雑談『キャラクターの話』
だいぶ前に鬼越トマホークチャンネルにて流れ星☆瀧上さんのゲスト回が大変勉強になったという話で
流れ星☆がTHE MANZAI認定漫才師に選ばれなくて
初めて挫折した時に『ギャグを取り入れよう』となった話で
『今までは漫才を見てもらおうと思ったけど、ちゅうえいという人を見てほしいと思った』
といってそこから喜怒哀楽のギャグを2人で作って敗者復活から上がってきた話をした。
個人的にこの話は違う所でも聞いた事があるが
『漫才よりも人を見て欲しい』
という所に実は若手でもベテランに負けない要素があるのではないかと思った。
というのは漫才新人大賞なんてわかりやすいもんで
10年未満結成のコンビと10年以上の芸歴コンビだとどうしても技術に差が出てくる。
となると若手で賞レースにおいてどこで負けない部分を作るのかなと考えた時に
1番は「この人どんな人か?」について徹底的に叩く方がキャラクターも立ち
漫才としてもすごく見やすい漫才が出来るのではないかと思った。
同じ舞台で一緒に出てて完全に化けたのは「きしたかの高野」だった。
元々ずっと平場でテレビの時にようにブチギレていたが
自分がムチャぶりで高野氏のプロマイドを作って見せたら
その場で苦笑いして終わった。
更に自分の同期の芸人と呑んだ時に
「ナイツ土屋さんと一緒の席できしたかのの2人もいたけど全然普通なんだよ。あれは売れないよ」
と話していた。
けど、今は違うし、覚悟を決めた感じがした。
衝撃を受けたのが2つある。
1つはR-12022のバレるのプロモーションビデオで高野を追いかけるカメラスタッフに「邪魔だ、どけ!クソがっ!」と突き放す所がある。
普通R-1のカメラに写ったら「この舞台で勝負出来るのだけでも感謝ですね」など決めにかかりたい気持ちなのに
「邪魔だ、どけ!」と突き放した。
あれは人によっては悪い印象を与えるのだが
そこが「高野さんだからこそ出来る笑い」に変わったからすごいなと思ったし。
あれで完全にこの人は何処でも怒ってるんだとこちらの期待を超える事ができた。
もう1つは「チャンスの時間」で
妻まるゆかが大好きな料理を食べさせる所で
「毒を入れろ!」と言った所。
「何普通にうまいもん作ってんだ!毒を入れろ!毒を入れないと千鳥さんは笑わないんだ!」
とめちゃくちゃな事を言う。
こうなってくるとツッコミ芸を超えて異常者なのだが
この異常者こそ光があるというのか。
とはいえどもアレを作って出来る事ではないし
苦労と挫折が生まれた芸だなと思った。
そう思うとキャラクターて大事だよねてこの記事を終わりにしたいのだが
簡単にいかないのが
結局、見た目とキャラが合ってないと見るに耐えない
という事実もある。
あまり具体例で上げたくないのだけど
漫才協会に「うぐいす餅」という50代女性コンビがいる。
下地と山田でどういう関係性で近年結成したのかわからないのだが
東洋館の外で中年女性2人がオロオロしているのを見てられなくて
東洋館の準備をお手伝いした事がある。
個人的に面白い部分があったのを紹介すると
ロボットのネタなのにロボットが腰痛持ちで動けなくなってしまうというボケがあって
これに関してめちゃくちゃ笑った事がある。
漫才全体はその日受けてなかったのだが
彼女たちの武器はなんだか「若手のクセに【老い】ている」というキャラであり、武器だと思った。
これに関して若手もマネ出来ないなら正直主軸は「老い」で勝負した方がいいぱずなのに
年末の舞台では「東洋館の羊羹が高い」といきなり毒を吐いていて
「違う!違う!お前らはそれじゃない!東洋館の羊羹じゃなくて若い時に比べて膝が曲がらなくなった話をしなさい。」
と思った事がある。
だから自分が彼女らのネタを書くとしたら
A「どうもうぐいす餅です。」
B「見ての通り、2人とも二十歳を超えてます」
A「いや、もうとっくの通り、二十歳を超えてるでしょ」
B「そんな事より聞いてよ。」
A「どうしたの?」
B「私やりたい事があって」
A「何よ?」
B「今から原宿でクレープというものを食べてみたいからここで練習したい。」
A「じゃあ、2人で練習しようか。」
B「はい〜〜」
A「ちょまじ〜」
B「チョベリバ。」
以下省略。
これで良い気がする。
その後、「腰痛、肩こり、関節痛」。
話も「巣鴨」「温泉」「仏閣」。
希をてらって「この年でもナンパされたい」「10代に戻って原宿のクレープを食べたい」など
ウケるかは別として
変に「ディスて」お客から距離を置かれる位なら
こっちのほうがまだウケずとも好感が持てる気はする。
だから変にキャラを見せるよりは人を見せる事に意識を置く事で
どんなに芸歴を重ねた芸人にも勝てるヒントが見つかるかもしれない。
ちなみにコンビ名とキャラクターが合ってないというのか。
そういう部分で損してるじゃないかと思う事がある。
個人的にまた漫才協会で「パラダイムシフト」という僧侶漫才コンビがいるのだが
「パラダイムシフト」というかっこいいコンビがフィルターになってスッと僧侶ネタが入ってこない。
だから本人にもお坊さんらしく漢字名にしたら良いじゃないかと言ったことがあるのだが
意外に煩悩だらけのお坊さんのようで結局受け入れてもらえかった。
ちなみに同じお坊さんでもホリプロコム所属に「観音日和」という若手コンビがいるのだが
東京タワーライブで一緒だった時は「シャンデリア」というコンビ名だった。
その時から自分は心の中で「なんでシャンデリアが坊さんネタやってんだ。ややこしいな。」
とあまり話した事がなかったのでそういう話もしなかったのだが
数年後に「観音日和」と改名して頭もW坊主にして今はM-1で話題の坊主コンビに勢いよく成長した。
だからコンビ名とキャラクターの関係性も大事だと思う。
そのうすくら屋が言うのだから説得力あるだろう?
見た目、コンビ名、キャラクターのバランスて大事なんだと思った。
今日はそういう話でした。
芸事だけで少しでも食べていきたいです。