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該博な知識と著者特有のヒューモア、ウィットとともに紹介する〜名画の中で働く人々
『怖い絵』シリーズに代表されるような、テーマごとに西洋絵画をその該博な知識と著者特有のヒューモア、ウィットとともに紹介する中野京子(敬称略)の最新刊(たぶん現時点では)。
今作のテーマはタイトルそのままに『名画の中で働く人々』。
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中野京子 著
本書を知ったのは、数ヶ月ほど前からかなり愛聴している(2008年の開始時にさかのぼってまで)Podcast番組(ピーター・バラカンの「The Lifestyle MUSEUM」)で、ゲストに著者(中野京子)が招かれたとき。
ドイツ文学(翻訳も)、西洋文化史の該博な知識は当然のごとく前提としつつ(それが必須ではないこともあるにせよ)
著者独特のヒューモア(ほどよくドライさも含んだ)、ウィット(機智)に富んだ語り口は、これまたほどよいヴォリューム(量)にフィットして、楽しめる(教養の種をまく、育てるという面でも)。
基本的に書籍の紹介はネタバレや先入観、バイアスを避けたいので、つっこんだ内容には触れないのだけれど(だから、よくある感想、書評、レビューのような「コンテンツ」にはならない)
本書で得た「え?そうだったんだ」的なものを。
<闘牛士、というしごと>
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これまでは漠然と「闘牛士 = 牛と闘う」的な、シンプルな理解だったけれど、これがなかなか一筋縄で「わかった」というような職能ではないことが「わかった」。
まず、階級がある。
闘牛士というと「マタドール」に直訳して理解するひとが多いけれど(もちろん、わたしもそうだった)マタドールは超エリート。
あの巨大な牡牛(おうし)と最初から一対一でというのは、よく考えなくてもわかるけれど、当たり前に勝負にならないので、その前に牡牛(以降、牛と表記)を弱らせる役目が必要とのこと。
その役目を担うものを「准闘牛士」という。
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この段階でつっこみたいのだけれど「あの巨大な牡牛」と最初から一対一で対峙し、屠る(ほふる)からこその存在(意義)が認められているのかと思っていたので、これにもびっくり&がっくり。
だって、フェアじゃない。
まぁ、そのへんの事情があることを認めたうえで
その「弱らせる役」にはふたつあって
・ピカドール(槍で突く者)
・パンデリリェーロ(銛を打つ者)
このふたりが役目を果たしたあと、よく知られている、聞かれているあの「マタドール」(正闘牛士 = 止めを刺す者)の登場となる。
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准闘牛士、正闘牛士ともに、多くは専門の養成学校をでているそうな。
実践では毎回、牛を殺す必要があるから非常にお金がかかる。
一人前のマタドールを育てるのには、1億円はかかるともいわれている。
わたしの個人的な見解というか思い、感想をいえば、やはり違和感。
そこに彼らが主張するような、価値を認めるような「文化」は、すくなくともわたしには認められない。
<ゴンドラ漕ぎ、という仕事>
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ゴンドラ(観覧車のではなく)といえば「ヴェネツィア」。
勝手にもっていたイメージなんだけれど、わりと能天気にやってる仕事かと思っていたらとんでもない。
ゴンドリエーレ(ゴンドラ漕ぎ)は「超」がつくほどのエリート。
(女性の場合はゴンドリエーレ)
資格試験があり、三ヶ国語の会話能力、ゴンドラの操作方法、歴史と地理の知識および、その「説明能力」が求められるそうな。
ま、観光客相手の仕事だから当然といえば当然か。
そして、もちろんゴンドラの操作にたえるじゅうぶんな肉体、体力、筋力は大前提。
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