だんスピ - 作品1
製作のきっかけ
秋葉原の秋月電子で見つけた8cmスピーカー。数百円と安く駆動系も大きくしっかりしていたので、いつかは箱も作ろうと試しに買っておいたのですが、木材の加工はハードルが高いし、キット品のサイズ感などが好みでないこともあり中々手付かずでしまいっぱなしになっていました。
数週間前に久しぶりに秋月電子に行ったら、ダンボール箱のエンクロージャーにスピーカー取り付けていて、そこそこ良い音で鳴っていました。調べてみるとダンボールスピーカー(だんスピ)というのがあるみたいで、キットも売っていたりして、これなら加工も簡単だと思い通販の梱包に使われていたダンボール箱で製作してみました。
エンクロージャー製作
ダンボール箱からの部品切り出し
ダンボールは、たまたま頼んでいた通販の梱包箱が白色で大きさも適当だったので、この箱一つで1セット取れる大きさのエンクロージャーを設計しました。折り目もそのまま使うようにして、容量を稼ぐために縦長の箱にしています。こちらがダンボールの原型です。
この箱から8cmのスピーカーが取り付けられて、折り目も活かせるエンクロージャーを切り出す事を考えて設計し、以下のようにしました。紙素材なので、木工用ボンドによる接着前提でのりしろを付けています。メンテ用の口やコードの取り出し方に悩みましたが、底板は、底面にはめ込む形式にしたので、展開図には底がない設計になっています。底板は、はめ込めるサイズを別に切り出しました。
補強材の貼り付け
このままではスピーカー装着面の強度が出ないので、残っていたダンボール素材から補強材を作成して貼り付けました。切り込みが入っている側が底側で、底板をはめ込むために側面につける補強剤の分だけ切り込みを入れてあります。考えながら製作したので、この辺は進めながらの設計ですね。
スピーカー用の穴開け
スピーカーを取り付ける穴は、先にコンパスでケガいておき、補強剤を取り付けた後に、切り込むように穴を開けていきました。取り付け場所は上面の形の良いところで、上面を一辺とする正方形の中心に位置するようにしました。
穴あけには、デザインカッターを用いました。こんな道具です。
先が尖っていて、刃面が斜めに伸びているので、けがき線に沿って切り込みを入れるのに便利です。同じデザインカッターで、刃面が丸みを帯びているものもあり、両方を使い分けました。
下の写真のように、ひとまず箱は完成させる事が出来ました。
この後補強材を追加で貼ったり、吸音材をつけたりダンボールならではの、加工が簡単に出来ます。写真には載っていないのですが、最初の視聴では前面、背面、上面に補強材を貼り、吸音材を両面テープで入れるようにしました。視聴しながら実験ですね。
別に切り出した底面には、100均で手に入れた防振用のゴム足を貼りました。スピーカーコードは、ターミナルをつけずに、底面の端から直接取り出す方式にしました。この辺りもダンボールならではの自由さですね。
化粧シートの貼り付け
今回使用したダンボールは白色なのでそのまま使っても良かったのですが、汚れもあったりしたので、100均にあるリメイクシートをスピーカーの穴開けも終わりエンクロージャーが完成した後に貼りました。木目調やレンガ柄のものがあり中々良い見た目になります。今回は、白木調のものを貼ってみました。シートの貼り具合は冒頭の完成写真を参照ください。
接着力があまり強くなく薄手のビニール素材なので、空気抜きをしながら貼ってもダンボール面が歪んでいたり寸法精度が良くない部分に、浮きが出来てしまいました。この調整方法も今後の課題ですね。
スピーカーの取り付け
使用したスピーカーについて
このスピーカーは、8cmスピーカーのオーディオマニア界隈で有名になっていた価格の割に音が良いというスピーカーです。私が購入した時は一台150円でした。スピーカーコードはあらかじめハンダ付けしています。箱なしで試聴してみましたが、10Wながら中々迫力ある音がして、箱を作る前から期待を膨らませていました。
スピーカーのネジ止め
スピーカーを内面から取り付けるか外側からはめ込むか悩みましたが、工作の手間を考えて外側からはめ込むことにしました。見た目は内側から取り付けた方が良くなるのですが、精度良く円形にカットしないと綺麗に見えないのと、柔らかいダンボールとの接触面を隙間なく詰めるための工夫が必要な事もあって、そこを気にしなくても良い外側からはめ込む方式にしました。試作を重ねて慣れたら、内側から取り付けて見た目も気にしたいと思います。取り付け具合は下の写真のようでまずまずの出来ですが、改善点もいくつか見受けられます。ネジはとりあえず手持ちのもので済ませました。
試聴結果
エンクロージャーに収めると、ダンボールでもそこそこ良い音になりました。普段は、D級アンプのキットをチューンアップした自作アンプで、インターネットラジオやSpotifyの音源をBOSEのスピーカーで聞いているのですが、それとの比較になります。測定器による計測ではなく、あくまで個人的な聴感になりますが、以下が視聴してみた感想です。
ギターやシンセなどの電子楽器の中高音域と、エンクロージャーの側面がやや共鳴して、音量を上げてよく聞くと若干エコーがかかったように聞こえます。通常の音量では気にならないです。
補強材を入れて板厚を大きくするのはそれなりに効果はあるようで、補強して板を厚くした場合と、そうでない場合の音の響き方がかなり変わりました。一枚でも追加で貼ると、強度も増すし、鳴り方も変わります。
8cmスピーカーは、思っていたより指向性が強いですね。5cmくらい頭をずらすだけで音像や定位が変わりました。適切な場所で聞くと、とても心地よく聞けます。
作る前は箱全体がビビり(共鳴し)まくってノイズだらけに聞こえるのではと考えたのですが、全くそんな事はなかったです。ダンボールでも、加工方法など工夫する事で良い音がもっと追求できるのかなと思いました。
次の製作に向けて
改善点
ダンボールは加工がしやすい一方強度や加工精度が出にくいので、組み立て時の張り合わせや、板を厚くする補強材などに工夫が必要な事が分かりました。見栄えを良くするためにも、工夫が必要だと思います。
見栄えに関係しますが、リメイクシートの貼り方は工夫が要りますね。シートの模様だけでなく、素材も考慮する必要がありそうです。
スピーカーは、内側から取り付けられるようにした方が見栄えが良いので、挑戦したいです。
吸音材やバスレフなどのテストをして、効果を確認したいと思います。このスピーカーを視聴して、あらためて吸音材の効果が感覚的に理解できたように思いました。改良実験もしやすいので、色々試してみたいです。
製作課題
二つ構想を持っているのですが、手持ちの材料や、今欲しいスピーカーを考えながら製作したいと思ってます。8cmスピーカーの世界はたくさん愛好家がいて、専門家による製品版も出ていて中々奥深いと思います。
同じスピーカーをもう一セット持っているので、今回の改善点を考慮した箱の製作を試みたいと思います。
スピーカー面が上に向いたタイムドメインスピーカーの音を初めて聞いた時に、その音の鳴り方の不思議さに大変感動しました。その効果については賛否両論あるようですが、理論的には納得出来て面白い考え方だと思ってます。この製作のためのスピーカーも用意しているので、挑戦したいと思います。
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