喉の渇きがとまらない。。。
麻酔から覚めてしばらくすると、朦朧とした感じも少しずつ晴れてきた。
しかし、頭重感と倦怠感が強く、喉もやたら乾く。
担当看護師さん(高校時代からの友人)に「水が欲しい。」とお願いした。
水を紙コップの5分目程度まで入れて、ストローをさして持ってきてくれた。
術後の安全管理で、まだ自力で起き上がることが許されていない為、ベッドの頭部を30度ほど起こした状態で、ストローを咥えて、水をゆっくり飲んだ。
常温よりも少し冷たい程度の水だったが、すごく幸福な気分になった。
喉の渇きが治まり、これで再びゆっくり休める・・・
自分は再び眠りについた。
・・・が、しばらくして
再び強烈な喉の渇きが襲ってきて、自分は目を覚ました。
遠い視線の先にある、壁掛け時計を見ると、水を飲んでからまだ1時間しか経っていなかった。なのに、この喉の渇き方は尋常じゃなく、まるで日中何も飲まず過ごしていたかのような、喉の渇き方だった。
自分は、また看護師の友人に水をお願いした。
飲んで、喉の渇きが治まり、安心して再び眠りについて、そして1時間後に強烈な喉の渇きで目を覚ます・・・
これを延々と繰り返す。中々、気持ちよく休めないし、寝た感じがしなかった。
4回目ぐらいの水をお願いしたところで、看護師の友人は、氷入りの水を持ってきてくれた。
今まで飲んだ水より冷たい為、あまりたくさんの量を飲めないが(実は知覚過敏)、すごく幸福感が得られた。
実はこれは友人の配慮だった。
「術後すぐは飲水制限があって、1日1000mlしか飲めないわけさ。朝7時の時点で飲水量はリセットされるんだけど、今のうち(23時過ぎ時点)でがぶ飲みしちゃうと、夜中とか水飲めなくなって苦しくなると思うから、氷で少しかさ増ししておこうね。氷でかさ増しする分には大丈夫だからさ。」
術後すぐは、喉の渇きで水を要求する患者さんが多いことを知っていた友人は、自分の飲水ペースを見て、内容物を調節してくれたのだった。
この話をされるまで、飲水量の制限は頭に入っていなかった(忘れていた)為、急に「あとどれくらい水を飲めるのだろう・・・」という恐怖感が襲ってきた。この喉の渇き様では、とても夜を乗り越えられる気がせず、現実逃避で眠ろうにも、すぐに目を覚ますという状況で、生き地獄を経験しているようだった。
ベッド上で目を瞑りながら悶絶する・・・
今までの人生の中で、最も長く感じる夜だった。