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35年の臨床から見えてきたもの1


私は看護師として35年、多くの患者さんの人生に寄り添ってきました。現在は回復期・慢性期の病棟で、主に高齢者の方々の看護に携わる中で、医療の進歩とともに、看護の在り方も、そして看護師の育て方も大きく変化してきたことを実感しています。

今、新人看護師の教育について思うことがあります。

かつての私たちの時代。先輩看護師の背中を見て学び、時には厳しい指導も受けながら、必死で患者さんのケアに取り組みました。メモを取ることも、はっきりとした返事をすることも、当たり前のように求められました(仕事は盗むのものとはっきり言われ、何一つ教えてもらえないところもありました)。そして時には厳しい指導以上の叱責と総括がありました(2回同じことで怒られたら3回目からは間違い無いだろ?とフォローなんだかプレッシャーなのかわからない言葉を先輩に言われる始末)。

それは単なる形式ではなく、患者さんの命を預かる者としての基本的な姿勢でした。そして新しく迎える新人看護師に手取り足取り仕事を教えてきたことも確かです。時には厳しい指導もしました。命に即決する技術のあるのです。

しかし今、新人看護師たちを見ていると、違和感を覚えることが少なくありません。指示に対する返事は曖昧で、大切なことをメモに残そうとする習慣も薄れています。何をするにも時間がかかり、事前準備もしていません。
自主性を感じられない場面も増えてきました(でも、他の病院との給与の差ばかり気にすることはできます。

面倒なのは、私たち指導する側の立場です。かつての自分が経験した苦労話を伝えようとすれば、それはパワハラだと言われかねないです。
せっかく時間をかけて育てた看護師が、2、3年で転職していってしまうことも今や当たり前になっています。

このような状況の中で、私は考えるようになりました。直接的な新人指導に時間などのリソースを費やすことは、効率的ではないなあと。

別に若い世代への批判をするつもりはないです。
世の中の変化なので、普通のことでしょう。

医療技術は進歩し、少子高齢化で2025年問題も顕在化してきており、患者さんのニーズも多様化しています。そして何より、働き方に対する価値観が大きく変わってきています。

私たち「ベテラン?」看護師に求められているのは、直接的な指導ではなく、もっと違う形での貢献なのかもしれません。35年の臨床経験を通じて培った看護の本質、患者さんとの向き合い方、医療従事者としての心構えなどの経験を、いかに次世代に伝えていくか(なかなか聞かれないので、口にすることはほぼないですが)。

看護の本質は、時代が変わっても変わりません。患者さんの命と向き合い(
時は患者さんを背負い)、その人らしい生活を支えること。この普遍的な価値を、いかに新しい世代に伝えていくかも変わらないと思います。

この文章が、同じような悩みを抱える先輩看護師の方々、そして日々頑張っている若手看護師の皆さんのお役に立てればと思います。

数秘術からのメッセージを受け取り、自分との対話で豊かな人生を送れますように。