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新刊のご案内【集英社文庫8月刊】
みなさんこんにちは。
集英社文庫noteです。
まだまだ暑い日が続く8月。この暑さは10月まで続くとか……。
皆様ご自愛くださいね。
台風などにも気を付けて、穏やかな日々を過ごしたいものです。
さて、8月21日に集英社文庫の8月刊が刊行されました。
今月は12作品。
こちらの記事では、それぞれの魅力をご紹介していきます。
みなさんのお気に入りの一冊が見つかったら幸いです。
大注目の話題作!
まずはこちらの2作品をご紹介!
![](https://assets.st-note.com/img/1724922111967-C3PD7szoIy.jpg?width=1200)
『フェイクフィクション』
誉田哲也
警察組織 vs.悪魔と呼ばれる男 vs.カルト教団 vs.元キックボクサー。
囚われた”彼女”の奪還。愛する人を失った者たちの復讐劇が始まる。
信仰心に警鐘を鳴らす鮮烈長編!
都下の路上で首無し死体が発見され、刑事の鵜飼は現場に急行、地取り捜査を開始する。
司法解剖の結果、「斬首」により殺害されていた事が判明。
一方、プロキックボクサーだった河野潤平は引退後、都内の製餡所で働いていた。
職場の新人・美祈に一目惚れするが、美祈が新興宗教「サダイの家」に関係していると知り……。
純粋な信仰心の向かう先にあるものとは。センセーショナルな長編小説。
『この部屋から東京タワーは永遠に見えない』
麻布競馬場
SNSで大反響! 東京に来なかったほうが幸せだった?
虚しさと諦めのショートストーリー22編。
第171回直木賞候補作「令和元年の人生ゲーム」で話題! 注目の覆面作家のデビュー作!
「みんな、高校卒業おめでとう。最後に先生から話をします。この街を捨てて東京に出て、早稲田大学の教育学部からメーカーに入って、僻地の工場勤務でうつになって、かつて唾を吐きかけたこの街に逃げるように戻ってきた先生の、あまりに惨めな人生の話を——」(「3年4組のみんなへ」)など、Twitterで大反響を呼んだ虚無と諦念のショートストーリー集。
話題の覆面作家、衝撃のデビュー作!
最初にご紹介するのは、信仰心に警鐘を鳴らす衝撃作『フェイクフィクション』と話題の覆面作家のデビュー作『この部屋から東京タワーは永遠に見えない』。
『フェイクフィクション』は様々な人間が入り乱れるサスペンス。
”首無し死体”が発見される衝撃的なところから物語が始まり、警察の捜査が進みます。一方その頃、プロキックボクサーだった潤平は職場で新人の美祈に一目ぼれしますが彼女は新興宗教「サダイの家」の信者のようで……?
登場人物がそれぞれにワケを抱え、己が目的のために必死で何かを成し遂げようとする様に胸が熱くもなり痛くもなります。そして互いの過去が絡み合い繋がっていくラストにはたまらない爽快感が! 一気読み必至の作品です。
『この部屋から東京タワーは永遠に見えない』はX(旧Twitter)上で発表された麻布競馬場さんのショートストーリーを集めた一冊。ままならない日々に、何とか息をしようとして、諦めと虚無を抱えながらも生きている現代人のリアルをまざまざと感じます。
決して読み終わった後に明るくなれる種類の作品ではないのですが、孤独感の共有をしてくれるので、不思議と”一人じゃない”としみじみ感じさせてくれる作品です。あ~! いる! わかる! と思ってしまうような登場人物ばかりです。
”今”を見つめ”未来”を照らし、生き方を考える
続いてはこちらの2作品をご紹介!
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『人生の道しるべ』
宮本輝 吉本ばなな
「幸せ」を見つける、知恵の対話。
創作の作法、家族と結婚、健康、死生観……ふたりの作家の思索が詰まった対話集。
世代も作風も異なるふたりの作家の共通点は、人間の「生」を力強く肯定する作品を書き続けていること。
「ぼくは、小説の世界では、心根のきれいな人々を書きたい」(宮本輝)。
「読んだ人に『自分と同じだ』と感じてもらえたら、ちょっとした治癒が起きるんじゃないか」(吉本ばなな)。
創作の作法、家族、健康、死生観……。
小説が問いかける「幸せ」のかたちとは?
知恵と思索が詰まった珠玉の対話集。
『僕たちはどう生きるか めぐる季節と「再生」の物語』
森田真生
未曽有のパンデミック、加速する気候変動――。
2020年春からの混沌と再生を記録した、四季折々のドキュメント・エッセイ!
不気味で、不透明で、不確実なこの時代をしなやかに生き抜くための必読書!
2020年春。未知のウイルスの拡大と、地球規模の気候変動を前に、あたりまえの日常は失われつつあった。
独立研究者として全国を飛び回っていた著者は、京都の自宅で幼い息子たちと菜園作りを始める。
裏庭の草花や生き物との交流。子どもたちとの他愛ない会話。
その生活は、感動と発見に満ちていた!
先の見えないこの時代を、いかに生きるべきか。模索し続けた4年間を綴ったドキュメント・エッセイ。
ふたつの視点から生き方を考える作品をご紹介。
宮本輝さん、吉本ばななさんの学びが深い対話を7つ収録した『人生の道しるべ』。
年代も作風も異なる二人の作家の対話ですが、終始互いへのリスペクトとあらゆるものへの温かなまなざしを感じ、優しい気持ちになれる1冊です。
収録されている対話は、時を開けて何度か行われたもの。今を真摯に生き作品を生み続けているお二方だからこそ、その間にも様々な気付きがあり、それを私たちにも共有してくれる貴重な作品です。
『僕たちはどう生きるか めぐる季節と「再生」の物語』はコロナ渦で世界が一変した2020年春からの思索と試作の記録。
独立研究者の著者・森田さんの日々の日記とその詳細でエッセイは進んでいきます。
研究者ならではの膨大なデータや論文をもとに書かれた本作は、惜しげもなく知識を、驚きを与えてくれます。
現代に生きる私たちが経験した忘れられないコロナ禍の記憶を、風化させずに残してくれる一冊となっています。
ハラハラ、ドキドキ満載のサスペンス&ミステリー
次は、こちらの4作品をご紹介。
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![](https://assets.st-note.com/img/1724922184531-Gdv02DpLED.jpg?width=1200)
『対になる人』
花村萬月
心理の奥底の闇――。
心理的トラウマ、DV、解離性同一性障害、PTSD……。
唯一無二の作家が、現代人が抱えるテーマに対峙し、踏み込んだ小説。
札幌に引っ越してきた小説家の逸郎は、クラブで紫織と出会う。
彼は紫織が多くの人格を内包する解離性同一性障害だと気づき、現れた人格に名前を付けて認識する。
毅然とした「あかり」、高校生のような「さゆり」、死にたいと繰り返す「ひかり」……。
壮絶な過去や、夫からのDVが明かされ、逸郎は五十もの人格との異常な日々に飲み込まれていく。
圧倒的な生々しさで描かれる迫真のサイコスリラー。
『トラッシュ』
増島拓哉
死にたい若者の社会への復讐劇。
集団自殺に失敗した若者6人は「世直し」活動を始める。やがて幼稚な正義感と自己顕示欲が暴走し……。
屑どもの衝動を描く青春小説。
「一遍死んだんやから、もう怖いものはない」。
いじめ、差別、親との確執、それぞれの理由で集団自殺を試みた6人の若者。
しかし闇サイトで入手した薬が偽物で全員生き延びてしまう。
どうせならやりたいことをやって華々しく散ろう。
彼らはドラッグ売人狩りや差別団体へのテロなど、犯罪も辞さない世直し活動を始める。だがその正義感と自己顕示欲は次第に暴走し——。
悲しいクズたちの青春群像劇。
『転売ヤー殺人事件』
松澤くれは
転売、死すべし。
高額転売、リア凸、炎上……現代社会の暗部をリアルに描き出す衝撃作。
プロとして、誇り高く転売行為を続ける「俺」。
しかし巷では転売ヤーを狙った連続殺人事件が発生、現場の動画がSNSで拡散され、転売が社会問題として連日ワイドショーでも話題となる。
身の危険を感じつつ転売を続けている中、「俺」は人気中学生配信者の凸を受けてしまったことから自宅を特定され、転売ヤーの元締め「転売王」だという事実無根の噂を流されるなど、とんでもない状況に陥り……。
『エイリアス・エマ』
エイヴァ・グラス 池田真紀子:訳
英国新人スパイ、エイリアス (またの名を)・エマ登場――。
ハイテク化されたロンドンを疾走、知恵と体力で暗殺者の追跡をかわせ!
あなたを守れるのは、私一人……。
CWA賞(英国推理作家協会賞)イアン・フレミング・スチール・ダガー最終候補。
英情報機関の新人スパイ〈エマ〉に初の重大な指令が下る。
亡命したロシア人科学者夫妻の一人息子、医師のマイケルを単独で保護せよ。
だが現在、ロンドンの監視カメラ・ネットワークはロシアの諜報員にハッキングされている。
二人はカメラを避け、敵の拉致・暗殺チームの追跡をかわしながら市街地を縦断し、自力でMI6本部にたどりつかねばならない……。
英国推理作家協会賞スチール・ダガー候補。
今月はそれぞれユニークかつスリリングなサスペンスとミステリーが沢山。
『対になる人』は現代人が抱える闇を痛切に描き出す迫真のサイコスリラー。
主人公の小説家・菱沼逸郎は作品の執筆のために北海道へと渡ります。そこで出会ったクラブのママ・紫織と親交を深めてゆきますが彼女は解離性同一性障害で……。
紫織の中の様々な人格が入れ代わり立ち代わり登場するのですが、どの人格も愛らしさと切なさと哀しさを持っており、またその人格発生の理由が苦しく、胸を締め付けます。感情を激しく揺さぶられる作品です。
死にたい屑たちの青春群像劇『トラッシュ』。
集団自殺に失敗した6人の若者たちの社会への復讐を視点を入れ替えながら描く物語です。
死にたい理由はそれぞれいろいろあるのですが、何か一つでも違ったらきっと彼らはこうなっていなかったのかもしれない、と思わせる刹那的かつ若さゆえの必死さ、傲慢さが悲しい。衝撃のラストにも注目です!
誇り高き転売ヤーが命を狙われることになる『転売ヤー殺人事件』。
人気商品を購入しフリマサイトで売りさばく自称”プロの転売ヤー”の主人公。しかし転売ヤーをターゲットにした殺人事件が発生し、転売が社会問題として取り上げられます。挙句の果てに中学生Youtuberに「転売王」として無許可の突撃取材をされると、話はどんどん大きくなって身の危険を感じるまでに。しかし彼が転売をするのはとある過去の出来事が関係していて……?
身勝手な道理を振りかざし、自分を正当化しようとする主人公は、謎の犯人から逃げ切れるのか!? その結末はぜひご自身の目でお確かめください!
『エイリアス・エマ』は、若き新人スパイが主人公のサスペンス。現代のロンドンを舞台にスピーディーなアクションが繰り広げられます。
英情報機関<エージェンシー>に所属するエマは、ロシアから亡命した父母をもつ小児科医のマイケルを保護するミッションを任されます。しかし、上官との連絡が取れなくなりなんだかきな臭い雰囲気に。しかも手段を択ばないロシアの追跡者たちから執拗に追われ、頼れるものもない中、安全地帯であるMI6本部を目指します。
スパイというと、目立たないように潜入し危険な任務に挑む、というイメージが強いかもしれませんが、こちらはロンドンの町を駆け抜ける緊迫のチェイスが続き、ドキドキハラハラ。躍動感とスリルが満載の一冊です。
学びが深いノンフィクション
続いてはノンフィクション2冊をご紹介。
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『ばらまき 選挙と裏金』
中国新聞「決別 金権政治」取材班
政権中枢の巨額「裏金」疑惑を追う!
広島の地元紙が自民党の「不透明なカネ」に切り込む渾身の調査報道!
自民党衆院議員が妻の参院選出馬に際し、地元の議員らにカネを配って回った前代未聞の買収事件。
その額は100人で計2871万円にのぼる。
なぜ、この事件は起きたのか。
本当の〝巨悪〟は。広島の地元紙が総力を挙げて「政治とカネ」の取材を続けるうち、買収の資金源とも目される自民党の巨額「裏金」問題へと繫がってゆき——。
政権中枢の問題をあぶり出した取材とその裏側を描く執念のノンフィクション。
『あなたの隣にある沖縄』
澤宮 優
「なぜ実家の熊本にブーゲンビリアの花?」
そこから始まった、ヤマトンチュによる沖縄をたどる旅。
中世のグスク(城)、学童集団疎開、ハンセン病、基地問題……。
沖縄の過去と現在を見つめ、未来を照射するノンフィクション。
沖縄は好きですか? 年に何回くらい行きますか? 現地に行かずとも沖縄を感じられるものがあるといいですよね。
身近な草花や歌謡曲、TVのヒーローものや美術作品など、あなたが触れる身近なものに、実は沖縄とのリンクが存在します。
それらを頼りに、沖縄の歴史や現在抱えている問題を見つめ直すノンフィクション。
丹念な取材で、曖昧な知識を確かな認識へと昇華させた、著者の真骨頂といえる本。
中国新聞が「政治とカネ」の問題を徹底して追った記録『ばらまき 選挙と裏金』。
2019年7月の参議院選広島選挙区を舞台に行われた裏金献金疑惑を追い、そのさらに奥にある政権中枢の「裏金」へと迫ります。
事実と共に、新聞記者がどのように取材を行い記事を出したのか、というプロセスにも触れることができる興味深い一冊です。
単行本は2021年12月に発行されましたが、文庫化に当たり150ページ近くの新規書下ろし部分を追加。”現在”の問題として、一度読んだ方でも新鮮に読み直していただけるものになっています。
『あなたの隣にある沖縄』は沖縄に対して歴史や文化などいろいろな角度から迫るノンフィクション。この集英社文庫noteで連載されていたものがついに文庫化されました。
連載時から構成を変えてよりテーマごとに読みやすくなっています。
忘れてはいけない沖縄が内包した問題や歴史を、わかりやすく教えてくれるノンフィクションです。
過去の時代へタイムスリップ! 人とのつながりを感じられる時代もの
最後にこちらをご紹介。
![](https://assets.st-note.com/img/1724922262778-qWSxDSGWug.jpg?width=1200)
『ばけもの好む中将 十二 狙われた姉たち』
瀬川貴次
シリーズ最大の危機!
「わたしはね、きみが思っているほど善人ではないのだよ」
友を案じて空回りし続ける宗孝に、恐ろしい魔の手が忍び寄る――!
凶賊・多情丸への仇討ちに燃える〈ばけもの好む中将〉宣能。
怪異探しに出かけることも、めっきり少なくなってしまった。
宣能の復讐計画を思い留まらせたい宗孝は、死霊と出遭う辻があると連れ出すも、ふたりの心はすれ違うばかり。
一方、宗孝の姉・十郎太を何とかして誘き出し、わがものにしたいと企む多情丸は、宗孝の他の姉たちを新たな標的に。
平安怪異冒険譚、第12弾。シリーズ最大の窮地!
『深川めおとそば』
吉村龍一
香り高い米沢の蕎麦を広める! 江戸一番を目指せ!!
深川の多彩な人々の知恵と温かさに支えられ成長する若者たち。
書き下ろし人情時代小説。
おみなと幼馴染みの力也は、米沢上杉家の命で江戸深川に蕎麦屋を開く。
地元産の原方蕎麦粉で作る挽きぐるみは、香り高くコシがあって旨い。
だが、喉越しのいい更科を好む江戸っ子に背かれ、三月経っても客がこない。
ある日、少女に無銭飲食されて……。
故郷の蕎麦粉を広めるため、究極の蕎麦とつゆを目指し研鑽を積む若者たち。
深川の人々の知恵と温かさに支えられ成長する姿を描く人情時代小説。
平安時代が舞台の『ばけもの好む中将 十二 狙われた姉たち』はついに12巻! シリーズ最大の危機が到来⁉
今作では宗孝の個性豊かな姉たちが、次々怪しい男たちに狙われます。しかし姉たちは強し。ハラハラしつつもクスリと笑える事件の連続です。
その一方で因縁の相手・多情丸への復讐に燃える宣能との関係にも頭を悩ませる宗孝。問題は山積みなのですが、空回りしてばかりで解決の糸口が見つけられず……。すれ違う宗孝と宣能。二人の関係、そして巻き起こる事件と、次巻が待ちきれない展開になっています。
『深川めおとそば』は米沢藩の密命で江戸深川に蕎麦屋をひらくおみなと力也の物語。田舎そばはなかなか受け入れてもらえず商売あがったりな日々。しかし新たな出会いや気づきで、二人はどんどん成長し、お店も軌道に乗っていきます。心温まる交流と人情にあふれる時代小説です。
そして読んでいるととてもそばが食べたくなります! おいしそうなそばが沢山出てきますので、お楽しみに。
いかがだったでしょうか?
今月もバラエティ豊かな集英社文庫でした。
来月の刊行もお楽しみに!
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