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イタリア フットサルセリエA 2023-2024シーズン(前半)

〈まえがき〉

フットサルセリエA 2023-2024シーズン、それはチームにとっても私にとっても激動の一年だった。私が所属するチームはプレイオフまで進出はしたが、ベスト8止まりだった。セリエA(一部)のカテゴリー一年目にしてはまずまずの成績だったが、反省点は山ほどある一年でもあった。個人的にはU19のカテゴリーのトレーナーに始まり、トップチームのトレーナーになった。

2023-2024シーズンが終了したのは2024年5月である。すでに7か月以上過ぎていること、そして既に2024-2025シーズンが開始していることにはどうか目をつぶっていただけると助かる。
昨シーズンのことをきちんとまとめていなかったので、それぞれのターニングポイントを列記しているものだと考えていただけると幸いである。

①所属チームの消滅

2022-2023シーズンはセリエC1(当時4部)というカテゴリーに属しているA.S.D Genzano C5(以下、Genzanoと呼称する)というチームのトレーナーをしていた。幸運なことに昇格をかけたプレイオフにまで進出した。優勝こそ逃したが、最終的には一つ上のカテゴリーであるセリエBに2023-2024シーズンは昇格することが決まっていた。
2023-2024シーズンから新たな2部のカテゴリー(セリエAelite)が創設されたので、昇格しても4部に所属するという摩訶不思議な現象が発生する予定だったが、実際はそうならなかった。
スポンサー企業の決定でA.S.D Genzano C5というチームの解体が決定した。理由は様々あるようだが、決して不祥事などでチームが解体に至ったということではないことだけは声を大に言いたい。
1シーズン通してのチーム帯同、カテゴリー昇格、そしてチームの解体といった激動のシーズンがこうして終了した。


Genzano の選手のケア中

②配置転換

元居たチームが無くなった。となると、新たなチームを探さなければならない。当然、イタリアフットサル業界に入って3年とまだまだ日が浅いこともあり、直ぐに目途が立たないと思った。そんな矢先、チームを解体したスポンサー企業から「うちのユースカテゴリーのトレーナーをしないか?」という声がかかった。願ってもない申し出だったので、私は即了承した。
ここで『さっき、スポンサー企業がチームを解体したと言っていなかったか?』と疑問に思う方もいただろう。
実はこのスポンサー企業はGenzano以外の別のチームも持っていた。その名もEcocity Futsl Genzano(以下、Ecocity)と言い、この年に昇格し2023-2024シーズンからセリエA(1部)でプレーすることが決まっていた。
以前から両チームのメディカルスタッフの垣根は高くなく、私がEcocityの選手を治療することもあれば、Ecocityの理学療法士がGenzanoの選手を治療することもあった。もちろん、Ecocityユースカテゴリーの選手を治療することも少なからずあったので、少しは知っている人の中で仕事ができる安心感もあった。
こうして、2023-2024シーズンはユースカテゴリー(U19・U17・U 15)のメディカルトレーナーをすることが決定した。

③プレシーズン開始~シーズン前半

2023-2024シーズンは主にU19のチームに帯同することになった。U17とU15に関してはケガや不調があるとその都度自分の元に来るシステムにした。
プレシーズン開始に向けて、スタッフの顔合わせがあった。去年に引き続きマネージャーは変わらず、フィジカルトレーナーはいなかった。監督はGenzano時代の監督がU19の監督に就任した。これで監督とは3年目の付き合いということもあり、0からの信頼関係の構築ではないので少し安堵した。
この時期はいろいろな試行錯誤がされている時期であり、常に入れ替わりや変更の可能性にあふれている。それはユースカテゴリーとトップチームも同様である。
例えば、選手の入団と退団である。皆さんはどう思うかわからないが、私にとってシーズン早々に退団(他チームへ移籍)する選手がいるのはこの業界に入って驚いたことの一つだ。
先シーズンは成人を相手にしていた。しかし、2023-2024シーズンの相手は19歳以下、いわゆる青年である。新たなかかわり方を模索する日々が続いた。ひいては選手たちの方が困惑していたと思う。というのも、フットサルのU19のカテゴリーでトレーナーがいるチームはほとんどない。選手たちはトレーナーに診てもらう習慣や相談をする習慣を持っていなかった。そうすると怪我の前兆に気が付きながら、痛みが出るまで相談に来ないことが多発した。
自分の常識や想像していることを相手も考えているとは限らない。相手と常にコミュニケーションをとっていくことの重要性を再認識させられた。

2023年最後の試合後の写真

④冬の一時帰国

一時帰国と言っても、1週間ほどの小旅行。しかし、日本にいる家族と過ごす時間はいつも貴重である。私にとっては約3年ぶりの日本での正月、実家で食べた雑煮とお節の味は格別だった。
これは海外で仕事をする日本人には共感していただけるのではないだろうか。

一時帰国 17時間のフライトで娘は撃沈

⑤ケガ人が増えた時期

シーズン前半からちょくちょく怪我はあった。しかし、冬休み明けのチーム状況は最悪だった。U19なので基本は学生である。冬休みは家で過ごす機会が増え、クリスマスでの暴食、体重の増加、練習の機会もいつもよりも少なかった。
こう考えると、怪我をする要素はいくつでも見受けられた。トップのカテゴリーにもなると自主的に動く選手がほとんどだが、U19になるとまだまだアスリートの意識が低かった。そして、トレーナーとしてそこに気が付かなかったのはミスと言わざるを得ない。

蹴り始めの前、静かな体育館

〈あとがき〉

今回は前半を書いた。2024-2025シーズン(現在のシーズン)の丁度一年前を振り返っている。思い出に浸るのではなく、チームのために新たな発見や戒めのために後半も振り返っていく。
後半はある「フットサルセリエAのトレーナーになる」という人生のターニングポイントがあった。
こういったあたりも丁寧に書いていくのでどうぞお付き合いいただければ幸いだ。

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