
ヌュアンス、良い曲が多過ぎる #4
はじめに
突然ですが…
ヌュアンスの代表曲を尋ねられたとして、あなたはどの曲を思い浮かべますか?
特急 元町・中華街行き27分
・曲評
2022年12月、これからこの5人体制(わか・珠理・恭美・初音・妃菜)で、翌年4月に控える横浜県民ホールでのワンマンライブを目指していくんだというタイミングで王の御退位(オリジナルメンバー・環珠理の脱退)があり、当時のメンバーもファンも不安が無いと言ったら嘘になる状況での新曲発表だった。
しかし、そんな不安を一掃させるような明るくて、時には切なさを感じさせつつも、聴く人みんなに元気を与えてくれる一曲。
児玉雨子作詞による「新しいヌュアンスの一面」と佐藤嘉風作編曲による「伝統あるヌュアンスらしさ」が互いを殺しあうことなく融合している。
また、ヌュアンスには珍しい、膝上丈のスカート、スニーカーといった衣装にも新鮮さがあった。
「4人体制初の新曲」
「有名作詞家とのタッグ」
「名曲爆誕」
「MVもある」
これらの明るい話題ひとつひとつ、そしてMVで生き生きとした表情を見せてくれるメンバーを見て、「ああ、この4人ならきっと大丈夫だ」と思わせてくれた。
何者かに(もう もう)
もう
ならなくていいよ(No No)
あっという間に過ぎる27分
自分のことで いっぱいいっぱい?
誰だってそうだよ
景色だけしか(Wow Wow)
見なきゃダメなの?(No No)
元町・中華街行き 27分
電車に乗って すぐに
ねぇ 今の君をもっと見つめたいよ
優しく寄り添ってくれる歌詞。
サビの1番2番とも()はコール部分。
余裕が出てきたらメンバーに合わせて、振りコピをしながら掛け声を入れるとより楽しい。
汽笛 溶ける
朱(あか)い 空模様
気づけば夕焼けまで早いなんて…
現在の落ちサビは蓮水恭美が担当している。
ヌュアンスをヌュアンスたらしめるものとして、川井わかの歌声及び落ちサビの存在があった。
蓮水恭美による新しい落ちサビは、彼女の甘い声に身も心も溶かされていくようで、何度聴いてもそのキラキラ感に胸がときめく。
これもまた、新しいヌュアンスと伝統あるヌュアンスらしさが融合した「継承」であった。
・元中における気付きと最近のヌュアンス
良い意味で「初見でもノリやすい王道アイドル曲」である元中を手に入れていたことは、大文字ヌュアンスにおいて転換点のひとつだったんだなと、今になって気付く。
ツイッターのフォロワーさんより、「なんとなく行ったNUANCE60minで元中のイントロが流れるとフロアでどよめきが起こっていたのが印象的だった」と貴重な現場の声をいただいた。
現在ヌュアンスは月2回単独無銭定期を行っていて、開催毎に前売が完売することも珍しくなくなり、順調に動員を伸ばし続けているようだ。
それは今のヌュアンスが楽しいということが、既存ファンから非ファン層へ向けて徐々に広まっていきつつあるからだと推測される。
話は変わるが、ヌュアンスの既存ファンと非ファン層で曲の聞こえ方や感じ方が違うのは当然のことであって、今までのヌュアンスらしさが琴線に触れなかったという人がいるのも当然だ。
前述通り、ヌュアンスらしさを保ちながらもアイドルの王道街道を突き進んでいる元中は、既存ファンが思っている以上に、ヌュアンス新規ファン獲得の入口として大きく貢献している曲なのかもしれない。
ヌュアンス × 児玉雨子
私自身、元々児玉雨子氏の手掛ける歌詞が好きで、特にSUPER☆GiRLS「スイート☆スマイル」(後述)を聴き、彼女の作詞における「人間力の高さ」に惚れ惚れしてしまった。
以降はハロー!プロジェクトの曲等で先生の曲を意識して聴くようになる。
しかし先生自身が人気作詞家になられて作品を追いきれなくなってしまったことや私自身がハロー!プロジェクトやその音楽から離れたことで先生の新規曲を自然と聴く機会が消滅していった。
それでも彼女や彼女の作品へのリスペクト精神は常に持ち続け、以前から好きな曲はずっと聴き続けていた。
そんなある日、児玉雨子氏がヌュアンスに楽曲提供するという意味がわからないニュースが飛び込んでくる。
いや、そんなことってある?
推し達の曲を推し作詞家が手掛けるなんて、そんなん聴かずとも好きに決まってるだろ!
(ちゃんと聴いても好きでした)
元中においてはやけに横浜への解像度高いなと思ったら、横浜出身者だった。
一体、どこから繋がった縁なんだろうか…
作詞家・児玉雨子の人間力
以下、児玉雨子氏が作詞担当をした中で、筆者の好きな曲を紹介しています。
・SUPER☆GiRLS「スイート☆スマイル」
必ずアイドル史に残さないといけない名曲。
この一曲に私が好きな児玉雨子氏の全てが詰まっている。
最初にまず歌詞を読むところから始めて欲しい。
全歌詞を載せたいくらい最高な曲なのだけれど、
わらって! 君の笑顔がだいすき
流してきた涙まですき
当時20代前半も前半でこの歌詞書ける児玉雨子氏の人間力、あまりに高過ぎるだろ…
ちなみにこの曲の作曲者は多田慎也氏(筆者の推し作曲家)なのでもはや隙が存在しない。
勝ち確です。
・つばきファクトリー「うるわしのカメリア」
メジャーデビューシングルのうちの一曲。
カメリア=つばきの意。
大スターを夢見るどこにでもいるような少女たちを歌った曲で、曲中の夢見る少女たちとメジャーデビューを控えこれからの希望に胸が膨らむメンバーを重ね合わせた当て書きの上手さも光る。
レトロな曲調に合わせた言葉遊びも面白い。
新人の時期だからこそ歌える曲、しかもグループ名であるつばきをモチーフにした歌。
こんな素敵な曲でアイドルデビューできるの最高すぎるだろ。
当時のメンバーが、現在はそれぞれの道で大輪の花を咲かせてるというのが歌詞のストーリー性としても素晴らしい。
おわりに
雨子先生、是非またヌュアンスへの楽曲提供をよろしくお願いします。
