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『N』(道尾秀介/著)をオススメ!

今回の担当者:よっしー
お酒より甘味派、特に抹茶スイーツが好物。
家ではベッドに寝転がって本を読んだり、お風呂でのぼせるまでYouTubeをみたりとのんびり過ごしがちだが、仕事はきっちり早めに進めておきたいタイプ。
ミステリ、ファンタジー、アツいスポーツもの、心温まるヒューマンドラマなどの作品が好み。
幼いころから図書館っ子で大学時代は書店アルバイト、そして文庫の販売担当になった筋金入りの本好き人間。

作品制作・写真/金沢和寛

1冊の本なのに、720通りの物語?
読む前はどういうことなのか想像すらできなかったのですが、読み始めると、とにかく凄い……まさに「未知の読書体験」でした。

この本は6つの章で構成されていますが、読む順番はなんと自由。自分で読む章を選択して読み進めていくので、人それぞれで違う物語が出来上がるのです。また、章と章のつながりを断つために1章ごとに上下逆転して印刷されています。そのため、本をひっくり返して読む章もあるという、今までにない作品なのです。

6つの章の主な舞台は「つ」の字型の湾がある、海沿いのとある街。それぞれ語り手は異なりますが、登場人物たちが少しずつリンクしていきます。
自分で選択しながら読み進める中で、一つ前に読んだ章で謎だった部分の答え合わせができたりもしてハッとしました。これは……たまたま自分の選んだ順番が良かったのか? それとも、どの順番で読んでも気づきがあるようにできているのか……?
次は何が起こるのか、予測不可能なスリルもありますし、読後感がどうなるかは自分の選択次第です。偶然か必然か、バラバラのはずなのに、リンクしていく物語に魅せられてしまいました。私が選んだのは、少し苦さは残るものの、希望が持てるような結末の物語でした。

720通りの読み方があるので、「どの順番で読んだ?」「おすすめの順番は?」ということを人と話したくなる、というのもこの本の魅力だと感じます。これを先に読んでいたら? この話が最後だったら……と読み終えてからも考えてしまいました。また、次はこの順番で読んでみようかなと、違う順番で再読することもできます。1冊で何度も楽しめる本なのです

発売以降、SNSでも話題になり、ずっと売れ続けている本作。現在全国の書店で実施中のふゆイチ2024-2025では、書店員さんからいただいたコメントを使った全面オビで展開中です。ぜひ店頭でお手に取っていただき、自分で選んで作り上げる物語とはどういうことなのか、「体験」していただけたらと思います。

本の詳しい内容はこちらから→『N』


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