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フィルムの話1: Kodak Funsaver
先日デジタル担当の方がスマートフォン写真について投稿していたが、偶然性でいえばやはりフィルムに軍配が上がる。
思えばフィルムを「記念写真」以外の文脈で使用したのは、2020年の10月が最初であった。
最初に手にしたのはKodak社のKodak Funsaverという、所謂「使い捨てフィルム」と称されるものであった。厳密には「レンズ付きフィルム」と呼ぶのが正しく、商品の内容的にもこちらの呼称が適している印象を受ける。
ヨドバシカメラ吉祥寺店でFUJIFILMの「写ルンです」以外のレンズ付きフィルムを始めて見かけ、その中からKodak Funsaverを取り敢えず選び、早速翌日からディズニーシーとその周辺で物は試しと感覚の赴くままにシャッターを切っていった。
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まどろみのような朝の海。
ディズニーシーではあらゆるテーマのエリアがあるため、楽しく写真の練習ができるのも魅力の一つかもしれない。さらにディズニーシーで再現されているエリアは、古代遺跡や20世紀のアメリカ東海岸、ヴェネツィアに近代あたりのアラブ地域など、まさに黎明期のカメラで写真が撮られていたであろう空間なのである。20世紀にカメラを持った人々と同じ目線を目指しつつ、1センチ四方もない窓を除いて構図を探す。
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「ロストリバーデルタ」という遺跡エリアではフィルムを使うことによって、探検の記録のような写真を撮ることができた。フードトラックで名物のチュロスを食べたら、お次はヴェネツィアに行ってみよう。
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ヴェネツィアのようなエリアは「メディテレニアンハーバー」というらしい。20世紀の観光客気分で写真を撮り、このエリアにあるベーカリーカフェでパンとコーヒーを楽しんだら、20世紀初頭のアメリカ東海岸の港へ行ってみよう。
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「アメリカンウォーターフロント」というこのエリアは、某ホテルの幽霊系アトラクションやカメのトークショー、おもちゃのテーマパークがあるためいつも混雑しているが、豪華客船「S.S.Columbia」は比較的すいている印象を受ける。船内にはレストランやラウンジがあるだけでなく、装飾も本格的であり、かの『タイタニック』の世界に迷い込んだかのようである。実際、船の方も煙突が4本ではなく3本である点以外はとても良く似ている。映画に出てくる旅客のようにカメラを構え、いろいろな角度・高さから港の風景を切り取っていく。
電気軌道の高架下にいつも止まっているフードトラックでホットドッグを買い食い、あるいはデパートの向かいにあるカフェのテラスでサンドイッチを堪能したら、いったんこのパークの入り口に戻ろう。
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この写真単体で見ると2020年に撮られたものには見えないかもしれない。
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見えにくいところも作りこまれている。
27枚撮りのFunsaverをもってうろうろしているうちに、日が傾いてきた。残りは数枚。夕方や夜間にはどんな写真になるだろうかと思い、さらに移動する。再び「ロストリバーデルタ」こと遺跡エリア、そして「アラビアンコースト」こと中東エリアでカメラを構える。
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完全に日が落ちると同時にフィルムも使い切ったため、今回の写真はここまでとしよう。
Kodak Funsaverはiso感度が800であり、KodakのUltraMax(iso400)よりも強い粒子感が発現する。それ故フィルムカメラの特徴としてよく言われる「レトロ調」となる。撮り直しが効くデジタルと異なり、偶然性の高いフィルムの面白さを今回の練習で知った私はちょうど引っ越しの際に発掘されたNikon ZOOM300 AFを手にあらゆるフィルムを試していく。
次回はNikon ZOOM300 AFによるKodak UltraMaxを使った練習について書いていく。ではまた。
執筆:フィルム班・班長