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米国市場:24年11/11週の振返りと11/18週の予定

市場概況

 先週のS&P500指数は、5,870.62と前週比-2.08%で終了しました。NASDAQは18,680.12と前週比-3.15%で終了しました。
 大統領選挙後のS&P500は大きく上昇しましたが、終値で6,000の大台を超えるのを見届けると、一休み入ったように一服し大統領選後の水準まで戻ってきました。大統領選後の市場の動きをみると、大手ハイテクの株価は冴えない一方で、トランプ大統領の政策によって有利に動くであろうと言われている仮想通貨銘柄(Coinbase(Coin))、イーロン・マスクに関連した銘柄(Palantir Technologies(PLTR)、Tesla(TSLA)、Rocket Lab USA(RKLB))が大きく上昇しました。これらは、ファンダメンタルズに基づいた変化ではなく、将来的な期待感による上昇であるため、ボラティリティの高い状態が続くと思われます。実際に、長期金利が上昇の兆しを見せると、これらの銘柄は大きく売られました。また、厚生長官にロバート・ケネディ・ジュニア氏の起用が報道されると、製薬関連銘柄が一斉に下落しました。トランプ氏のワクチン対する否定的な見解が、政策に反映されることを懸念した売りが出ているようです。トランプ政権への移行はまだ続いていますが、これまでに発表されている顔ぶれを見ると、彼の主張・意向に沿った陣容となっており、人事が発表されるたびに市場が反応すると思われます。上院、下院も共和党が多数派を占めており、彼の考えが通りやすい状況であるため、これまでの政治の常識が通用しない可能性があります。政治的には安定していると思われますが、その一方で、従来の予測が難しくなり、アメリカ株への投資判断はより複雑になったと感じています。
 経済の方を確認してみると、先週は消費者物価指数(CPI)、生産者物価指数(PPI)が発表されました。市場予測にほぼ一致する数字となりましたが、コアCPIは3.3%と、FRBがインフレターゲットとして設定している2%からはまだ遠いことが確認されました。そして、パウエル議長が11月14日(木曜日)の講演でFRBが利下げを急いでいないと述べています。アトランタ連邦準備銀行のGDPNowモデルでは、GDP成長率は2.5%と米国経済が引続き堅調なことが確認された結果、12月の連邦公開市場委員会(FOMC)での利下げ確立について現状の維持の可能性が少し上がりました。この結果を受けて、10年物国債の利回りは反発し、7月上旬以来の高水準となっています。ドルも同様に上昇しました。
 トランプ政権への移行チームが打ち出しているメッセージと、市場の動きに一部ちぐはぐな点が見られ、米国市場全体に対して強気の一辺倒の見通しを持つことは難しいと感じています。ただ、しかし、個別銘柄で言えば、業績が改善してきている銘柄も見られるため、個別銘柄を選別して投資していくことが重要になると思われます。

株式市場

 第3四半期決算シーズンは半分以上経過しましたが、S&P 500企業の業績は依然としてまちまちです。予想と比較して、プラスの収益サプライズの数と規模はどちらも5年間の平均を下回っています。しかし、同指数は第3四半期末と比較して第3四半期の収益増となっており、前年同期比では、同指数は5四半期連続で増益を記録しています。
 全体として、S&P 500企業の93%が2024年第3四半期の決算発表を終えています。これらの企業のうち、75%が予想を上回る実際のEPSを報告しており、これは5年間の平均77%を下回っていますが、10年間の平均75%と同じです。全体として、企業は予想を4.3%上回る収益を報告しており、これは5年間の平均8.5%と10年間の平均6.8%を下回っています。
 9月30日以降、金融、通信サービス、および消費者裁量セクターの企業が報告したプラスのEPSサプライズは、情報技術セクターの企業が報告したマイナスのEPSサプライズによって一部相殺されましたが、この期間における指数の全体的な収益成長率の増加に大きく貢献しています。
 その結果、同指数は四半期末と比較して、本日、第3四半期の収益増加を報告しています。第3四半期のブレンド(報告済みの企業の実際の結果と未報告の企業の推定結果を組み合わせたもの)収益成長率は、本日5.4%であり、第3四半期末(9月30日)の収益成長率4.2%と比較して増加しています。5.4%が四半期の実際の成長率である場合、同指数は5四半期連続で前年同期比の収益成長を記録することになります。
 11セクターのうち7セクターが前年比の成長を報告しており、通信サービスセクターとヘルスケアセクターがその成長を主導しています。一方、4つのセクターが収益の前年比の減少を報告しており、エネルギーセクターと素材セクターがその減少を主導しています。
 収益に関しては、S&P 500企業の61%が予想を上回る実際の収益を報告しており、これは5年間の平均69%と10年間の平均64%を下回っています。全体として、企業は予想を1.2%上回る収益を報告しており、これは5年間の平均2.0%と10年間の平均1.4%を下回っています。
 9月30日以降、ヘルスケアセクターの企業が報告したプラスの収益サプライズは、エネルギーセクターの企業の収益予想の下方修正とマイナスの収益サプライズによって一部相殺されましたが、この期間における指数の全体的な収益成長率の増加に大きく貢献しています。その結果、第3四半期のブレンド収益成長率は、本日5.5%であり、第3四半期末(9月30日)の収益成長率4.7%と比較して増加しています。5.5%が四半期の実際の収益成長率である場合、同指数は16四半期連続で収益成長を記録することになります。また、2022年第3四半期(11.0%)以来、同指数が報告した最高の収益成長率を記録することになります。
 9つのセクターが収益の前年比の成長を報告しており、情報技術セクター、ヘルスケアセクター、および通信サービスセクターがその成長を主導しています。一方、2つのセクターが収益の前年比の減少を報告しており、エネルギーセクターがその減少を主導しています。
 今後の見通しとして、アナリストは、2024年第4四半期、2025年第1四半期、および2025年第2四半期の(前年比)収益成長率をそれぞれ12.1%、12.7%、および12.0%と予想しています。2024年通年では、アナリストは(前年比)収益成長率を9.3%と予想しています。2025年通年では、アナリストは(前年比)収益成長率を15.0%と予測しています。
 今後12か月間の株価収益率(P/Eレシオ)は22.0倍で、これは5年間の平均(19.6倍)と10年間の平均(18.1倍)を上回っています。このP/Eレシオは、第3四半期末(9月30日)に記録された今後12か月間のP/Eレシオ21.6倍も上回っています。
 来週は、14のS&P 500企業(ダウ30構成銘柄1社を含む)が第3四半期の決算を発表する予定です。

来週の主な決算発表(予定)

11/18(月):
<寄付き前>-
<引け後>-
11/19(火):
<寄付き前>Lowe’s (LOW), Medtronic (MDT), Walmart (WMT)
<引け後>Dolby Labs (DLB),
11/20(水):
<寄付き前>Dycom (DY), Target (TGT), TJX (TJX)
<引け後>Jack in the Box (JACK), Nvidia (NVDA), Palo Alto Networks (PANW)
11/21(木):
<寄付き前>Baidu (BIDU), BJ’s Wholesale (BJ), Deere (DE)
<引け後>Elastic (ESTC), Gap (GPS), Ross Stores (ROST)
11/22(金):
<寄付き前>Buckle (BKE).

米国の主な経済指標

11/18(月):
11/19(火):住宅建築許可・着工件数
11/20(水):
11/21(木):中古住宅販売件数・新規失業保険申請件数・フィラデルフィア連銀景況指数
11/22(金):ミシガン大学消費者信頼感指数

今週の着目点

 11月も後半に差し掛かり、今週は10月の住宅建築許可・着工件数と中古住宅販売件数など、最新の住宅データが発表されます。選挙結果によって、アメリカの政策が大きく変わるため、選挙後に住宅購入に向けての動きがどのように変化しているかを、今後の指標から見ていくことになると思われます。その意味では、住宅ローン銀行協会から発表される11月の購入指数も参考に、今後の住宅市場が活発化するのか、それとも停滞するのかを見ていくことになるとおもいます。インフレ指数を見る上でも住宅価格は非常に重要であるため、この動きを注意深く観察していく必要があるでしょう。
 決算では、NVIDIA(NVDA)の決算が注目されます。NVIDIAの第3Qの決算自体はそんなに心配するものではないと思いますが、同社が発表する今後のアウトルックに対するコメントに注目が集まると予想されます。今週の決算発表の大部分は小売業です。11月15日(金)の10月の小売売上高レポートでは、過去3か月間毎月売上高が増加していることが確認できており、今後のホリデーショッピングに向けて堅調な推移となっています。引続き堅調に推移するかを確認することになると考えています。
 


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