出逢いはいつもランダムに〜オードリー・タン
やはり伝記は面白い。
自伝は熱量が余計な仕事をすることがあるので、どちらかというとよい聞き手、書き手に書いてもらったものがいいかなと思ってます。
あ、でも『ヴァージン』(リチャード・ブランソン)は自伝だからこそ良かったのかも。(そのぶん熱く、厚すぎたけど)
オードリー・タン。
わたしはこれまで全く知らなかったのだけれど、たまたま池袋のジュンク堂でいつもの渉猟、徘徊をしてたら目に止まった一冊。
装丁にある写真と「天才IT相 7つの顔」という文句に少し惹かれ、パラパラと。
その後また各階を放浪して、なんか忘れられない、気になるなと思い、またパラパラと。
パラパラなのでなんとなくしかわからない(少なくとも天才らしい)。
でも、気になるからということで購入。
こういうランダムな、予期しない出会いがあるから実際の店舗を巡るのは嬉しいし楽しいし有益だなぁと思います。(書店の規模の大小関係なく)
Amazonは便利だし、それはそれのレコメンドの機会をくれるけど狭量なのとその恣意性(売上)が純粋なランダムネスとかけ離れているから。
最近だと坂口恭平さんを知ったのもそんな流れだったし。
話は戻って、本書『Au オードリー・タン 天才IT相7つの顔』の主人公、オードリー・タン(唐鳳)はIQが180だったり(はじめて知ったけれど、ここまでしか測れないとか?なので、それ以上かもしれない)学歴は中卒だったり、トランスジェンダー(男性から女性へ)だったり、そのへんを知るだけでも「へー、どんな生まれ、育ちで、どういう遍歴をたどったんだろう」とか気になるわけです。
とかく、わたしのような天才とはまったく縁のない凡人以下の人間は、故にか天才に憧憬を抱かずにいられないところがあります。
それにしても、天才といわれる人のこうしたもので、幼少期からこれほど赤裸々に内面を吐露している(家族も含め)ものは珍しいんじゃないかな。
こうした人がいることを知ったのもよかったし、彼女をきっかけに(本書をきっかけに)これまでほとんど知らなかった台湾について(一度観光では訪れたことはあるのだけれど、小籠包とお茶が美味しくて、日本人に親切、くらいしか知らない)ちょっとでも理解が進んだことも同じくらい意味があった。
そして、例によって例のごとく、本作の内容にはまったく触れず、読書案内にはまったく役立たないのだけれど(基本、そういうのはしないと決めて、あくまでもヒントくらいなきっかけにとどめて)、出逢えてよかったです。
本作は日本の読者に向けた書き下ろしらしいけれど、巻末の例の感染症騒ぎのところは蛇足かな。(タンがアプリ開発で関わっている部分があるから無関係とは言えないけど、違和感)
とはいえ、面白かったです。