見出し画像

新刊のご案内【集英社文庫10月刊】

みなさんこんにちは。
集英社文庫noteです。

金木犀が香り、夜が長くなる秋。
寝る前にお気に入りのエッセイを一章ずつ読んでほっこりしてみたり、ページをめくる手が止まらないミステリーを読んでついつい夜更かししたり。
温かい飲み物と一緒にまったり読書はいかがですか?

さて、10月20日に集英社文庫の10月刊が刊行されました。
今月は11作品。

こちらの記事では、それぞれの魅力をご紹介していきます。
みなさんのお気に入りの一冊が見つかったら幸いです。


ついに刊行開始!チンギス・カンの生涯を描く壮大な歴史大河ドラマ第一巻

まずはこちらの作品をご紹介!

『チンギス紀 一 火眼』

『チンギス紀 一 火眼』
北方謙三

火こそ、眼に燃えよ。
草原に生まれ、大地を生きた男の生涯が、ここから始まる。
チンギス・カンを描く大長編、待望の文庫版連続刊行スタート!

12世紀。草原に暮らすモンゴル族の有力氏族キャト氏の長・イェスゲイの嫡男として生まれたテムジン。
モンゴル族を束ねるはずだった父がタタル族に殺害され、ほかの氏族が台頭する。
危機的な状況のもと、13歳になったテムジンはある事情から異母弟を討ったのち、独り砂漠を越えて南へと向かった……。
人類史を一変させた男、チンギス・カンの激動の生涯を描く物語がいま、始まる。

いよいよ刊行となった北方謙三『チンギス紀 一 火眼』
今月から、文庫版連続刊行開始です。楽しみにしていた方も多いのではないでしょうか?
第一巻となる今回は少年テムジン(のちのチンギス・カン)が草原を追われるところから物語が始まります。
追っ手を振り切るため、南方の金国へと逃げ込むテムジンは、奴僕だった少年ボオルチュと出会って共に行動するようになります。そして、金国・大同府で妓楼と書肆を営む簫源基の下で働き、学びます。
一方、モンゴル族が暮らす草原では、指導者イェスゲイの死により各氏族が睨み合い、不穏な雰囲気に。
一つの国の歴史を追う壮大な物語の幕開け。多くの登場人物が出てきますが、それぞれが強い信念と意思を持って動いているところが印象的です。ひたひたと静かな熱を感じ、未来が動く予感にあふれています。これから彼らがどうやって出会い、関わり、物語が紡がれていくのか。早く続きが読みたくなる第一巻です!
次巻は来月刊行予定ですのでしばしお待ちを! 

建築から見る時代の流れ

続いてはこちらの2作品をご紹介!

左から『剛心』、『戦国の山城をゆく 信長や秀吉に滅ぼされた世界』

『剛心』
木内 昇

東京を、日本をどう建て直すのか。
己の信念を貫き、日本の未来を創った明治期の建築界の巨匠・妻木頼黄よりなかの闘いを描く長編。

明治19年、壮大な建築物が連なる街造りで異国に国力を示したい外務大臣の井上馨が「官庁中央計画」を打ち立て、米国帰りの建築家・妻木頼黄が参加する。
だが、江戸の町並みを愛する妻木は、単に西欧を模倣した都市計画に反発。
西欧の新技術を取り入れつつ、日本的な美しさを大切にして、赤レンガ倉庫や日本橋などを手がけるが――。
己の信念を貫き、日本の未来を造った建築家・妻木の闘いを描く長編。

『戦国の山城をゆく 信長や秀吉に滅ぼされた世界』
安部龍太郎

山城やまじろから平城ひらじおへ、それが戦国時代最大の転換期だった!
岐阜城、岩村城、安土城、比叡山延暦寺、播州三木城――。
直木賞作家と、戦国の風景を旅してみませんか? 歴史探訪エッセイ。

山城とは文字通り、高所の利を活かすため山中に築かれた城のこと。
岐阜城、小谷城、丹波八上城など、今でも山城跡にはさまざまな合戦譚や悲恋、涙を誘う落城物語が残る。
戦国時代に数多く建てられ、やがて滅びたその城たちにはどのような来歴があったのか。
歴史小説家の著者が各地を訪れその空気に触れることで、過去と現代を繫ぐ壮大な旅に読者を誘う、ロマンの詰まった歴史探訪エッセイ。

歴史や時代を感じる2冊をご紹介。今月の時代物は"建築"の観点から歴史を感じる作品です。
『剛心』は日本が近代化する明治時代に建築家として活躍した、妻木頼黄を描くドラマ。
江戸から明治へと変わり世の中が急速に変化する中、木造建築から耐火性に優れた西洋風のレンガ造りの建築が増えていきます。政府直属の「臨時建築局」に配属された妻木は、官僚として建築物を設計し今に残る美しい建物や橋などを作っていきます。
彼の一生を追うことで、同僚や後輩など周囲の人間から人物像が見えてきます。信念を持ち、気高く賢く立ち回る妻木には感心しますし、彼を慕う周囲の人間との絆に胸が熱くなります。
『戦国の山城をゆく 信長や秀吉に滅ぼされた世界』は歴史小説家の著者が、各地の山城跡を訪れる歴史探訪エッセイ。
著者の豊富な知識と共にありありと描き出される城跡には、行ってみたくなる魅力が沢山。今はなくなってしまっているものも多いからこそ、史実と照らし合わせ、そこで繰り広げられたドラマを想う楽しさがあります。
地図や資料と共に紹介してくれるのでわかりやすく、想像が膨らみますよ!

日常に目を向け、楽しく健康に生きるために。

次は、こちらの3作品をご紹介。

『機嫌のいい犬』
左から『正しい医学知識がよくわかる あなたを病気から守る10のルール』、『着物の国のはてな』

『機嫌のいい犬』
川上弘美

自由でたのしい、17文字の言葉の世界。
人気作家の第1句集が待望の文庫化!
1994年〜2009年の220句に加え、長嶋有氏との対談も新規収録。

「はつきりしない人ね茄子投げるわよ」
「はるうれひ乳房はすこしお湯に浮く」
「徹頭徹尾機嫌のいい犬さくらさう」
作家であり、俳人でもある著者の初句集。
日常、旅、食卓、恋……さまざまな光景が自由奔放に描き出される220句を、1994年から2009年まで年代順に収録。
巻末には、俳句仲間の作家・長嶋有さんと俳句の魅力を語り尽くす対談を追加。
あらたな川上ワールドの魅力に浸れる一冊。

『正しい医学知識がよくわかる あなたを病気から守る10のルール』
津川友介

ハーバード大学を経てUCLA准教授として活躍する医師が、確かな科学的根拠エビデンスに徹底的にこだわった黄金の健康習慣。
中高年がいつまでも健康でいるために「やっていいこと」「悪いこと」。

「○○が健康に良い」
「○○をするだけで病気にならない」
その情報、信用しても本当に大丈夫ですか? 
本書では、ハーバード大学を経てUCLA准教授として活躍する医師が確かな科学的根拠に基づき、がん・脳卒中・糖尿病・アレルギー等、深刻な病気を予防する10のメソッドを紹介する。
睡眠・食事・運動・入浴……誰でもすぐに始められる、黄金の健康習慣。
中高年の健康づくりに欠かせない一冊!

『着物の国のはてな』
片野ゆか

自由にお洒落に着物を着よう!
堅苦しいルール、いつ誰が決めたの? 
着物初心者のノンフィクション作家が、着物をとりまくモヤモヤを解き明かすノンフィクション。

着物だとなぜ老けて見える?
ルールが複雑で根拠も不明、そもそも着方がわからない、仕舞うのが面倒――。
愛犬同伴で居酒屋に行くなどの日常シーンでゆるっと着物を楽しみたいと願う初心者の著者が、着物をとりまくモヤモヤを解き明かす! 
〝着物の国〟の約束事がどこからきたのかを徹底取材することで、着物を自由でお洒落なワードローブのひとつにする方法を探る。
痛快謎解きノンフィクション!

【特集サイトはこちら】

日常に寄り添い、楽しさや学びをくれる本3冊をご紹介。
川上弘美さんの第一句集が待望の文庫化!『機嫌のいい犬』。
十七文字で表現される楽しくて愛おしい、何気ない日常のひとかけらたち。リズムを感じられる生き生きとした俳句は、目の前に情景がありありと思い浮かびます。
文庫化にあたって、長嶋有さんとの対談も収録。お二人が俳句を始めたきっかけから、句会の様子まで、楽しそうにお話しされる様子から俳句のことを身近に感じられるかもしれません。季語をいれなければとか文字数をしっかり守らなければとか、俳句に対してハードルが高いと感じる方もいらっしゃると思いますが、自由でいいんだよと背中を押してくれる句集です。
『正しい医学知識がよくわかる あなたを病気から守る10のルール』
睡眠、食事など生活の基本になるところから、ストレスや新型コロナ、インフルエンザなどの流行病等現代社会における問題まで10の分野に分けて知識を授けてくれるノンフィクション!
確かな科学的根拠エビデンスに基づいた専門的な知識をわかりやすい言葉で教えてくれるので、明日からも実践できる健康法が満載です。
人間は体が資本。まずはこの一冊から、明日の自分の体を守るための知識を身に着けてみませんか?
着物初心者の著者が着物に対する「なんで?」を徹底調査したノンフィクション『着物の国のはてな』。
着物って、敷居が高く感じませんか? そんな人こそ読んでほしい「なるほど!」が詰まった楽しい一冊です。綺麗な着物の着方や、着付けをする上での便利グッズのお話し、着物でのマナーのお話など様々な「これってどうなの?」をその道のプロフェッショナルにお話を聞いてまとめていて頷けることばかりです。
文庫化を記念して着物着付け講師のきものすなおさんと著者の片野さんの対談が新しく収録されています。
お二人の着物の着こなしもとっても素敵で、特集ページにてフルカラーのお写真を掲載しておりますのでそちらも併せてチェックしてみてください!

秘密は暴くべき? 心に響くサスペンス&ミステリー

続いてはこちらの3冊をご紹介。

『あかずの扉の鍵貸します』
左から『カッコウ、この巣においで』、『誘拐の代償』

『あかずの扉の鍵貸します』
谷 瑞恵

扉の向こうに待つのは、優しい奇跡。
「秘密」を閉じ込める北鎌倉の洋館が舞台の
心温まるファンタジック・ミステリー。

火事で家族を失った大学生の朔実は、恩人に頼まれて「まぼろし堂」と呼ばれる北鎌倉の洋館を訪れる。
洋館のあるじの幻堂風彦が案内してくれた館内には迷路のように連なる大小様々な部屋があり、閉じ込めたい秘密を抱える人たちに、これらの「あかずの扉」を貸し出しているという。
訳ありげな下宿人たちとともに館で暮らすことになった朔実だが……。
心温まるファンタジック・ミステリー。

『カッコウ、この巣においで』
富良野 馨

ほんとうの家族って、何ですか?
孤独な作陶家と親の愛を知らない少年。
二人の穏やかな生活は、実の息子の帰還で、脆くも崩れ去る――。
京焼きの窯元が舞台の、濃密な家族小説。

京都で孤独に作陶を続ける高義は、土を採りに入った山中で、傷だらけの少年と出逢う。
少年は駆と名付けられ、いつしか師匠と弟子として、寝食を共にするように。
親から愛されずに育った駆にとって、初めて手にした安穏だった。
しかし、高義の実の息子が帰ってきたことで、状況は一変。
居場所を失いたくない駆の心は、徐々に暴走し始め――。
三人が一つの巣で暮らすことは叶うのか。
濃密な家族小説。

【特集サイトはこちら】

『誘拐の代償』
生馬直樹

謎の焼死体、社長令嬢誘拐事件、少年たちの約束――。
人生を懸けた犯罪計画。
衝撃の長編ミステリ!

父親が暴力団会長の陸人。
虐待を受け児童養護施設で育った航。
愛人殺しの罪で服役中の父親を持つ匡海。
少年時代に出会った三人は誓う。
自分たちが笑って暮らせる、不条理な世の中とは「真逆の世界」を実現させると。
やがてヤクザとなった彼らは、地元・新潟にある大手製薬会社の社長令嬢誘拐計画を立てるが――。
苦しいほどの切なさが胸に刻まれる、衝撃の長編ミステリ。(『フィッシュボーン』改題)

秘密や過去がキーワードとなる作品3作をご紹介。
不思議な館を舞台に、人々の交流とそれぞれの秘密に寄り添うファンタジックミステリ『あかずの扉の鍵貸します』。
両親が火事で亡くなり天涯孤独の主人公・朔実は恩人の最期の頼みを聞き、北鎌倉にある「まぼろし堂」を訪れます。そこは沢山の扉と小部屋に溢れた奇妙な館。そして、オーナーである幻堂風彦は建築家であり、”あかずの扉”の貸出人でした。秘密や隠しておきたいものを置いておくことができる”あかずの扉”の鍵は扉ごとに1本のみ。そこに隠されているのはどんな秘密なのか。
秘密は誰かに共有することで楽になったり、些細なことだけれど当人にとっては重要な意味があったり、人それぞれです。朔実は”あかずの扉”にかかわる人々を間近で見て人の優しさや、人と関わることの温かさを知ります。そして、静かな恋も動き出します。
金木犀が香る洋館での心温まるファンタジック・ミステリ。この時期にぴったりの作品です。
『カッコウ、この巣においで』は愛を知らない少年と、不器用な男、そして二人を囲む人々のあたたかな家族小説です。
京都で陶芸家をしている高義は、作陶用の粘土を採取しに行った山の中でボロボロの少年と出会い、彼を引き取って弟子として共に暮らすことを決めます。駆と名付けられた少年は、育児放棄をされていました。高義の下で初めての感情や経験に沢山触れて本物の親子のようになっていきますが、そんな中、絶縁中だった高義の息子が帰ってきます。自分の居場所がなくなるような感覚を覚える駆はそれを失うまいと必死で”工作”を進めますが……。
そんなにひどい目に合わせなくても! と思うくらい重い過去を背負う駆ですが本当に一途で一生懸命で賢い子だからこそ、初めて手に入れた居場所を失うまいと必死な姿が切なく苦しいです。最後まで予想がつかない展開ですが、人の温かさや想いに溢れていて読後感は爽やか。感情を揺さぶられる読書体験をしたい方はぜひ!
儘ならない少年時代を送った3人の少年たちが大人になり、破滅していくサスペンス『誘拐の代償』。
ヤクザの息子・陸。虐待され児童養護施設で育った航。父親が服役していた匡海。いつか、自分たちが笑って暮らせる世の中をつくろうと約束した少年たちは大人になり、陸を中心にヤクザとして密漁ビジネスを始めます。
しかし予定外のハプニングが起こり急遽大金が必要になった彼らは、社長令嬢の誘拐を画策します。ですが……。
それぞれの視点から明かされる事実や想い。少年時代からお互いを大切にしていた彼らはその思いが故に、すれ違います。
切ないですが、彼らの行く先を見届けたくなる、衝撃のミステリです。

大人気のシリーズ最新刊! ドキドキハラハラが止まらないエンタメ小説

最後にこちら2冊をご紹介。

左から『ばけもの好む中将 十三 攫われた姫君』、『吸血鬼は炎を超えて』

『ばけもの好む中将 十三 攫われた姫君』
瀬川貴次

「やはり、初草はきみに任せておけば安心だな」
大切な初草を救うため、宗孝は意を決して凶賊の牙城へ――!
平安冒険譚、佳境!

「十二の君は預かった」。
不吉な投げ文に、慌てて真白の実家に向かった宗孝。
姉の無事を確かめてほっとしたのも束の間、宣能の妹・初草が凶賊・多情丸に連れ去られたことが発覚する。
初草を取り戻すため、宣能と宗孝は夜の都を駆け回るが……。
いよいよ迎えた多情丸との直接対決、その衝撃の顚末とは!? 
さらに、事件の裏でそれぞれの恋路が密かに動き出し――。
平安冒険譚、シリーズは佳境へ。

【シリーズ紹介サイトはこちら!】

『吸血鬼は炎を超えて』
赤川次郎

「急いで脱出せねば、ここにいる全員焼け死ぬぞ」
28階では……、人気アイドルグループに熱狂中!
5階では……、火の海状態で白い煙が充満中⁉

取引先の新社屋完成披露パーティに招待された吸血鬼父娘一行。
だが、クロロックは微かなこげくささと血の匂いを察知する。
ソロデビューをもくろむアイドルや社の後継者である社長令息、華やかなパーティ……真新しいビルの中、様々な思惑が交差する裏で、火の手は静かに迫っていて!?
表題作ほか、「吸血鬼は裏切らない」「すべての道は吸血鬼へ続く」の2編を収録。
人気シリーズ新装版、第31弾!

大好評シリーズ2作品をご紹介!
前巻、不穏な影が暗躍していた『ばけもの好む中将 十三 攫われた姫君』。
主人公・宗孝の姉・真白を狙ったはずの敵は、間違えてばけもの好む中将・宣能の妹・初草を誘拐。
妹を奪還するため、宣能は宿敵・多情丸の下へと急ぎます。宗孝も共に戦いますが、宣能の手を血で汚したくないと悩み……。
急展開の十三巻! また、それぞれの恋路も少しずつ動き出し今後の関係性がどうなるのかも注目です。
『吸血鬼は炎を超えて』はシリーズ31巻目
今回もいろいろな事件が⁉ しかしご安心を。頼りになる吸血鬼・クロロックさんが華麗に解決してくれますよ。
楽しい会話のやり取りにクスっと笑って愉快な気持ちになれる作品です。
解説はひだかなみさん。「吸血鬼はお年頃」シリーズのイラストを担当されています。巻末特集としてひだか先生の過去16年分の連載扉イラストも収録。文字でもイラストでも楽しめる1冊です!

いかがだったでしょうか?
今月もバラエティ豊かな集英社文庫でした。
来月の刊行もお楽しみに!

集英社文庫noteでは連載小説からおすすめ本、裏話まで様々な情報を発信中です!
フォローやスキでの応援、よろしくお願いいたします!


いいなと思ったら応援しよう!