米国市場:4/22週の振返りと24年4/29週の予定
市場概況
先週のS&P500指数は、5,099.96と前週比+2.67%で終了しました。NASDAQは15,927.90と前週比+4.23%で終了しました。
先週の株式市場は、ジェットコースターのような動きを見せていましたが、金曜日の終値は先週末を上回って終了しました。しかし、先月末の終値からは、S&P500指数、NASDAQともに下回ったままでおります。4月の残り営業日数は2日のみとなりますので、今月は下落して終わる可能性が高いです。ただ、4月4日頃から続いていた下降線からは先週の上げで脱していますので、短期的な調整は終了したのではないかとみています。5月はサマーラリーに向けて、上昇するのではないかと考えておりS&P500も最高値を更新するのではないかと期待してますが、そのあたりは5月の月初の動きが5月の過ごし方を示唆してくれると思います。
先週の市場動向
当初、市場は予想を上回る企業業績を背景に上昇しました。しかし、25日に発表された2024年第1四半期のGDP速報値が1.6%と予想2.5%を大幅に下回ったことで米国経済に対する懸念から勢いを失いました。また、24日発表された、Meta(META)の予想を下回るガイダンスと、AIおよびデータセンターへの支出拡大があり大型ハイテク株に関する懸念が広がり、木曜日は大きく下げました。木曜日の引け後にMicrosoft(MSFT)、Alphabet(GOOG)の予想を上回る決算が発表されると市場の反発を後押しする形となり、週全体としても上昇基調が固まったように見ています。
企業の決算
先週は、S&P500構成企業のうち46%が決算発表を行っています。77%の起業が予想を上回っる結果を発表しており、10年平均を上回る決算結果となっています。各通貨に対してドル高となっており売上高を延ばしにくい環境にはなっておりますが、アメリカ企業の業績はしっかりしていると言えると思います。大手ハイテク株を個別にみると、Meta、Alphabet、Microsoftが決算発表をしました。
METAはこれまで効率化を推し進めてきており、投資家もそれを好感してきましたが、今回の発表により、METAがこれまでの効率化を終了し、独自の路線を進むのではないかの懸念からも下げていると考えています。チャート的にも窓を埋める形で動いておりもう少し下げたあとグズグズとした展開になるのではないかと思います。ただ、設備投資額の増額は半導体関連銘柄については朗報かと思います。
MSFTは、安定した決算を出しています。こちらは、AIへの投資が好循環になっている模様です。ただし、ガイダンスがアナリスト予想の中央値よりも低かったのは残念な結果でしたが、市場はあまり気にしてないようにも見えます。
GOOGは、大手ハイテク株の中で一番好決算でした。AIへの課金サービスを出してきていますが、こちらのロードマップが見えてきていますのでこれも好感されたと思います。
GDPが、市場予想を大きく下回り、米国経済の悪化が懸念されましたが、そのほかの指標は新規失業保険申請件数、耐久財受注、PCE等は、市場予想とはほとんど乖離しておらず、米国経済にまだ異変があるようにはみうけられませんでした。このGDPの数値は今回の最初の数値であり、今後、見直しがされてくるとは考えています。今週に発表される数字に何か手掛かりになるものがないか引き続き観察を続けていくことになります。
株式
第1四半期決算シーズンの折り返し地点において、S&P 500種構成企業は引き続き予想を上回る好調な業績を報告しています。S&P 500種構成企業のうち、予想を上回る利益を計上した企業の割合と、その上振れの規模はともに10年平均を上回っています。その結果、S&P 500種指数は、先週と先月末に比べて、第1四半期の利益が上方修正されています。前年同期比では、S&P 500種指数は3四半期連続で利益成長を記録しています。
26日までに2024年第1四半期(Q1)の決算を発表したのは、S&P 500構成企業の46%です。このうち、77%の企業が予想を上回るEPS(一株当たり利益)を報告しており、これは過去5年の平均77%に等しく、過去10年の平均74%を上回っています。全体で見ると、各企業は予想を8.4%上回る利益を報告しています。この数字は過去5年の平均8.5%を下回るものの、過去10年の平均6.7%を上回っています。
先週、複数セクター(中でもコミュニケーションサービスセクター)の企業が予想を上回る利益を報告し、S&P500指数の全体的な利益成長率の上昇に大きく貢献しました。3月31日以降、コミュニケーションサービス、金融、工業、情報技術セクターの企業から予想を上回る利益が報告されたこと、およびヘルスケアセクターの2社でEPS予想が下方修正されたことが、この期間におけるS&P500種指数の利益成長率の上方修正の主な要因となっています。
結果として、S&P500指数は、先週と先月末に比べて、第1四半期の利益が上方修正されています。第1四半期利益見通し成長率(決算を発表した企業の実績と未発表企業の予想を組み合わせたもの)は、本日時点で3.5%となっています。先週の利益成長率は0.6%であり、第1四半期末(3月31日)は3.4%でした。
第1四半期の実際の利益成長率が3.5%となった場合、S&P500指数は3四半期連続の利益成長を達成することになります。
11セクターのうち、8セクターが前年同期比で利益成長を報告しています。特に好調なのは、コミュニケーションサービス、公益事業、情報技術、一般消費財セクターです。一方、ヘルスケア、エネルギー、素材の3セクターでは、前年同期比で利益の減少を報告しています。
売上高に関しては、S&P 500種構成企業の60%が予想を上回る実績を報告しています。これは過去5年の平均69%、過去10年の平均64%を下回っています。全体として、予想を1.3%上回る売上高を報告しており、これも過去5年の平均2.0%、過去10年の平均1.4%を下回っています。
先週、複数セクター(中でもヘルスケア、エネルギーセクター)が予想外の増収を報告し、この期間におけるS&P500種指数の全体的な売上成長率の上昇に大きく貢献しました。3月31日以降、ヘルスケアおよび金融セクターの企業が報告した予想外の増収は、この期間におけるS&P500指数の売上成長率の上方修正の主因となっています。
この結果、S&P500種指数は、先週と先月末と比べて高い売上高を計上しています。第1四半期の売上見通し成長率は本日時点で4.0%、先週は3.5%、第1四半期末(3月31日)は3.5%でした。
もし第1四半期の実際の売上成長率が4.0%となれば、S&P500種指数は14四半期連続の増収を記録することになります。
8つのセクターが前年同期比の増収を報告しており、特にコミュニケーションサービスと情報技術セクターが好調です。一方、公益事業と素材セクターが主導する3つのセクターでは、前年同期比で減収を報告しています。
今後の見通しとして、アナリストは2024年第2四半期(Q2)、第3四半期(Q3)、第4四半期(Q4)の利益成長率(前年同期比)をそれぞれ9.7%、8.6%、17.3%と予測しています。通年(CY)2024年の利益成長率(前年同期比)は、アナリスト予想で10.8%となっています。
フォワード12ヶ月P/Eレシオ(株価収益率)は20.0倍であり、これは過去5年の平均(19.1倍)および過去10年の平均(17.8倍)を上回っています。但し、第1四半期末(3月31日)に記録されたフォワードP / Eレシオの21.0倍は下回っています。
来週は、175社のS&P 500構成企業(うちダウ平均株価指数の構成銘柄6社を含む)が第1四半期の決算発表を予定しています。
来週の主な決算発表(予定)
4/29(月):
<寄付き前>Domino’s Pizza (DPZ), On Semiconductor (ON), SoFi Technologies (SOFI).
<引け後>Celestica (CLS), F5 Networks (FFIV), Harmonic (HLIT), NXP Semiconductor (NXPI), Welltower (WELL)
4/30(火):
<寄付き前>3M (MMM), Coca-Cola (KO), Corning (GLW), Eaton (ETN), H&E Equipment (HEES), LGI Homes (LGIH), Martin Marietta (MLM), Paccar (PCAR), PayPal (PYPL).
<引け後>Amazon (AMZN), Caesars Entertainment (CZR), LendingClub (LC), Mondelez International (MDLZ), Pinterest (PINS), Skyworks (SWKS), Starbucks (SBUX)
5/1(水):
<寄付き前>DuPont (DD), Estee Lauder (EL), Mastercard (MA), Wingstop (WING), Yum! Brands (YUM)
<引け後>Beazer Homes (BZH), CF Industries (CF), Cognizant (CTSH), Fastly (FSLY), MGM Resorts (MGM), Qorvo (QRVO), Qualcomm (QCOM),
5/2(木):
<寄付き前>CNH Industrial (CNHI), Cummins (CMI), CyberArk (CYBR), InterDigital (IDCC), Linde plc (LIN), Parker-Hannifin (PH), Utz Brands (UTZ), Vulcan Materials (VMC).
<引け後>Apple (AAPL), Block (SQ), Cloudflare (NET), Digital Realty Trust (DLR), Fortinet (FTNT), Hologic (HOLX), Motorola Solutions (MSI), Universal Display (OLED).
5/3(金):
<寄付き前>Flour (FLR), Hershey Foods (HSY), XPO (XPO)
米国の主な経済指標
4/29(月):
4/30(火):S&Pケースシラー住宅価格
5/1(水):ISM製造業景気指数、FOMC
5/2(木):新規失業保険申請件数、製造業新規受注、
5/3(金):失業率、ISM非製造業景気指数
今週の着目点
3月のPCEの結果が予想を上回ったことは、インフレ指標が市場の予想を上回ったことを示しており、FRBは引続き金利の引き下げを行わない可能性が高いことを示しています。5月1日水曜日に発表されるFRBの最新政策会議の結果について考えると、GDP速報値は修正されることが大きいため、この結果が政策変化を及ぼすほどの大きな影響はないと考えています。GDPの速報値の結果は、予想より経済の成長が鈍化している可能性を示唆するものではありますが、単発のデータであり利下げの理由にはなりません。特に金曜日に発表されたPCEのデータによってインフレデータが上振れしているため、そのように考えておくことが妥当かと思います。従って、FOMCの記者会見をパウエル議長が終えるとき、再びデータを注意深く見守っていくということを繰り返し強調する可能性が高いです。しかし、数ヶ月前、インフレ抑制の戦いには多少の痛みを伴う可能性があるとパウエルFRB議長が述べたことも忘れてはなりません。 パウエル議長の発言内容については引続き注意が必要ですが、経済指標が示す内容を引続き吟味していきたいです。
今週、いつものように月初に発表されるデータを見直す際には、先週のGDP速報値が異常値であったことを確認するか、あるいは市場が現状の経済の強さとEPS(一株当たり利益)生成を中心とした見解をもしかしたら再考する必要があるのかどうかを見極めていきたいと考えています。改めて、月次の雇用データや、S&Pグローバルとサプライマネジメント協会(ISM)による4月のPMI最終報告書を精査していく予定です。 ADPの4月雇用変化報告書や4月製造業PMI報告書は、FOMC前に発表されますが直前の発表になりますので大きな変化がみられない限り影響はないと思います。
今週も各社の決算発表が続きますので、業績相場が続いていることを考えると結果次第で株式市場も動くことが考えられます。ドル円は歴史的な安値になっていますが、ドルは他の通貨に対しても高くなっております。売上のうち海外比率が高い企業がこの影響についてどのように考えているかも確認していきたいです。