【気まぐれライナーノーツ】こだわりを捨てて生まれた人気曲〜「夢を見るかもしれない」TIME FOR LOVE、籾井優里奈
「夢を見るかもしれない」
詞・曲/冴沢鐘己
もういちどコインなんか投げたなら
知りたいことが見つかるの?
運命はいつもほんの気まぐれに
明日へ流されてゆくものさ
恋を知るように 孤独に触れるように
人に巻きこまれ 風に巻きこまれ
震えるけれど
朝焼けには東の空に
涙色の星が溶けてく
甘い夢を君が見るとき
僕の声も届くから
諦めた苦い日々の端くれを
心の底に沈めるの?
情熱はいつも醒めたふりをして
君を追い抜いてゆくものさ
壁を見るように 独りに慣れるように
闇に追い込まれ 時に追い込まれ
うつむくけれど
朝焼けには 東の空に
涙色の星が溶けてく
甘い夢を君が見るとき
僕がそばにいるはずさ
恋を知るように 孤独に触れるように
人に巻きこまれ 風に巻きこまれ
震えるけれど
朝焼けには東の空に
涙色の星が溶けてく
甘い夢を君が見るとき
僕がそばにいるはずさ
いつもそばにいるはずさ
TIME FOR LOVEのファーストアルバム「心地よく秘密めいた場所」は、バンドという固定概念を取っ払って生まれた1枚でした。
続くセカンドアルバム「何かが道をやってくる」では、僕が長らくこだわっていた“ロックの概念”を打ち破ることに挑みまして、そのフラッグシップとして作ったのがこの曲です。
まあ、もっと平たく言えば、単に爽やかな曲を作ろうってことなんだけど、普段の服装から変えるくらいだったのよ。“長髪、黒、帽子”をやめたのもこの頃。
曲調で言えば、メジャーコードとアコースティックギター中心で、70年代のとある洋楽ヒット曲をベースにしています。仕上がりのイメージは“1980年にCMタイアップでオリコン4位くらいに入る曲”で、ただひたすらウキウキするだけの曲なんだけど、歌詞にちょっとだけビターな要素を入れたのが、僕の中のロック魂なのかなと。
面白いもので、イベントでギターも持たずオケで大きなフリをつけながら歌ったらめっちゃウケて、優里奈が「いい曲だから歌いたい」って言い始めたのもその頃かなと。
そんなちょっとした事から物事が動き出して、作ってから6年も経って、優里奈バージョンがテレビで流れるとか、面白いよね。TIME FOR LOVE版のPVがきっかけで新聞の取材を受けたのも6年も経ってから。
僕にとってはこだわりを捨てることの大切さ(何を捨てて何を残すか)を教えてくれた1曲です。
TIME FOR LOVE「何かが道をやってくる」(2014年リリース)、籾井優里奈「季節風便」(2021年リリース)収録。