ワカサギ☆プーティン
プーティンと言っても隣国の困った大統領のことではない。知る人ぞ知るカナダのソウルフードである。カナダではどんな店でも,メニューになくても注文すれば出てくる。マクドナルドでも食べられる…とネットの情報にあった。本当だった。それもそのはず,プーティンはフライドポテトにカッテージチーズを散らしてグレービーソースをかけまわしただけの極めてシンプルな料理なのである。
秋のカナダを旅しながらプーティンを味わって気づいたことがある。良質のグレービーソースと丁寧にとった鰹だしの餡を見分けるのは困難だということである。餡かけポテトをカナダ人に出したとして,揚げ出し豆腐にグレービーソースをかけて日本人に供したとして,果たして何人が違いに気づくだろうか。天才を自認するボクも自信がない。おそらく両者は味や香りの有機成分が一致していると思われる。つまりプーティンはマックポテトに顆粒鰹だしの餡を掛け回すだけで誰でも作れる。
妻が北米の旅を懐かしむときボクは天才クッカーである。クッカーとは造語で,なぜコックではないのかと言えば,味音痴の妻以外にはテイストする人間がいないからだ。天才と断定するにはいささか客観的評価に欠けている。
さて,プレーンプーティンを作っても天才としては些か役不足である。カナダにはステーキやソーセージをトッピング?したアレンジメニューも豊富にあるようだ。ボクがワカサギ☆プーティンを思いついたのは諏訪湖に浮いたドーム船上でのこと。帰国直後,ワカサギ釣りの名人である友人が竿や仕掛けまで準備して誘ってくれた。湖面から上がってくる銀色の美しい魚体を見ながらカナダで見た湖とプーティンをイメージした。
釣りたてを冷凍しておいたワカサギには溶き卵に微塵のニンニクを忍ばせ市販のてんぷら粉を薄くまとわせた。グレービーソースは固形のビーフコンソメ,チキンコンソメ,顆粒の本だしを合わせ味見を重ねて調整した。動画を録っているのはカナダに短期留学経験の経験を持つリリである。