増田晶文(ますだ・まさふみ)
【澤田酒造と「白老」をめぐって(抜粋)】 澤田酒造が火災に見舞われたのは2020年11月27日の金曜日。 その報を耳にして私は茫然としてしまった。つい先日、愛知県は知多半島の常滑にある、この蔵を訪ねたばかりだったから――。 ぼちぼち、少しの時間なら火事のことをきかせてもらってもいいだろう。こう思って電話をかけたのが2020(令和3)年12月の初め。 澤田英敏副社長はすぐに出てくれたものの、その声はさすがに翳りをおびていた。 「麹室は丸ごと焼けてしまいました
ワタクシのホームページ、このところウェブデザインの世界で注目していただいております。 まずは、優秀なデザインのみを集めたデザインギャラリー「 S5-Style」に掲載していただきました。世界初の合成フォント技術を使用した、繊細な書体表現に対するご評価。 https://twitter.com/s5style そして、『すごいWEBサイト10選【こんなWEBサイト見たことない!】』ではベスト4。いいぞ,うれしい(褒められているのはワタクシではなくデザイナーだけど)。もう一
小説家は布団から這いでると、 まずビールの小瓶を手にする。 唇の泡をぬぐい、ひとごこちつけば、 おもむろに買い物かごを腕へひっかけ市場へ繰りだす。 作家は分厚いメガネの奥を炯々とひからせ、 食材えらびに熱中、帰宅と同時に 盛大なる精力をもって料理にとりかかる――。 壇の代表作『火宅の人』を読み返した。 本屋をそぞろ歩きしている際に彼の料理エッセイを手にとり、文体の明るさテンポの良さを再発見、これはたいへんな作家だと認識を新たにした次第。 家に戻るや、おっとり刀で彼の遺作の
文藝春秋11月号にジャパニーズウイスキーの旗手、肥土伊知郎さんについて書きました。ネット版の「文藝春秋デジタル」でも配信中! https://bungeishunju.com/n/nb7b7b77b344b
1996年、私が36歳になった夏、アトランタでオリンピックが開かれた。 このとき私はプロの物書きになって2年目、スポーツにかかわる記事を書くことが圧倒的に多かった。女子バスケットの中川文一監督を筆頭にレスリング、陸上競技などでぜひ取材したい対象がありジョージア州へ向かうことにした。 だが、アトランタ市内にホテルの空室はなかった。 旅行代理店のオッサンはいった。 「うーん、アトランタから100キロ近く離れた町なら、いくつか部屋が確保できるんですけどね」 100キロ?
タイトルは『S. O. P. 大阪遷都プロジェクト~七人のけったいな仲間たち』 大阪に首都を取り戻せ! 戦前に大阪を世界第6位の都会に押し上げ、「大大阪」といわれた繁栄をつくりあげた、關一(せき・はじめ)大阪市長が、密かにあたためていた幻の大計画があった。 それこそが「大阪遷都計画=セント・オーサカ・プロジェクト」つまり「S.O.P.」。 そして時代はぐぐっと下がって、小説の舞台となる昭和50年代の大阪へ。 大阪を首都にして日本を作り替えようという大計画=S.O.P.