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日進月歩 ~Road to MBA~#33

2020/10/26:シードマネジメント特講1A⑥
 前回に引き続き月曜日のシードマネジメント特講1Aという実務家であり、実務と学問を融合させている笠原先生の講義の6回目です。秋学期1では「Rogers(2016)」におけるCCDIVを中心に学んでおります。

  ①C:Customers(顧客)・・・顧客ネットワークの活用
  ②C:Competition(競争)・・・プラットフォームの構築
  ③D:Data(情報)・・・データ資産への変換
  ④I:Innovation(革新)・・・迅速な実験による革新(MVP)
  ⑤V:Value(価値)・・・価値提案の適応化

 本日は、CCDIVにおける①「プラットフォーム・ビジネスモデル・マップ」におけるネットワークの可視化(Customers)、②競合の変化(Competition)、③データの戦略的活用(Data)、④MVPにおける素早い実験による革新(Innovation)について学びました。

①Customers(顧客)

 Facebookを参考例にチームディスカッションにおいて、【YouTube】を題材に議論いたしました(他チームはメルカリなど)。プラットフォームのマップを書く時の手順としては、以下の6Stepで完成します。

 1.真ん中にプラットフォームを描く
 2.顧客は誰か?(プラットフォームの周りに描く)
 3.価値交換している内容を⇔で相互に描く(互いに提供してるもの)
 4.どこにお金が発生するか?($で描く)
 5.誰がお金を支払うのか?(〇、◇、□、◈で立ち位置を描く)
 6.誰が最も他を引き寄せているか?(引き寄せる大きさを▲の数で描く)
 ※文章だけではイメージつかないかもしれないですが、作成面白いです。

②Competition(競争)

 協働と競争の価値連結パターンや仲介と中抜きによる脅威、トヨタ自動車の競合が変化していくといった内容を学ぶことができた。トヨタ自動車の競合といえば、ホンダ社・GM社・TESLA社などといった企業があげれるが、今後はGoogle社・Apple社・Uber社といった企業も競合となり得る可能性がある。特にビジネスモデルとして脅威であるのはApple社で、機能領域と価値創出で自社で持つべき資産とアウトソーシングする配分において、とてつもない利益構造を生みだしているためである。プラットフォーマーとしての確固たる地位がある状況の中、その資産をもって競合となり得るのはとてつもなく脅威となるだろう。

③Data(情報)

 取得したデータによって何が分かるか、データに価値を生み出すためのステップはどういった手順が必要かについて学ぶことができた。Industry4.0におけるIoT・BigData・AIといったテクノロジーの進化によって、大量かつ多様なデータが存在するようになった時代である。ここで注意したいのは、データを基にどんな価値を生み出そうかを考えるのではなく、何をしたいかによって取得するデータを決めていくことである。また、そのデータを使ってどんな事業領域にいくのか、目的に応じた使い道を決めるなど、以下5Stepを実施して確認していく必要がある。

 1.事業領域の設定(製品市場マトリクス:PMM)
 2.目的の設定:何のために利用するのか?(使い道の設定)
 3.顧客と事業の両輪で価値を生み出せるのか?
 4.現状のデータとニーズのギャップ分析(ギャップを埋める)
 5.実行計画を作る

 最近では、Cookieなどの情報などにおけるプライバシーの問題によって、GAFAも含めてデータ提供を制限している傾向が出てきている。限られた開示範囲の中で、最大の価値を生み出すためにもデータ取得する前に決めるべき内容をしっかりと決めることが重要となる。
 また、ディスカッションでは「ノーベル賞受賞とチョコレート消費の関係」を題材にしたが、この2つの関係には相関関係がデータ上は見られるのである。しかしながら、それは疑似的な相関関係であるため、直接的な原因ではない。原因と結果の関係によって、”因果関係”と”相関関係”の違いがあるため、使い分けには気をつけるべき内容となる。

④I:Innovation(革新)

 基本的な考え方としては、「MVP=Minimum Viable Prototypes」の考え方となる。マーケティング戦略仮説の探索および検証に必要不可欠な概念であり、最低限の機能のみで素早い実験をと検証を行い、ブラッシュアップを繰り返すといった手法である。伝統的なイノベーションサイクルに比べて、観察⇒アイデア創出⇒製品設計⇒市場反応といった短いサイクルでイノベーションを創出することが可能となる。
【成功例】Dysonのサイクロン(5,127回の試作において高利益を生み出す)

 このような仮説と検証について、どういった内容をMVPで実施していけばよいかを自身の事業で考えるディスカッションを実施した。Hさん・Iさん・Tさんのチームから「テレワーク」という話があり題材となった。

【例】テレワークによって効率が落ちる(営業の場合)・・・
  まず、定性的および定量的なデータを集めて確認する必要がある
 
 <データ取得方法>
   ➊チームを2つに分けてテレワークの「実施」と「未実施」を作る
   ❷2つのチームのヒアリングを定性情報として取得
   ❸2つのチームの売上高、訪問件数などを定量情報として取得
   ❹差分を見て「効率」を確認する

 以上から結果を導き出すことが可能となる。他の仮説としては「日本型の企業」と「欧米型の企業」の違いによっても、業績が顕著に表れてくるのではないか。思いついた内容において様々な仮説を設定し、検証を繰り返すことで素早いビジネスへの対応が可能となっていくため、日ごろからの訓練によってビジネスチャンスが生み出されていく。

       立教大学大学院ビジネスデザイン研究科   平岩 宗

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