2021年・海外MMA珍ニュース4選
新年明けましておめでとうございます。
2022年もよろしくお願い致します!
RIZIN 33の興奮の余韻がまだ残っているうちに、ということで、今年一発目のnoteは、コアなMMAファン向けのネタでいきたいと思います。
独断と偏見で、去年の海外MMAの珍ニュース(?)を選んでみました。
本当は「5選」にしたかったんですけど、書く時間がなかなか取れないので、中途半端ですが「4選」とさせて頂きます。
キャット・ジンガーノ選手の七転八起の人生を、玉置浩二に唄って欲しいかも
「今までやったどんな役よりもハードだったわ」
ふん、読みましたよ、あなたのコメント。
そりゃそうでしょ。
MMAファイターを演じるんなら、ほんの少しでもMMAの練習をしなくちゃ。
それなりに様にならないですからね。
スタバでテイクアウトしたコーヒーを片手に、お家まで来てくれるイケメン・パーソナル・トレーナーとは、比べものにならなかったでしょ?
けどね、この映画のお陰で人生狂わせれちゃったMMAファイターがいるんですよ。
ていうか、ご存知ですよね?
まず一番初めにこの映画に出てくれとオファーしたのはキャット・ジンガーノ選手ですよね。
当時はUFCのフライ級で活躍していた、日本の端貴代選手との対戦経験もある。
ジンガーノ選手はそのオファーを受け、撮影のスケジュールを聞かされて、あ、それならこの週は試合できないわね、と計画を立てたんですよ。
そしたらUFCから、ちょうど、その時期にこの選手と試合をしてくれと連絡があったんです。
もちろん、ジンガーノ選手はこれを断りましたよ。
ネトフリで配信される映画に出ることが決まっている。
UFCにとってもいいPRになると思うから、と彼女のマネジメントが言ったかどうかは定かではないですけど、この時期だけは試合できないからと、断ったんですよ。
仕方ないですよね。
そしたら、なんと、UFCからリリースされちゃったんですよ。
直近の5試合は1勝4敗だったとはいえ、アマンダ・ヌネス選手とミーシャ・テイト選手に勝っているのに、です。
ま、それは、あなたに言っても仕方ないでしょう。
けどね、ジンガーノ選手がリリースされたからと言って、一度オファーして彼女も受けた映画の役からも、降板させる必要あったんですかね?
もう「UFCファイター」ではないからクビにした。それが今回の作品のプロデューサーでもある、あなたの判断だったと聞いてますけど。
いやね、映画の世界では、主役だってクビになるのはあるあるだってのは理解してますよ。
ハーヴィー・カイテルなんて、コッポラの「地獄の黙示録」の主役に抜擢されて、クランクインまでしたのに、何週間か撮って、なんか合わないな、と監督の鶴の一声で降ろされましたからね。
キューブリックの「アイズ・ワイド・シャット」の時も、撮影地に到着してホテルにチェックインしたのに「撮影が押してるから」と待たされて、待たされて、待たされて、ずーっと待たされて、結局次の映画の撮影があるから、ということになり、出たかった作品から降りるしかなかった、というのも聞いてますよ。
けどね、言いたかないけど、これはコッポラとかキューブリックの話ですからね。
あ、失礼。今回は、あなたの初監督作品でしたね。
ま、だからアーティストとして拘りがあるのは凄くわかるんですけど、UFCファイターがいくらで試合してるか知ってますか?
UFC最後の試合となっちゃった対メーガン・アンダーソン選手の時のファイトマネー、ギャンランティ5万ドル、ウィンボーナス5万ドルですよ。
で、負けちゃったから、たったの5万ドルです。
あなたら、それぐらいのお金、下手したら、友達何人かと高級レストランに行って、馬鹿高いワインをグビグビ飲んで使っちゃう金額でしょ?
は!?ファイトマネーだけじゃなくて、スポンサーからのお金もあるでしょ?
いやいや、知らないんですか。
聞いてくださいよ。
ジンガーノ選手が、UFCでの最後の試合で手にしたスポンサーフィーは、リーボックから支払われた、5000ドルオンリーですよ。
UFCでは、UFCを通じて来るモンスター・エネジー・ドリンクとか、ほんと、限られたケースしか他のスポンサーを試合ではつけることができないんですよ。
あなたなら、それぐらいのお金、子供のクリスマスプレゼントで買う、普通のアパートじゃ入らないぐらい馬鹿デカイぬいぐるみとかに使うでしょ?
知ってます?ジンガーノ選手が、今どこで試合してるか?
ベラトールという団体なんですけど、ご存知ですか?
しかもUFCからリリースされて、そこで試合できるまで1年と9ヶ月もかかったんですよ。
21ヶ月もファイトマネーを稼げなかったんです。
あなたもバスの運転手だったお父さんと精神病院の看護婦のお母さんに育てられたんだから、庶民の感覚って、覚えてますよね?
ベラトールでは、ウィンボーナスはなしのギャランティ10万ドルだったんで、勝っても負けてもUFCで勝った場合のお金を稼げる契約を何とか勝ち取ったんですけど、それだって、あなたからしたらバス賃みたいな感覚でしょ?
わかりますよ。結局UFC女子フライ級チャンピオンのヴァレンティーナ・シェフチェンコ選手を映画に起用できたし、UFCとは仲良くした方が良いというのもわかります。けどね、選手が試合をできない時期って、辛いんですよ。稼げないし。けど練習は続けないといけない。しかも彼女の場合は出れると思ってた映画からも、UFCからもクビになってから、21ヶ月ですからね。
なんなら、そういった選手のことも描きなさいよ。
今回の「ブルーズド打ちのめされても 」は当たったみたいだから、MMAは映画の題材としていけるかも?なんて思ってるんでしょ?
ならさ、次にMMA関連の映画作るときに、ジンガーノ選手を雇えないですかね?
バーで飲んでて、もしもハル・ベリーが隣に座ったら、こんな感じで絡みますね。
北米MMAマネジメント界を、白石和彌に描いて欲しいかも
仁義なき戦い。
そう表現していいかもしれないのが、北米MMAマネジメント事情だと思うんです。
80年代のプロレス界みたいに、ブッチャーを取られたからハンセンを引き抜く、なんてことが日常茶飯事なんです。
お気づきになっているファンもいるかもしれないですけど、マネル・ケイプ選手だって、RIZINからUFCに行って、もうすでに4戦目の前にはマネジメント変えてますから。
契約的に問題なければマネジメントを変えるのは選手の自由なんで、わたしは「引き抜き」という表現をするのが好きではないんですね。
基本的には、マネジメントを変えるということは、離婚みたいなもんだと思っているんで。
けど目の前で堂々と自分の奥さんをナンパしてきたら、ま、トラブルにはなりますよね。
だからマネジメント同士で暴力事件が起きちゃったりするんです。
そんな事件の常に中心的な存在にいるとも言えるのがDominance MMAのアリ・アブデルアジーズです。
彼がラスベガスのブッフェの列に並んでいるコルビー・コビングトンに殴りかかる動画が流失したり、過去にテロリストグループとの関係が疑われたり。
わたしは、実を言うと大昔にアリに会っているんです。
K-1 Premium 2004 Dynamite!!に参戦するちょい前に、カラム・イブラヒム選手に会いに行った時です。
彼は、柔道の選手兼イブラヒム選手の取り巻きでした。
さて、そんな北米MMAマネジメント界で、今年起きた事件の中でも一番みんなが驚いたのが、レストランで自分の父親をフルボッコにして逮捕されたマネジメント会社のCEOではないでしょうか。
しかもその会社が「100人の選手をUFCと契約させている」というのが売りの、業界でも大手の一つIridium Sports Agency(以下「ISA」)なんです。逮捕されちゃったのがトップのジェイソン・ハウス。
警察の調書によると、ラスベガスのゴルフコースの中にあるレストランのブース席で事件は起きたそうです。
現場にいたのはジェイソンと奥さんのアリッサさんと、彼の父親ケヴィン・ハウスさんとその奥さんのベスさんの4人。
ISAがカリフォルニアからラスベガスに拠点を移したのを機に、ケヴィンさんの取り分が変えられたので、それについての話し合いをしていたそうです。
調書に書いてあるケヴィンさんの証言によると、ジェイソンがベスさんの顔に指をさして怒鳴り始めたので「やめろ」とその手を跳ねのけた。そしたらジェイソンが立ち上がった。そこでケヴィンさんも立ち上がろうとしたら何発かぶん殴られた。
目撃者の証言によると、ブース席から立ち上がったジェイソンは、ファイターズ・スタンスをとり、ブース席にまだ座っていたケヴィンさんに向かって振り下ろすように何発が殴り、ケヴィンさんは出血。
殴りつけた後、ジェイソンはアリッサさんと一緒に、すぐにその場からいなくなった、だそうです。
一つ間違えたら「虎狼の血」の世界になりそうなんですよね。
ジェイソンがカリフォルニアのロースクールに通っている時は、ケヴィンさんの家に住まわせて貰っていたんで、もともと関係は悪くなかったのでは?と思うんですけど、そのあと何が起きたのかは全然知りません。
親子喧嘩はどの家庭でもあると思うんで、あまり詮索したくないですけど、自分の父親を、しかも公の場で何度も殴るというのと、普通の親子喧嘩とは全く次元の違う話だと思うんです。
しかもジェイソンは、普段からブレンドン・モレノ選手とかTUF 29ウィナーのブライアン・バトル選手らとMMAの練習もしている人ですからね。
そういう人が一般人に手をあげるのは絶対にしてはいけないことだと思うんです。
普段は神様ありがとう云々みたいな発言が結構ある人なんで、それで自分の父親に手を上げるか!?と思っちゃうんですよね。
前にも某アメリカ人選手が、あるロゴと自分のニックネームを載せたTシャツを作ったら、兄貴から「そのロゴは俺のデザインだ!」と訴えられたことがありましたけど、それぐらい儲かっちゃうように見えるのが、いまの北米MMAなんですよね。
ちなみにマネジメントに関しては、北米の選手たちも大きく分けて2タイプあると思うんです。
あっちフラフラこっちとフラフラとマネジメントを変える、ジョブ・ホッパーみたいな選手。またはジョー・ローゾン選手みたいに、二十歳の時から信用している同じ歳のマネージャーと二人三脚でやっていく。そんな選手もたくさんいるんですよね。
弊社でマネジメントさせて頂いてる選手たちの中でも、ジェシカ・アンドレージ選手ぐらいになると、よく北米がベースのマネジメントから引き抜き工作があるんですけど、言ってくるオファーが、まぁ、色々と面白いんです。
ここでは書けないですけど。
冗談抜きで、わたしは白石和彌は大ファンなんで、彼がMMAのことを取り上げた作品を撮ってくれるのなら、是非是非情報提供させて頂きたいですね。
白石監督にとって、何かの足しになるのかは、わからないですが(笑)
事件を起こしちゃったMMAファイターたちとその被害者や現場を、森山大道に撮って欲しいかも
2021年もアマからプロまで、いろんなファイターたちが警察のお世話になりました。
UFCだけでもルイス・ペナ選手みたいに1年で3回も逮捕されちゃったのもいますし、ウエルター級のランキング12位だったジェフ・ニール選手は、飲酒運転と無許可の武器を持っていた容疑で手が後ろにまわっちゃいましたし、つい最近だと、元UFC・ベラトールのチェール・ソニン選手も、ラスベガスのホテルで複数の人と喧嘩になり警察が現場に駆けつける騒ぎになっちゃったんですよね。逮捕はされなかったみたいですが。
信じられないぐらい残忍な事件もありました。
グアムで起きた殺人事件です。
COVID-19のワクチン接種に関して口論となり、アクマル・コーゼィエフという3勝1敗のプロ選手が、放射線科医を刺し殺しちゃったんです。
しかも残忍なんですよ。
2人でご飯を食べながら口論になり、コーゼィエフは被害者をチョークで締め落としてから、食べていたお肉の骨で喉を刺し、そしてナイフでドドメを刺したそうです。
怖いですね。
2年前から行方不明だったファイターの遺体の一部が発見された、という悲しいニュースもありました。
ミズーリ州の森林で鹿の骨を探していたハンターが見つけた遺体の一部は解剖され、その結果、犯罪の形跡はないと断定されたそうです。
合掌。
そんな警察沙汰の中でも、どうなってるの!?と思うのが、11月にナッシュビルで起きた事件です。
ドノヴァン・サルヴァルドというアマチュアMMAファイターが口論の末、なんとルームメイトの睾丸を噛んで逮捕されちゃったんです。
2人は賃貸契約のことで口論となり、サルヴァルドはルームメイトの顔面とボデイにパンチを喰らわし、そこから揉み合っている過程で、睾丸を噛んじゃった、とのこと。
あそこは、6センチにも渡る裂傷。
逮捕されたサルヴァルドは喧嘩になったことは認め、もしかしたら殴ったかもしれない、と警察には話しているそうです。
けどほとんどはグラップリングの展開だった、とも付け足しているみたいです。
そんな展開の中で、ついつい口に睾丸が......ということなんだと思います(笑)
トレンスジェンダーの闘いを、奥田英朗に書いて欲しいかも
「ボクみたいな人間は、戦死した方が良いのかな」
電話の向こう側から返ってきた言葉は、予期せぬものだった。
「その方が良いかもね」
それ以来、アラナ・マクラクレン選手は、自分の母親と話たことがない。
だから今週末、彼女が北米MMA史上、2人目のプロのトランスジェンダー選手になることを、母親は知らない。
5歳の時にレイプされ、10歳まで虐待を受けていたマクラクレン選手は、早い時期から自分が男でいることに違和感を覚えたが、母親はそれを認めなかった。自分が男であるということを認識させるためのクラスやプログラムを受講させられた。
2003年に軍隊に入ったのも、男としての自分になるための究極の「変換プログラム」だった。
といった紹介の仕方をするメディアもいました。
マクラクレン選手の生い立ちを読むと、それは気の毒だと思いますよ。
5歳から10歳まで毎週のようにレイプされ続けてたなんて、普通あり得ないですからね。
軍隊に入ってからの彼女のストーリーはこんな感じです。
12人で結成された特殊部隊の医療軍曹として2007年にはアフガニスタンに出征。戦場では多くの軍人の治療を行い、医者の指揮のもと切断手術も行なった。
2016年にタイで性転換の手術を受けたマクラクレン選手は、幼年期のトラウマと戦争での体験が原因のPTSDだと診断され、今でも夜は悪夢に襲われ、翌朝起きてもその感覚が身体から抜けないことがよくあるそうなんです。
ヒューマンストーリーとしては、確かに面白いんです。
けど、だからと言って、コンタクトスポーツであるMMAに、男性から女性になった人が女性として出場するのには賛成できないんですよね。
コミッションの義務付けるホルモン・テストはちゃんとパスしただろ。
マクラクレン選手のサポーターたちはそう言いますけど、頭部ヘの衝撃を受けるコンタクト・スポーツで、元々男性として生まれた人が女性と真っ向からやりあうのうは、危険だとしか思えないんです。
さて、彼女が試合をしたCombate Globalという団体は、ご存知の方もいるとは思いますけど、ヒスパニック市場、つまりスペイン語圏内に特化した団体なんです。
アメリカの無料スペイン語チャンネルUnivision、スペイン語スポーツ局のTUDNやメキシコのTelevisa、アメリカのCBS Sports NetworkやParamount Plusなど英語市場にもリーチするところでも配信されているんですね。
トップはUFCの共同創始者でもあるキャンベル・マクラレン。
2011年にCombate Americasという名前でスタートし、今年の4月にCombate Globalに名前を変えてからは、ほぼ毎週大会を開催している団体なんです。
ファイトマネーはかなり低いんで、そんなにレベルの高い選手がたくさんいる訳ではないんですけど、南米の選手たちにとって、母国のフィーダーショーに出るよりは稼げるし、チャンスだからと、結構いろんな国から選手が集まってはいるんです。
そんなCombate Globalも毎週大会をやっている訳ですから、色々と話題作りをしないといけない。そんな理由で、マクラクレン選手を起用することにしたと思うんです。
12ヶ月にもわたりコミッションのホルモン検査のモニターを受けて、テストステロンの数値が下がっていることを証明しないといけない。
そこでCombat Globalは、アメリカで彼女を受け入れてくれるジムを探したそうなんですけど、ほとんどのところに断られたそうなんですよね。
そして対戦相手探しも、かなり難航したらしいです。
ま、当たり前だとは思いますが。
結局、彼女を受け入れてくれるフロリダのジムも対戦してくれる選手も見つけて、何とか今回のプロ・デビューにこじつけた、ということなんですよね。
これ、公平な競技という観点でも、どうしても男性から女性になったアスリートの方が、肉体的に女性として生まれてきたアリートより有利なのでは?と思い、少し調べてみました。
そしたら、例えば骨一つとっても男性は平均的に女性より10%は骨が多いとか、テストステロンの数値だけで判断できないファクターがあまりにもありすぎるんですよね。
ちなみに試合はここで見れます。
対戦相手は、フランスでプロ・ボクサー経験が2年ぐらいあるセリーナ・プロヴォストという選手なんですけど、1ラウンドやや打撃に苦戦。けど2ラウンド、マクラクレン選手が組んでグラウンドに持ち込みチョークで勝っているんです。
試合後、マクラクレン選手は「1ラウンドは完全に負けていた。だからトランスジェンダーも女性としてMMAの試合ができることを証明したと思う」と言っているらしいんですけど、それはちょっと違うと思うんですよね……(汗)
最近はアメリカの映画やドラマだと、娘の付き合っている相手が女性だったり、選挙に立候補している女性の奥さんが同性だったり、というのがごく普通なんですね。
倅の通っている学校でも、うちはダディが2人、という子がいますし、それは驚くことでもなんでもないんです。
それなら、競技に参加したい!という気持ちはわかるんで、もうトランスジェンダー部門を作っちゃうしかないと思うんですよね。
最後にー
前述の娘が女性と付き合っている設定のドラマは「メア・オブ・イーストタウン / ある殺人の真実」で、選挙に出ている女性の奥さんが女性のドラマは「イエロージャケッツ」です。
両方ともRIZIN Landmarkを配信しているU-Nextで観れます。
特に「メア・オブ・イーストタウン / ある殺人の真実」は、今年観たドラマの中ではベストの名作だと個人的には思っています。
ご興味のある方はぜひ。
ネットフリックスやアマゾンプライム制作のドラマも面白いの、たくさんありますけど、わたしはHBOやShowtime制作のドラマの方が好きなんで、日本でアメリカのドラマを観るのならU-Nextがベストだと思います。
そして、わたしはU-Nextの回し者ではありません(笑)
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