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だんスピ - 作品2(縦型スピーカー)

縦型スピーカー完成図

製作の動機

前作で使った8cmスピーカーと同じものをもう1セット持っているのですが、秋葉原デパートでも違うタイプの8cmスピーカーを購入しており、そちらもいつか製作に使おうと思ってました。こちらはエンクロージャーへの取付金具がついておらず、何かの製品向けに作られたスピーカー在庫の放出品ではないかと思われます。駆動部分の磁石がさらに大きく、コーン紙も白色の綺麗なもので音の鳴りは期待できそうでした。

次の課題としてタイムドメインスピーカー(縦型スピーカー)に挑戦する事にしていましたので、今回はその製作レポートとなります。

スピーカー

使用したスピーカー

スピーカーおもて面

こちらが製作に用いたスピーカーになります。
丸い枠があるだけで、スピーカーの取り付け用の側面金具はなく、別金具で写真の下面からエンクロージャーに押し付ける仕様のように思われます。パッケージもビニールを巻いただけの簡単なもので、価格は秋月電子で買ったものに比べると倍以上でした。かなり前の価格ですが・・・。

パッケージ取り外し前の状態

スピーカーの加工

筒形のエンクロージャに取り付けるにはぴったりの形状なのですが、取り付け具合を試してみると端子が邪魔になる事がわかりました。どうしようか検討した結果、端子は外して、ボイスコイルから出ている銅線に取り出し用のビニール線を直接はんだ付けする事にしました。

スピーカー端子
外側に膨らんでいるので筒に収める際に邪魔になる
端子を取り外し、ボイスコイル銅線から直接取り出し

スピーカーのターミナルに取り付けた際に、駆動系の邪魔になるかも知れないと思ったので、簡単ですがテープでビニール線を貼り付けて固定する事にしました。

テープでビニール線を固定

この固定方法で良いかかなり悩みましたが、音を鳴らして試した結果問題な誘うなので採用しました。スピーカーの枠に見える黒いものはゴムシートで、スピーカーとの間にはゲルテープが挟んであり、エンクロージャーとの密着性を高めると共に、接触による振動伝達を低減するよう工夫してあります。

エンクロージャー

エンクロージャー製作が、今回最大の課題でした。タイムドメインスピーカーの原理の要は、インパルス応答を最大限良くすることで、スピーカーの動作原理そのものを考えると電気的にはいろいろ難しい面があるのですが、機械的にはスピーカーのボイスコイルの振動によるスピーカーの枠に対する反作用を極力抑え、スピーカーの背面空間は、前面から出る音と干渉しないように原理的に無限大の閉空間にするのがよいです。
実際の設計を見てみると、スピーカーとエンクロージャーはゲル素材で接着されて振動伝達を極力抑えてあり、スピーカーの枠には筒の中側に重りが吊り下げられており、振動を抑えるような作りになっていました。

タイムドメインスピーカーを再現したい思いはあったのですが、前作で学んだ事として、エンクロージャーも音を鳴らす機構の一つであるという事と、今回使うスピーカーを筒につけて鳴らしてみた結果、筒の共鳴が音に与える効果を意外に使えるかもと思ったので、どちらかというと、筒型の縦向きスピーカーという趣旨で設計することにしました。
設計方針としては、以下のようにしました。

  1. スピーカーと同型サイズの筒を用いて、コーン紙の背面から出る音が、空間的にも、エンクロージャーの振動としても、コーン紙の前面に出る音と干渉しないようにする。

  2. スピーカー枠の振動が筒型エンクロージャーに極力伝わらないようにする。

  3. 筒型エンクロージャーはオープンエア型にして、バスレフの効果を得られるようにする。

筒形本体

今回の製作を始める動機の一つとして、手持ちのスピーカーのサイズに丁度合う筒形のダンボールが手元にあって、作り方を試す事ができたというのがあるのですが、いざ作ろうと思った時にネットでは同じものが中々見つからず、いくつかのお店に探しに行った時に、ちょうどスピーカがピッタリはまる内径の筒がハンズで見つかりました。これに合わせるために、前述したようにスピーカー端子を取り外しました。長さは1mで予定よりかなり長かったのですが、二本用意しました。これが、思わぬ良い結果を産み出す事になります。

エンクロージャに使った筒形ダンボール1m長

これに先ほど説明したスピーカーが取り付けられるように、ターミナルを取り付けました。

ターミナル取り付け後の筒

スピーカーコードは極力短くしたので、取り付けはこんな感じです。

スピーカー取り付け時の様子

スピーカーを取り付けた後の外観はこんな感じになります。スピーカーが見事にピッタリ収まっています。スピーカーは、ゴムシートでゲルテープを挟むようにして筒の上面に乗っています。メンテナンス性を考えて、ゲルテープでスピーカーを直接貼らないようにしています。

スピーカーを取り付けた状態

据付台

筒を立たせるためと、オープンエアにするために据付台も作成しました。もちろんダンボール製です。下面から音が抜けるので、床面との距離を変えて音の変化を聞けるようにもしたかったのですが、構造が複雑になりすぎるので、単純な昔のアニメに出てくるロケットみたいな足にしました。

これが元のダンボールです。

部品切り出し前のダンボール

ここから、足と、足を外筒に取り付けるための2種類の部品を切り出します。

ロケットの足になる部品
足を外筒に取り付けるための部品

この二つの部品を使って、この外筒に足をつけます。

外筒
足を取り付けたところ

完成

据付台を2つ作成して、この穴にエンクロージャーとなる筒をはめるとスピーカーとして固定できます。エンクロージャーが床面まで突き抜けないように、据付台にはストッパーが入れてあり、オープンエアになるようにしています。
据付台の足部分とストッパーでエンクロージャーの筒が当たるところには、フェルトの緩衝材を貼ってあります。

塗装前の完成形
ストッパーを写した様子

壁面と同じ白色の塗装をしたのが、最初の写真の画像です。据付台は下の方で普段は見えないので、塗装はサボりました。

試聴結果

吸音材や塗装が音に影響するのは分かっていたので、まず、何もしない状態で試聴しました。

  • タイムドメインスピーカーのような幻想的な音にはなりませんでしたが、1mの筒状エンクロージャーは、思いの他良い仕事をしてくれています。低音がものすごくよく出ます。これは、筒が共鳴管の役割を果たし音圧を上げているせいもあると思いますが、部屋の床や天井にも音が反射して全体で音を作っているような感じを受けます。スピーカーの音響は設置する部屋の影響を受けるのは常識ですが、部屋もスピーカーの一部のような印象でした。

  • ダンボールの紙がやや鳴っていてくぐもった紙音がします。そのせいか、全体的にふんわり、やんわりの音の印象です。これは、吸音材や塗装で解消できるのではと思いました。

次に吸音材として、筒の内面にフェルトを上面50cmくらい貼ってみました。

  • ノイズのような嫌な紙音が消えてスッキリした音になりました。筒固有の鳴りが少なくなったからだと想像します。

筒の表面を樹脂製の塗料で塗って試聴してみました。

  • さらにノイズが減って中域の伸びもよく鳴って、低域もよく出ます。ベースやバスドラ、男性ボーカルが部屋によく響きます。

全体的な感想は、これまで使っていたBOSEの前向き10cmフルレンジスピーカーに遜色なく聴ける事と、壁面に近い部分に設置しているせいか、部屋全体を使って音が出ているように聞こえて、とても満足できました。上向きのスピーカーは定位や音像がぼやけるというように言われますが問題なく、1mの筒が音に豊さをもたらす良い影響を与えているように思えます。ジャズ、ボサノバ、クラッシックなどいろいろな楽曲を聞いてみましたが、部屋で聞く分にはどれも自然な感じで満足できる音が出ました。BOSEのスピーカーより好きです。スピーカーの圧迫感も減ったので、リビングルームのスピーカーはこれを使っていこうと思ってます。

今後の展望

だんスピをもっと極めたいので、作品1と同じスピーカーを使って、エンクロージャーも正確に作って評価したいと思っています。今回の製作で、エンクロージャーの形に対する自由度はもっとあって良いと思ったので、値の張るスピーカーも使って、どんな音が出るのかも知りたいと思いました。
アンプも一種類しか試してないので、他のものも試してどう音が変わるかも知りたいと思います。

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