連作にフォーカスしたわりには〜モネ 連作の情景
ひさしぶりの上野の森美術館。
つい最近まで美術館、博物館とかの名称ってまったくといっていいほど意識してなかったし、おぼえなかったし、おぼえようともしてなかったなぁ。
ちょっと前までは、印象派等、こうしたビッグネームの西洋絵画にはそれほど興味はなかったんだけれども、あらためて美術史とか、いろいろなことを知ることで、視点や解像度がまったく変わってくることに気づく。
モネはかなりの浪費家とか、パトロンの奥さんとの間に子どもをもうけてしまったこととか(本妻カミーユと息子ジャンとの生活のなかに、浮気相手とその子たちも加わるというビッグダディぶり)
そのあたりのダメっぷりも含めてよい。
本展にもどって、
プロモーションというのだろうか。
告知がうまいなと。
「100%モネ」とか(もちろん、まっすぐそのとおり、嘘偽りはないのだけれど)
「連作の情景」とか。
メインテーマはもちろんモネで、そこに「連作」(モネといえば「積み藁」に代表される連作で知られる)という「串」が刺さっているのが本展の特徴なのだけれど
それほど連作に注力してないように感じたかなぁ。
もちろん、ウォータールー橋や国会議事堂、睡蓮、積み藁など、連作で知られる作品は(単体ではなく)展示されていたけれど、それほどだっただろうか。
「連作」にフォーカスしたわりには、その印象がうすい。
とはいえ、ゴッホとならぶか、それに近いほど、日本人はモネ好きなようで、会場は大盛況(グッズ販売のブースに並ぶほうは、さらにさらに)。
写真撮影は後半(終わり1/3くらい)許可されていたんだけれど、やっぱりこれって以前のように禁止のほうがいい気がする。
MoMA(ニューヨーク近代美術館)で、そうしたこと(写真撮影可のほか、のびのびと来場者が作品を楽しめている)がいいな、すばらしいなと思っていたけれど、あれはやっぱり「余裕」(単純に場の広さ≒国土の広さ)あってこそ機能するもの。
やっと自分の番がまわってきて、作品の正面に立てて、作品によってはじっくり対話をしたいわけだけれど、後方周囲に写真を撮りたい(正面から)ひとたちが大げさでなく、ひしめいていて
そんな状況でじっくり堪能なんてできるわけもなく。
あのひとたちは、あれだけ撮った(作品の鑑賞、生の対話にはあまり時間をかけていないようにみえる)写真を、あとからどれくらい見返すことがあるのだろう。
ま、俺も撮ってるけど。