
Photo by
linen_on
映画「ブロークン 過去に囚われた男」
みました。
とくにレビューというわけではないですが、ここではネタバレにならない程度の感想を書いてみたいと思います。薄めのレビューみたいなものです。
昔の恋人(愛人?)が忘れられず、孤独に生きるしかない老人の物語。
人は老いれば老いるほど孤独を深める生きものだと思いますが、アルパチーノ演じる主人公は、みずから好んで孤独に徹しているような哀愁と痛々しさがありました。
彼には忘れられない昔の女性がいて、常に彼女の幻影を追いながら今を生きている。
彼女しかみえない彼は、彼女のいない現在のすべてを否定し、過去に埋没する勢い。
そんな調子だから、息子との関係もちぐはぐで、せっかく親しくなった女性とも上手く付き合えない。
彼は不思議と人に恵まれていて、孤独から抜け出すチャンスはいくらでもありそうなのに、まさに過去に囚われるあまり孤独のなかでしか生きられなくなっている状態です。
それほどまでに忘れられない女性とは一体どんな女性なのか? これがなかなか語ってくれないからもどかしい……。
なかなか感情移入が難しい映画ですが、やはりアルパチーノの演技には魅せるものがあるので、最後まで挫折せずみることはできました。
映画の筋とは関係ないですが、老人男性の孤独って、やはり過去の恋人が忘れられないとか、愛する伴侶を失って呆然自失みたいに、女性がいなくなって人生にぽっかり穴が開くという孤独に行き着きやすいのかな、と思いました。
これが老人女性だったら、なかなかそういう孤独はないというか、あまりドラマにならない感じがします。ぽっかり穴が開いてもすぐに楽しいものを見つけて穴埋めするスキルは、圧倒的に女性ほうがすぐれていそうだから。
男って面倒くさい生きものかもしれません。