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Futures Literacy(フューチャー・リテラシー)の重要性 〜未来創造は「異分野融合」的アプローチ必須〜

背景 : 未来に関するリテラシー

突然ですが、みなさんは、「Futures Literacy(フューチャー・リテラシー)」という言葉を聞いたことがありますでしょうか?

Futures Literacy(フューチャー・リテラシー)」とは、未来を、誰かが唱えたユートピア・ディストピアに盲目的になるのではなく、自らの洞察・行動などを伴って、リテラシーを持ちながら創造していく能力のことを言います。

日本ではまだあまり聞かない言葉かもしれません。

しかし実は、あの "国際連合" の下で教育、科学、文化の発展と推進を目的とした機関「UNESCO(国際連合教育科学文化機関)」などでは、今、「Futures Literacy(フューチャー・リテラシー)」の重要性を謳っています。

最近、未来に関する著書『2040年の未来予測』や『2030年:すべてが「加速」する世界に備えよ』などを、本屋で見かけることが増えた方もいらっしゃるかもしれません。これらと、Futures Literacy(フューチャー・リテラシー)は関係があるのでしょうか?今回は、Futures Literacy(フューチャー・リテラシー)の重要性について記載していきます。

未来についての「可能性」の認識

まず、以下の図を見ていただきたいと思います。

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過去や現在については、時間が不可逆であるという前提である限り、変わることはありません。(一本の線)

しかし、未来については、「複数の可能性」があることがわかります。
「起こりそう」「起こってもおかしくはない」「起こりうる/なくはない」といった確率の度合いは想定されるとしても、あくまで確定的なものにはなっていません。

ここが非常に重要です。未来に対しては、「どうなるか?」ではなく、「どうなりうるか?(可能性の認識)」が正しく、また「どうしうるか?(可能性の創造)」といった関与が可能であるということです。

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Futures Literacy(フューチャー・リテラシー)とは、「①未来の可能性への認識能力」 と 「②未来を創造する能力」である

つまり、Futures Literacy(フューチャー・リテラシー)とは、以下2点と考えます。

①未来の可能性への「認識能力
②未来の可能性への「創造能力

①の認識能力については、目には見えない「洞察」を含め、非常にイマジネーション・想像力が求められます。そして、ただ想像するだけではなく、その精度・解像度の高さが求められます。想像の精度・解像度を高めるには、あらゆる方向からの統合的な視点や、それらを本質的なイシュー(問い・仮説)に変換し、その仮説を検証していくことが求められます。

②の創造能力については、まず最初に「意志」が必要です。何がしたいのか、どの方向なのか、それを決定しコミットすることが重要になります。①の段階よりも、表現力や実行力が求められます。ただ分析するだけではなく、リスクを取っていくことや、大胆に信じてやり切る力が必要です。

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①と②を、無意識下で高レベルにできてしまう場合は、天才の域であり、ほとんどの場合はそうではないため、後天的にFutures Literacy(フューチャー・リテラシー)を高める形となります。

これまでは天才の所業と思われてきた「未来を創っていく力」ですが、技術的革新や文明的進歩によって、それらが民主化されていく。それを手助けするのが「Futures Literacy(フューチャー・リテラシー)」であると整理します。

具体的なフューチャー・リテラシーについては、「Futuristコミュニティ」でもディスカッションをしています。ご興味がある方は、一緒に検討していきましょう。

※Futuristコミュニティでは「Futures Literacy(フューチャー・リテラシー)」を言語化する試みとして、次の書籍を出版いたしました。

書籍:『フューチャーリテラシー:過去から未来へ,「可能性の未来」を読み解くために』

皆さんがフューチャー・リテラシーを学ぶためのガイドとしてご活用いただければと思います。

では、フューチャー・リテラシーは、なぜ重要か?

端的に、以下の3つの理由から、重要であると考えています。

1. どの "タイミング" や "期間" で観るかで、「答えは異なる」ため
2. それまでの「前提が破綻」する可能性があるため
3. 可能性への「チャンス」を掴み取るため

まず、1. については、以下の図を見ていただくとわかりやすいと思います。

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株価チャートなどを見られたことのある方はイメージがしやすいかもしれませんが、トレンド/方向性/正しいか間違っているか、などは、どのタイミングで見るか、どの期間で捉えるかによって、正解が異なります。

ちなみに、上記はメタファー(例え)です。投資のことを言っているわけではありません。 ※切り取り方で正解が異なることを表現しています

仮に上の図の200年のトレンドに現在いたとして、大きくは下向きですが、虫眼鏡でこの期間を覗いてみると、さらに上下に行き来しながら傾向として下向きに向かっているのがわかります。厳密には現在、虫眼鏡の中の点線枠10年にいたとしたら、直近では上向きです。しかし、200年のトレンドで見れば下向き。どのスケールで見るかで正解は異なります。

つまり、もし視野が非常に短期的だった場合、現在の10年は上向きだからと言って、ずっと上向きだと思っていると、200年のトレンドで間違います。しかし、200年のトレンドも、この例では、次の300年で見れば上向きに変わっています。このように、単純に上か下か、白か黒か、といった話はタイミングや期間によって変化するため、自分が今どこにいて、どのスケールで動きたいのか、などによって考え・行動することが重要になります。それには、Futures Literacy(フューチャー・リテラシー)が必要になるということです。

これは、まるでオセロゲームのようです。

自分が白だとして、直近で白にたくさんひっくり返せても、最終的に大局観で手を打てていないと、最後に黒にひっくり返されるなどして、ゲームに負けてしまいます。

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このように、「大局観を見据えて、一つ一つ手を打つことができるのが、フューチャー・リテラシーのある人」、ということになります。


次に、「2. (それまでの「前提が破綻」する可能性)」については、1に少し似ていますが、最悪の場合、ゲーム自体が破綻することを言っています。

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例えば、SDGsなどが最近よく聞かれますが、これは非常にこのことに関連があります。近代の人類は経済を優先してきましたが、その結果、経済を支えている社会や地球環境が破壊され、このままでは経済が成り立つ前提である環境が破綻するリスクがあり、そうなると、経済も追求できなくなる可能性があるという状況になっています。そこで、SDGsが重要視され、株主第一主義・経済至上主義が見直され、より大局的なサステナビリティが必須になってきているというわけです。

つまり、サステナビリティは、Futures Literacy(フューチャー・リテラシー)を必要としています。前提を破綻させてしまう可能性を認識し、それに手を打つということです。


最後に、「3. (可能性への「チャンス」)」については、リスクを取ってリングに上がっていくことの重要性を言っています。

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未来の可能性をフューチャー・リテラシーによって洞察・認識し、さらに、そこからチャンスを掴み取るにもまた、フューチャー・リテラシーが重要になってきます。

未来に対して、1歩選択(意思決定)をしていくことには、当然ながらリスクが伴います。どのような1歩1歩を歩んでいくかは、フューチャー・リテラシーがなければ、恐ろしくて歩めません。リスクをリスクとして認識すらできなければ、ただの無謀になります。また、リスクを取りながらも進んでいくためには、ゴールに向かい続けられる確率を高める必要があります。それには、フューチャー・リテラシーが重要というわけです。


Futurist(フューチャリスト)は、10年以上先のフューチャー・リテラシーを持つ

さて、上述のように、Futures Literacy(フューチャー・リテラシー)の意味や重要性を見てきましたが、未来と言っても、1日後なのか、100年後なのかによって、全く異なります。

実際に、現在の人類は、もちろん未来を考慮しています。

例えば、一般的に、個人は数日〜1週間の視野(キャリアとかは数年)。企業はクウォーター(四半期)から5年(事業計画など)というのは、イメージがつくと思います。

しかし、それでは視野が小さすぎる、というのが21世紀かと思います。

21世紀は技術的革命や文明の進歩によって、生産力は向上し、物事を実現するスピードが急激に上がっています。

昔なら100年かかる変化が、10年で起こることもあります。そこで、Futures Literacy(フューチャー・リテラシー)の登場です。

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Futurist(フューチャリスト)とは、Futures Literacy(フューチャー・リテラシー)を持った人々を言います。このような人々は、10年以上先(遠未来で100年〜数万年先)を見据えています

私は現在、Futurist(フューチャリスト)のコミュニティを形成し始めており、フューチャー・リテラシーを広げていこうと試みています。ご興味の方は、こちらからお願いいたします。

異分野融合的アプローチが必須

冒頭で、未来は "複数の可能性" と記載しました。そして、その可能性の変数は、非常に多く、複雑系です。

しかし、発明とは、異なるものの組み合わせで起こります。Futures Literacy(フューチャー・リテラシー)を高めるにも、異分野融合的アプローチが必須です。

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Futures Literacy(フューチャー・リテラシー)の基本的思考を軸に、様々な分野・技術・ミームなどを統合的に洞察していきます。

上記の図は単なるイメージですが、「IoH」「生物工学」「クリプトエコノミクス」「メタバース」「テラフォーミング」「量子超越」など、人によっては見慣れない言葉が並んでいると思います。

相当にハイレベルが求められますが、究極にジェネラリストの方は、Futures Literacy(フューチャー・リテラシー)が必須の科目になってくるでしょう。

また、様々な社会的変化・創造も、Futures Literacy(フューチャー・リテラシー)の全体的向上(文明的向上)によって加速すると考えています。

そのような理由から、、Futurist(フューチャリスト)のコミュニティを模索します。仲間を増やしたいので、ご興味の方は、こちらからお願いいたします。

また、Futuristコミュニティでは「Futures Literacy(フューチャー・リテラシー)」を言語化する試みとして、次の書籍を出版いたしました。皆さんがフューチャー・リテラシーを学ぶためのガイドとしてご活用いただければと思います。

書籍:『フューチャーリテラシー:過去から未来へ,「可能性の未来」を読み解くために』

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高橋 翔(Sho T)

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NTT東日本にて11年間新規事業等に従事し、その間ベンチャー企業の設立経営に関与、世界初SNSブロックチェーンSTEEMのエバンジェリスト等を行い、アドバイザリーや講演を行う。2020年に一般社団法人NoCoders Japan協会を設立。現在、NoCode/LowCode事業を主軸とする株式会社プレスマンのCINO(Chief Innovation Officer)も兼任。ノーコード人材が2,200名超登録するプラットフォーム「NOCODO(ノコド)」も立ち上げる。
2022年には iU 情報経営イノベーション専門職大学の客員教授となり、Web3.0の産学研究PJ「C3F」を立ち上げる。次世代分散クラウド「Internet Computer / インターネットコンピューター」を軸としたWeb3.0インキュベーション環境構築に向けたプロダクトPoC等を企業等と連携して推進。
プライベートでは、様々なジャンルを融合・化学反応させるクロスコミュニティなどを行うオープンイノベーター。「未来は "待つ" ものではなく、"歩む" ものである」を掲げる「Futurist(フューチャリスト)」カルチャーをコミュニティで立ち上げ中。
https://www.sho-takahashi.com/

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