俺は降臨派〜三体
読んでない人にはまったく通じないと前置きしたうえで
例の感染症騒ぎ前なら、よくて救済派、悪くても(いい悪いは意味がないのだけれど)生存派だったんじゃないかと思う。
今は違う。
ここまで愚かで救いようがないのであれば(国家、地方自治体、マスメディア、SNS、いや、町中や道端でいくらでも見られるその有様)滅ぶ可能性のほうが大でも、是正、リセット(たとえゼロにはなっても、少なくともマイナスにはならない)に賭けるほうがずっといい。
なにわともあれ、面白い。とんでもなく。
自分のような科学オンチ(こんな表現はもうしないのだろうか)でも十二分に楽しめる、堪能できる素晴らしいエンタメ。(いや、十二分どころかレベル、驚愕)
専門用語は出てくるにせよゴリゴリのハードSFということもなく、ハインラインほどではないけれど、文学寄りに引き寄せて楽しめるんじゃないかと。(実際そうした文学的に美しい技巧もちりばめられているし)
そのあまりのスケールの大きさに(この表現がすでに陳腐、あまりに矮小で悲しいが)、例の感染症騒ぎを祭りに踊っている人々(踊らせている側も)への怒りも苛立ちも消えてしまうほど。
そうだよな。
たかだか一瞬だよ。
我々と、我々が思っている人類とかいうものの存在も歴史も。
そんなふうに思い、感じ、発している自分の無邪気さ、幼さ、未熟さを甘受したうえで。
そして俺は
やはり怒っている。
そして、第二部へ。