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のらざあ初体験!

ドレミが昨日の深夜にまた車をぶつけてきた。明らかに過労による注意力散漫が原因である。公教育現場は噂通りのブラック。過労者の大量生産所となっている。そろそろ彼女も限界が来ている。人さまに迷惑をかけたりすることのないよう何らかの対策を取る必要がある。

とりあえずドレミはオーリスRSで出勤させた。6速MTではさすがに過労でぼんやりするゆとりはなかろう。

ボクはオートパルまでミズイロ☆ライフを運んだ。壊れたサイドミラーを手で支えながらだったので、全開の窓から吹き込む氷点下の空気は背中が痛くなるほどに冷たかった。

スタッドレスタイヤ交換の人たちがたくさん順番待ちしている。寒冷地の車工場は忙しい盛りのシーズンであるが、Hさんは快く中古の部品を探してくれると言ってくれた。

「のらざあ」の時間までまだ間がある。工場のショールームに入って暖を取らせてもらった。窓全開運転のため、久しぶりに歯がガチガチ鳴っていた。販売機があったので熱いココアでも飲もうと思ってお財布を出してふと見ると、ボタンに値段が書いてない。これは困ったぞ。

「お兄さん、それはお金は要らんよ。」
「無料サービスずらぁ。」

よほど見かねたのか同時に二方向から声が掛かった。それぞれ紙コップを手にした軽トラのタイヤ交換待ちの客だった。地方は圧倒的な車社会である。お兄さんと言ってはくれるが、二人とも見た目はともかくとして、たぶんボクよりはずっと若い。軽トラのタイヤくらい自分でも替えられそうではある。

とにもかくにもボタンを押しただけで熱いココアがもらえた。紙コップを掌で包んで指先を温めた。

工場があんまり忙しそうなのでHさんに声を掛けずに行くことにした。ここは微妙に富士見町である。原村までは歩かなくてはならない。

昨日はずいぶんと解けていた山の雪が今朝はまた真っ白になっている。「山に七度降ると里にも雪が降る」と言われている…三度だったかな。今年は極端に遅れていたので、寒くなってかえってほっとしている。

いつも車で通り過ぎる道も歩いてみるといろいろなものに気づく。

富士見パノラマスキー場はまだとても営業できそうにない。

いつのまにか村境を越えたようで停留所のある南原公民館の前まで来た。

のらざあ登場。

今年、村のコミュニティバス「セロリン号」が廃止になり、その代わりに走るのが村営の乗り合いタクシー「のらざあ」である。「乗ろうよ」ほどの意味を持つ茅野の方言から名付けられた茅野市の乗合交通システムを丸ごとコピーしている。

最寄りの停留所と時間を予約できるので、コミュニティバスよりは格段に使い勝手がよい。今後、病院の検査や電車に乗るときなど、車の使えない場面で「のらざあ」を利用することが十分に予想される。よい機会なので一度試してみたというわけである。乗客はボクだけだった。

ふだん車を運ぶときは、夜や休日にドレミと二台でオートパルまで下るのだが、彼女は12月1日の定演に向けての練習もあって忙しすぎる。いくらぶつけた張本人だからと言って、仕事や練習で夜遅いドレミに手伝わせるのは酷だろう。

アプリの操作や登録は容易く予約も簡単だった。だが、お年寄りにとってはどうだろう。やはり今のところ電話で予約ということになろうかと思われる。しかし公共交通機関の未来がない地方の集落では自治体によるこのような交通の取り組みがとても大切になってくる。そして経費削減にはITが欠かせない。お年寄りもがんばってシステムについて行くよう努力する必要がある。…もっとも斯く言うボクもお年寄りではあるが…。

窓外にスマホを向けるとドライバーが車を寄せて停まってくれた。「のらざあ」の便利さが、まだなかなか村人に伝わっていないのだろう、トークから揺れない運転までドライバーはサービス満点で普及にこれ努めている。

到着地の停留所はウチから徒歩1分、パンさんのお茶の前だった。ラクチンラクチン。

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