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シリーズAにて3.35億! レアメタルを使わない高性能触媒のスタートアップとは!? ジンが記す週刊SmartPitch[エネルギー・資源業界]2023/10/27

執筆者紹介🖌

私は2023年3月末に株式会社ショーケースにインターンとして突如現れた通称ジン。ジンは飲めない。SmartPitchの認知度拡大と最適化に奮闘する中で、資金調達やM&A、業務提携情報が一括でまとめられたメディアの有用性に注目して週刊SmartPitch発行を決意した。
日頃は新しいもの・ことに常にふれながら、個人の裁量が大きなこの職場で、第3者かつ学生独自の視点を活かしつつ、様々なことを実行に移しPDCAを回し続けることを心掛けている。


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今回のPick UPニュース
CO2を使った合成燃料、「e-fuel」の開発が進んでいます。すでに排出されたCO2を回収して有効活用しようという「カーボンリサイクル」の試みの一つであり、資源エネルギー庁も注目しています。


目次


レアメタル不使用エネルギーデバイス向け触媒のAZUL EnergyがシリーズAにて3.35億円調達

レアメタルを使用しない次世代エネルギーデバイス向け高性能触媒製品を開発する東北大学発スタートアップAZUL Energy(アジュールエナジー)株式会社は、シリーズAファーストクローズで3.35億円の資金調達を実施した。今回の資金調達では、Spiral Capital株式会社をリード投資家として、東北大学ベンチャーパートナーズ株式会社、JMTC キャピタル合同会社、及び既存投資家であるスパークル株式会社の計4社を引受先として第三者割当増資を実施した。当社は、今回の資金調達により、独自の触媒やその電極シートの量産化、また金属空気電池や燃料電池、水電解装置などへの用途展開と海外での事業開発を進めていく。
CO2排出量の削減が期待される水素エネルギーシステムでは、コストが高く資源制約が大きい白金等のレアメタル触媒が使われているが、コストに加え経済安全保障の面でも課題となっている。当社は、コストを抑えたままレアメタルと同等の性能をもつ触媒の開発に成功しており、資源制約のない触媒として社会実装することで、脱炭素社会、循環型社会の実現に貢献する。
これまで、次世代エネルギーデバイスとしてCO2排出量の削減が期待される燃料電池や水電解装置などの水素エネルギーシステムでは、電極に用いる触媒として白金など高価で資源制約のあるレアメタル触媒が用いられてきた。しかし、資源制約の大きいレアメタル触媒は、高コストのみならず経済安全保障の面でも課題があり、その代替が求められてきた。

AZUL Energyは、東北大学発スタートアップとして2019年7月に創業し、独自に開発したレアメタルフリーの高性能触媒「AZUL触媒」の事業化を進めてきた。AZUL触媒は、燃料電池や金属空気電池の空気極における酸素還元反応において高い触媒活性を有しており、また従来の製造プロセスを用いて量産することが可能となる。当社は資源制約のない触媒として、お客様に低コストな高性能触媒を安定して供給するべく開発を進めている。前回2021年の資金調達以降、燃料電池や金属空気電池、水電解装置などを開発、製造されているお客様にサンプルを提供し本格採用に向けた実証実験などを進めてきた。今回の資金調達により、AZUL触媒を組み込んだ電極シートの量産化を進め、国内外の新規のお客様の開拓やさらなる触媒性能の向上、新規用途に向けた開発に取り組んでいく。


資源循環型ビジネスを展開するECOMMITシリーズAにおいて約9.4億円の資金調達

循環型社会に向けたインフラ・システム開発およびリユース・リサイクル事業を行っている株式会社ECOMMITは、9社を引受先とする第三者割当増資を実施し、2023年10月13日までに、シリーズAラウンドによる約9.4億円の調達を完了した。今後はシステム、設備、人材、ブランディングへの投資を速やかに実行する。循環センターの増強や、自動選別システムの導入などを中心に、回収・選別・再流通の仕組みを拡大し、資源循環のインフラづくりを更に加速していく。
ECOMMITは、「捨てない社会をかなえる」をスローガンに、15年以上のノウハウをもとに、捨てられてしまっているものを回収・選別し、再流通することで、それらを活用できる先へと繋ぐ取り組みを進めている。現在、日本では廃棄物のリサイクル率がOECD最下位の20%であり、廃棄物の最終処分場の残余年数は約20年と言われている。これからの社会において、まだ使える資源を循環させることは”したほうが良いこと”ではなく”未来のためにしなければならないこと”だ。。ECOMMITは、この社会課題を解決するために不要品を「素材・商材」に変えるための取り組みを進めている。

不要品の再流通における最大の課題は、ものを「捨てる」ためのインフラに対して「循環させる」ためのインフラが圧倒的に不足しており、生活者の身近に存在していないということがある。この課題を解決するために、不要品の回収・選別・再流通を一気通貫で行うオリジナルブランド「PASSTO(パスト)」を開発した。PASSTOとは、PASS TOを短縮した造語で「次の人に渡す、未来につなぐ」ということを意味している。各プロジェクトにおける環境への貢献度は、即時に数値化している。こちらを実用性の高いデータとして提供することで、自社サービスの強化を図り、パートナー企業や自治体との協業を加速する。


コーポレートPPAにて供給する再エネスタートアップのアスソラが7,000万円の資金調達

再生可能エネルギー発電事業に取り組む株式会社アスソラは、この度、ANRIおよびエンジェル投資家を引受先として、J-KISS型新株予約権の発行を行い、総額7,000万円の資金調達を行った。
アスソラは、脱炭素社会の実現に向けて、「非FIT」の再生可能エネルギー発電事業(以下「再エネ」)の開発に取り組んでいる。当社は、発電事業から得られる電力を、「追加性」のある電源を求めるRE100加盟企業などの電力需要家にコーポレートPPA(※)で供給し、電力需要家とともに脱炭素化に貢献する発電所を作り上げる
。当社は、実需による再エネ導入が進みつつある今日において、再エネの更なる拡大に取り組んでいく。今回調達した資金は、新規の再エネ事業の開発および人材採用の強化に充当する。
脱炭素社会、カーボンニュートラルの実現に向けて、RE100加盟企業など、再エネの導入を目指す企業が増えている。アスソラでは、太陽光などの再エネ事業の開発を行い、脱炭素化に取り組むお客様にクリーンな電気を供給する。電気の供給は、コーポレートPPAという特定の電力需要家と特定の発電所が紐づく形態で行う。当社の取り組む事業は、電力需要家とともに再エネ発電所を新たに作り上げるものであり、再エネ設備を新たに増やす効果がある「追加性」のある当社事業からの電力の調達により、電力需要家も再エネの拡大に貢献できる。
現在は、当社が開発する最初の発電所を来期中に運転開始させることを目指し、事業に鋭意取り組み、また、農地の上部に太陽光発電設備を設置し、発電と農業生産を同時に可能とする営農型太陽光(ソーラーシェアリング)にも積極的に取り組んでいる。本取組みを通じ、農業、更には地域の活性化にも貢献したい。再エネ事業は、地域の資源を活用して初めて実現できるものだ。私たちは、地域と共生した再エネ事業の構築を行うことで、持続可能な地球をつくっていく。

(※)コーポレートPPAとは
コーポレート PPA(Corporate PPA)は、企業や自治体などの法人が発電事業者から自然エネルギーの 電力を長期に(通常 10~25 年)購入する契約である。 PPA は電力購入契約(Power Purchase Agreement) の略で、通常は小売電気事業者が発電事業者から電力を調達するために締結する。
コーポレートPPA 実践ガイドブック-自然エネルギー財団より)


アスエネ、事業成長を加速させるために総額20億円の資金調達を締結

クライメートテック(世界的な気候変動の問題を解決するため、CO2排出量の削減や地球温暖化の影響への対策を講じる革新的なテクノロジー)領域で企業の脱炭素・ESG経営支援に取り組むアスエネ株式会社は、事業のさらなる成長と人材強化を目的に、三井住友銀行、商工中金など、複数の金融機関からの調達により、総額20億円の資金調達を実施した。なお今回の調達により、累計資金調達額は約51億円に達した。
アスエネは「次世代によりよい世界を」のミッションを実現するため、CO2排出量見える化・削減・報告クラウドサービス「アスエネ」と持続的なサプライチェーン調達のESG評価サービス「アスエネESG」を提供している。「アスエネ」は現在、4,000社を超える企業・自治体の導入実績があり、CO2排出量見える化サービスの累計導入社数において国内No.1*を獲得しているなど、日本・アジアにおける非連続な成長を続け、事業が急拡大した。

当社は、これからも事業成長による社会的インパクトを追求し、日本初のアジアNo.1のクライメートテック企業を目指していくそうだ。


CO2排出量可視化サービス「e-dash」と福岡ひびき信用金庫が業務提携

CO2排出量を可視化するクラウドサービス「e-dash」を提供するe-dash株式会社は、福岡ひびき信用金庫と業務提携し、福岡ひびき信用金庫の取引先企業の脱炭素への取り組みをともに支援する。
2050年のカーボンニュートラル達成に向けた動きが本格化している昨今、あらゆる企業にとってCO2排出量の情報開示や削減が経営上の重要テーマのひとつとなっている。この流れは、プライム上場企業のTCFD対応や、自動車産業を筆頭としたサプライチェーン上での排出量情報の開示要請などという形で活発化し、特に後者においては、業種や企業規模を問わない潮流となりつつあり、自社の排出量を把握し情報提出が求められる事例が中小企業含め増加傾向にある。
当社では、特に国内企業の99.7%を締める中小企業が脱炭素化の流れに取り残されることなく取り組み脱炭素化を進めていくにあたり、各社の経営に一番に寄り添う金融機関が担う役割は大変重要であると考えており、本提携を通じ、当社は福岡ひびき信用金庫の取引先企業へ「e-dash」を提供し、脱炭素への取り組みの初めの一歩としてCO2排出量の可視化を支援していく。また、その先の排出量の削減に向けた施策の実行支援も含めて中長期的にお客様と伴走することで、脱炭素社会の実現をともに目指す。

「e-dash」は、CO2排出量削減への取り組みを総合的にサポートする三井物産発のサービスプラットフォームであり、脱炭素の第一歩であるCO2排出量の可視化については、電気やガス等のエネルギーの請求書をアップロードするだけで、事業を通じたCO2排出量(Scope 1・2)を自動で簡単に算出するなど、計算の手間を削減しながら正確なデータを蓄積できる仕組みを提供している。サプライチェーン排出量(Scope 3)についても、ソフトウェア上で手軽に算出・可視化が可能だ。「e-dash」でのCO2排出量の算出については、大手監査法人による第三者検証を実施し、日本政府が策定した算定ガイドラインに基づいた正確な算定方法で提供する。


VPPプラットフォームの構築に向け、レジルとCONNEXX SYSTEMSが業務提携契約を締結

レジル株式会社とCONNEXX SYSTEMS株式会社は、VPP(仮想発電所)プラットフォームの構築に向けて、CONNEXX SYSTEMSが開発した次世代蓄電池システム「LUVIS™」を、レジルが顧客基盤を有するマンションやビル等へ加速的に導入するため、この度、業務提携契約を締結した。
VPPとは、工場や家庭などが有する分散型の小規模エネルギーリソース一つ一つを、IoT(モノのインターネット)を活用した高度なエネルギーマネジメント技術により束ね(アグリゲーション)、遠隔・統合制御することで、電力の需給バランス調整に活用する仕組みのこと。(自然エネルギー庁より抜粋)

レジルは、国内で初めて事業化した「マンション一括受電サービス」の基盤とノウハウを活かして分散型エネルギー事業・エネルギーDX事業・グリーンエネルギー事業を展開する気候テックカンパニー
。2023年4月には、マンションに災害時の非常用電源として蓄電池および太陽光発電を初期費用無料で設置する「マンション防災サービス」の提供を開始している。
CONNEXX SYSTEMSは、革新的な次世代蓄電池開発に取り組む研究開発型スタートアップ。開発を進めると共に、産業用蓄電システムの展開に力を入れており、この度、新たに日常使いと災害時の停電対策のベストバランスを追求した産業用蓄電システム「LUVIS™」の販売を開始した。本業務提携により、CONNEXX SYSTEMSの「LUVIS™」と、マンション一括受電サービスなどEaaS事業を幅広く展開するレジルのビジネス開発ノウハウを組み合わせることで、導入先に初期費用を負担させることなく、定置型蓄電池の導入がスムーズに進行する。
レジルは、2023年4月に提供開始した「マンション防災サービス」において、「LUVIS™」の採用を決定しており、本業務提携と合わせて初回の発注(10台)も実施した。レジルは、これらの蓄電池をネットワーク化してVPPプラットフォームを構築することを目指しており、また、IoT端末を介して蓄電池等を統合的に最適制御するVPP制御システムも独自開発中。設置した蓄電池の統合制御を行い、卸電力市場や需給調整市場等を通じて最適な電力取引を実施できるようになることで、収益性の向上および需要家の電気料金削減を実現できる。


BEMAC 欧州発電機メーカーThe Switch Engineering Oyを買収

BEMAC株式会社は、フィンランドの永久磁石同期機および直流配電盤・モータードライブインバータ、高速誘導電動機のメーカーであるThe Switch Engineering Oyの株式を取得した。
現在、株式会社安川電機の連結子会社であるYaskawa Europe Holding ABが保有するスイッチ社の全株式を、BEMACが筆頭株主として三井物産株式会社と共同で取得することに合意し、このほど三社間で株式譲渡契約を締結した。
スイッチ社のPMMは、風力発電用発電機、大型商船の軸発電機(以下、「PM軸発」)や電気推進船の推進モーターに使用され、従来型の同期発電機・誘導電動機と比較して、高効率、小型、軽量などの特徴を備えており、効率的な風力発電や、船舶のエネルギー効率の向上による燃料費の削減により脱炭素化に寄与する。スイッチ社のPM軸発は1~12MWクラスに対応可能で、これまで韓国・中国を中心に200隻近くの建造船で採用実績があり、その性能は高く評価されている。しかし、日本国内の建造船では、まだ数隻の導入実績にとどまっており、電気推進船市場でも、国内での建造実績は限られている。
BEMACは主力製品である主配電盤や監視盤に加え、発電システム、回転機及びインバーターの専門知識を取得し、事業領域をさらに拡大する計画を掲げ、船舶の電気システムにおける発電から配電、蓄電、制御、モニタリングまで包括的なソリューションを提供できる企業への変革を目指している。
スイッチ社はPMM、直流配電盤・モータードライブインバータ技術に加え、高速誘導電動機の技術を保有しており、これらの技術をBEMACの製品に統合し、製品ラインアップの拡充と技術の融合を推進する。
BEMACは、三井物産と共同でスイッチ社へ出資することで、日本国内でのPMMの受注拡大と販路の拡充を積極的に進め、船舶における持続可能なエネルギーソリューションの提供により、 BEMACは長期ビジョン2032に掲げる「世界の温室効果ガス排出量の抑制」の取り組みを強化していく。


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