YELLOW YELLOW HAPPY / ポケットビスケッツ
紅白歌合戦を見ていて気になった(思い出した)楽曲。思いがけず心に残ったので分析してみた。
楽曲構成は
イントロ、サビ、A、B、サビ、A、B、サビ、間奏、落ちサビ、サビ(転調なし)、アウトロ
改めて聴いて驚いたが、イントロはサビの全音下のキーが採用されている。
イントロ : D ·/· E F♯m D E Fdim F♯m
サビ : E F♯ D♯m G♯m E F♯ D♯ G♯m
イントロ終わりにF♯が来てそれ以降のキー(B)に対してのドミナント→偽終始と言う形で転調する。
Aメロ前にE7が入り以下の流れになる。
Aメロ : A Bm7 Dm(Bdim?) A
サビのキーからまた転調し明るい雰囲気がするがDmがSDmとなっており、陰りをちらつかせている。
Bメロはdimを多用しルート音が迫り上がっていくような印象を与えサビへの橋渡しとなっている。
Bメロ : D E Fdim F♯m
D D♯dim Fdim F♯m F♯
サビのコードは上述の流れで王道コードを使用している。サビ後半部は下降のクリシェ進行があるなどしているが、その他に大きな動きはない。
また、間奏部はC♯m6(に聞こえる)が混ざっておりトライアドが多い本曲の中で香るように響いてくる。
間奏 : G♯m F♯ C♯m6 ·/·
なるほど楽しげな曲だと思い、また聞き返すと冒頭イントロ部はサビからキーが全音落ちておりハッとさせられるカラクリができている。
以上がざっとコードアナライズした内容であり、難しいコードを使わずとも使い所を押さえることで色彩鮮やかに表現されていることがわかる。
最後に歌い出しの歌詞について、
「もしも生まれ変わっても
また私に生まれたい
この体とこの色で 生き抜いてきたんだから」
ここ何年かネット漫画で異世界転生ものがはやっていて、(読んだことがないので完全な偏見となるが)現世で恵まれなかったり、冴えない生活を送っていたのに転生先の世界では無条件に恵まれていたり、チート能力を持っていたりという話が好まれている印象がある。
そういったネット広告を見るたびに現世に何も期待ができていない空気感を感じ、気が重くなるのだが「もし生まれ変わってもまた私に生まれたい」というメッセージはそういった雰囲気へのアンチテーゼのように聞こえてきた。
25年ほど前に発表された楽曲に時代の移ろいを感じる年末となった。