Drone Accessibility Project その1
テクノツールの島田です。東京都稲城市を拠点にアシスティブ・テクノロジーを提供しています。
テクノツールでは2021年後半から「ドローンを飛ばせない人がドローンを飛ばすプロジェクト」を進めています。もうちょっとわかりやすい名前をつけたいのですが、それはともかくアシスティブ・テクノロジーのアプローチを大いに役立てられそうなプロジェクトなので、その進捗をnoteで発信していこうと思います。
なぜドローンを飛ばせないのか?
そもそも多くの人にとってドローンなんてどこかで買ってきて飛ばせばいいだけです。それで終了。屋内向けのトイドローンはスマホがあればすぐに楽しめますし、プロが使うような空撮用のドローンだって条件を満たせば個人でも飛ばせます。
にも関わらずこんなプロジェクトが生まれたのだから、買ってきても飛ばせない人がいるということです。
このプロジェクトの言い出しっぺ、ドローンパイロットを目指すのは、東京都在住の梶山さん。
梶山さんは「筋ジストロフィー」という、運動機能低下を主症状とする筋疾患(指定難病)の患者です。運動機能低下の程度は人それぞれですが、梶山さんの場合は足のつま先と左手をわずかに、あとは顔の筋肉もある程度動かすことができます。
さて、もうおわかりですよね。そうなんです。ドローンを飛ばせない理由は、梶山さんがコントローラーを使うことができないから。
ではなく、
梶山さんが使えるコントローラーがまだ存在しないからです。
ドローンのコントローラーはそれを手で握って持つことができ、かつ5本の指を自由に動かせる人のためにデザインされています。マジョリティに最適化すれば当然の結果であり、そこに対する不満は一切ありません。問題は代替手段が存在しないことです。手で握って指で操作できない身体がバリアなのではなく、コントローラーのデザインに多様性がないことがバリアになっているのです。
どうやって飛ばそうとしているのか?
このプロジェクトのベースには、私たちが2019年から取り組んでいるゲームの操作支援事業があります。一般的な形状のコントローラーが使えない(使いづらい)人たちが、自分に最適化された方法でプレイできるようにサポートしています。2020年11月に発売されたNintendo Switch公式コントローラー「Flex Controller」の開発にも監修として携わりました。
梶山さんはFlex Controllerを代表するヘビーユーザーの一人です。わずかに動かせる左手と左頬で押すスイッチをゲームのボタン代わりにして、さらに視線入力という方法も組み合わせて、ゼルダやロストジャッジメントなどのアクション性の高いゲームをプレイしています。
Flex Controllerがゲームで実現させたように、一般的なコントローラーが梶山さんに合わないのであれば、梶山さん最適化されたコントローラーをつくれば良いのです。
もちろん簡単な話ではありません。でももし実現したら?梶山さんが東京の自宅からドローンで好きなところを飛び回ったり、過疎地の配達やインフラ点検を担うことができたら…とてもワクワクしてきませんか?
具体的にどんなコントローラーをつくるの?
特殊なコントローラーで飛ばしてもいいの?
そもそも何でこんなことやってるの?
次回以降、プロジェクトの進捗に合わせて書いていきたいと思います。
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