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変わらぬ日常が続くよう、寿ぎ祈る

「さて、平成最後の晩餐は何にいたしますね?」
と、私が旦那に尋ねたのが、平成三十一年四月三十日の午後四時前でした。

「……は? えっ? 何ですと?」
「いや、そろそろ夕飯の時間じゃん。明日令和になるから、今日のごはんが平成最後のディナーだよね。何かご馳走でも食べるプランあるのかと思って聞いてみた」

ゲームの手を止めた旦那に何気なく尋ねただけだったのですが、私が思っていた以上に彼は動揺を見せ始めたのです。
「しまった……平成最後の夕食、最後の晩餐とか全ッ然考えてもなかった。普通に冷凍のカレーピラフでいっかーとか思ってたけど、平成の最後にそんなしょっぱい料理じゃ絶対に後で後悔するよね!?」

我が家の大黒柱は、何よりも食をエンジョイするスタイルの人間です。彼の事なのでてっきり何か考えてるだろうとふんでいたのですが、十連休の喜びが先にきていて思いついていなかったようです。
「こんなめでたい時に寿司買わない選択肢はない、寿司だ寿司。お店に買いにいってくる! 他に何か欲しいものは!?」
「プリン食べたーい。あと、チーズケーキもあれば嬉しーい」
「了解!!」

寿司愛食家の旦那は自転車で家を飛び出し、おいしいお寿司とプリン、人数分のケーキを買ってきてくれました。安定の炙りサーモンの美味しさと、久しぶりのエンガワも堪能しました。

「ありがとうかーちゃん、あのタイミングで言ってくれてマジ助かった。もしお店が閉まってる時間に平成最後の晩餐だなんて知ったら、俺後悔してもしきれなかったと思うわ」
「よきよき。私もいいタイミングで思いつけて良かった。新元号でも、おいしいもの沢山、家族で食べたいねえ」

そんなことを言いつつ、様々な平成特集番組を見て、いつものようにNHKEテレの2355と共に、日付の改まる瞬間を迎えたのでした。

三十一年に渡った平成が幕を閉じました。
喪に服しての始まりではなく、お祭り騒ぎで新しい時代を迎えられたのは、幸いという他ありません。

改元の勢いに乗って、籍を入れた方々も多いと聞きます。
いつも通りの生活が続くことが何よりの財産。願わくば災害や戦争のない、新しい世代がより幸福になれる時代であってくれればと祈るばかりです。

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沢村脩
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