かれていて……? 犯人は吸血鬼なのか否か!
その他クロロックの娘・エリカの友達、佳子の身に起きた事件の顛末「吸血鬼の人生相談所」、クロロックとエリカが共に行った海外出張先で起きた事件「吸血鬼の出張手当」の全3編を収録。個性豊かなキャラクターたちが魅力的で、クスリとしながら楽しく読める作品になっています。

いかがだったでしょうか?
今月もバラエティ豊かな集英社文庫でした。
来月の刊行もお楽しみに!

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