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宮沢秋
2016年6月20日 12:19
二人は手を繋いで、闇の森を駆けた。木の根に足を取られないように注意しながら、なるべく早く小屋から離れようと走った。子豚も息を切らしながら、ホタルの後をついてくる。果てのない暗い森は、隠れるには絶好の場所だった。しかし、今自分たちがどの辺にいるのかまるで見当がつかなかった。小屋の周りをぐるぐる回っているだけかもしれない。 暗闇が再びホタルの心を喰い始めた。ホタルは徐々に歩幅を狭め、走るのを止め