ほうば巻き…原生的な豊かさと味わい
ほうば巻きも人間関係も時とともに味わいが深まるもの…
さて、好きな方は「朴葉巻(ほうばまき)」と聞いただけで、気分が上がると思いますが、みなさんはいかがですか。
そもそも…ほう葉巻きというのは、長野県の木曽地域でこの季節(5月下旬~6月末頃)に作られるお菓子です。よくこねた米粉にあんを入れ朴(ほう)の葉で包んだものを蒸したお菓子で、粒あん・こしあん、それからくるみの粒が入った白みそあんが代表的です。
これだけならかしわ餅などと同様、葉っぱで包んだお菓子の一種なのですが、ほう葉巻きがユニークなのは写真からも分かるように葉っぱが枝についたまま作ってあるので、出来上がりは”房”と言うかなんとも原生的な雰囲気が漂っていることです。
しかも葉の枚数も枝によってまちまちなので、ひと房が5個のものもあれば7個のものもあるといった具合。以前木曽のお菓子屋さんで見かけた時には、店頭に”房状”のほう葉巻きがたくさん並んでいました。
このほう葉巻き、おかげさまで毎年だれかれからいただきます。今年も、先日木曽まで買いに行って来たという方から頂戴しました。
蒸し菓子なので出来たてが美味しいと思っていましたが、ツウに言わせると一日たったもののほうが、歯ごたえが増しほう葉の香りも移っていてなお美味しいのだそうです。
なんだか人間関係に似ていませんか。出会った頃は新鮮で良いものですが、さらに年月が経ちお互い馴染んでくると、それなりに味わい深くなるという意味でも。
さて、長野県観光公式サイトによると、ほう葉巻きは木曽地方の端午の節句の祝い菓子だとのこと。木曽にはかしわの木が無いので、その代わりにほうの葉を使ったようです。
https://www.go-nagano.net/theme/id=18190
確かに旧暦の5月(今頃の時期)はほうの葉も柔らかく、お餅を包むのにちょうどよさそうです。
それにしても…枝からぶら下がった餅がゴロゴロしているのを見て、「ワイルドな豊かさ」を感じるのは私だけではないと思うのですがみなさんはいかがですか。
起源はどれほど前にさかのぼるのかわかりませんが、これを初めに作った人は、もしかしたら創造力豊かで多分に遊びゴコロを持っていたのでは?それとも、ただ単に葉っぱを一枚一枚取るのを横着して枝ごと蒸したところ、偶然にも原生的な豊かさと味わいが醸し出されたのかも…?
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