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シリーズ北海道1.旭川② 博物館(前編)

わたしのライフワークのひとつに、訪れた先の博物館に行く、というものがある。旭川には2か月ものあいだ滞在したので、興味がある博物館だけでなく、なるべく多くの博物館に行くようにした。

・旭山動物園
とはいえまずは、旭山動物園へ。
旭川と言えば旭山動物園。
旭川に行くことになった、と家族に伝えたときにみんなで混乱した。あれ、旭山?旭川?
結論としては、旭川市の旭山という場所にある動物園で、旭山動物園である。
展示方法を工夫することで集客数を伸ばしたことで有名なだけあって、どの動物のゾーンも展示が楽しい。思っていたよりもイラストや文章がたくさんあって、動物の生態を詳しく知ることができる。
あべ弘士さんという旭山動物園の飼育員さんでありながら絵本作家としても活躍した方のイラストが素敵で、グッズも買っちゃった。
矢印とかも可愛くて写真いっぱい撮った。

こっち


餌やりの時間には飼育員さんが食事の内容から生態について教えてくれる。動物園入口にあるタイムテーブルで時間と場所を確認する。わたしは類人猿が好きなので、餌やりに合わせてオランウータンの部屋へ。
環境破壊によって野生動物たちが住処を奪われ、危機に瀕していること。そしてそれは遠い場所のことにように思うかもしれないけれど、わたしたちの生活と繋がっていること。
胸が痛い話ではあるが、動物園は動物を可愛がるだけの場所ではないのだという矜持を感じた。

森の賢者オランウータン。


オランウータンの近くの展示室にリスザル系の小さなサルたちが何種類もいて、みな可愛かった。見たことも聞いたこともないサルもいた。ブラッザグエノンとか。

あとペンギン。ペンギンが人気な理由がわかった。やつらは可愛い。

泳いでる姿も歩いてる姿も寝ている姿も見ることができる。


カバも良かった。旭山動物園の展示場は、水槽の上からも側面からもカバをみることができる。水槽の側面から、カバが泳いでいる姿をずっとみていたのだが、上にあがったり下にもぐったりしながらぐるぐると水槽の中で円を描いている。下から上にあがるときに足をけり上げる姿が可愛かった。擬音語であらわすと、とーーーん、という感じ。
天架けるカバ、という言葉が浮かんでくる。大きな体を軽やかに跳ばすカバ。こんな可愛かっただなんて。

総じて、評判に違わず工夫された展示が楽しかった。おかげで動物たちの姿を愛でることができた。そして、イラストを多用したわかりやすい解説パネルが思っていたよりもたくさんあり、動物の生態について詳しく知ることができた。せっかく動物園に来たのだから、ひとつでも知識を増やして帰れると良い。ペンギンの卵を触らせてくれたり、あざらしの子どもの重さを体感できるコーナーがあったり、動物たちの住まいだけじゃない展示工夫も随所にみられた。
とっても良い動物園だった。

道の脇に世界のあざらし大集合。こうゆうの大好き。ペンギンverもある。


キャッチフレーズがかっこいい。
「伝えるのは、命」
https://www.city.asahikawa.hokkaido.jp/asahiyamazoo/


・北海道立美術館

常磐公園のなかにある。

市立美術館と思って行って、みて、帰ってきてから、後日交通看板の矢印で、道立美術館だったと知った。美術館は札幌じゃなくて旭川なんですね。市立にしては充実の内容!と思ってたけど、道立にしては規模が小さいような(小声)。
特別展、企画展をみたが、どちらも良かった。特に特別展「こころ・おどる・ものがたり 絵本の原画・本の宝石・おもちゃ・アート」は、これだけで一本記事書いても良いくらいに良かった。旭川の北隣にある剣淵町は絵本のまちらしく、展示されている絵本の原画はほとんど剣淵町絵本の館所蔵のものだった。絵本は素材も手法もさまざまで、原画をみるのが楽しかった。
絵本の原画のゾーンの次は、武井武雄の刊本作品だった。寡聞にして知らなかったのだが、この作品群がすごかった。
刊本作品というのは、武井武雄自身が命名した一連の作品群のことだ。これらは、さまざまな表現様式で作られていて、作品数も限定されており、金銭を度外視している。はじめて武井武雄の刊本作品を知ったわたしは、芸術品のような本たちから目が離せなかった。信じられないほどの労力をかけて作られている本たちから、美しいものを作りたいという武井武雄の気持ちが伝わってきた。
例えばどのような表現方法があるのか、というのを以下に羅列する。

・自刻木版可憐版・寄木・ストローモザイク・ゴブラン織り・友禅・グランド孔版・伝承日本木版・高岡螺鈿・現代ガラス絵・凸版オフセット・皮革印刷など

このような方法でいったいどんな本ができあがっているのだろうかと思われるかもしれない。ぜひ調べて見てみて欲しい。
ちなみにわたしも武井武雄すごいの気持ちで調べてみた。案の定、武井武雄の生地に関連美術館があった。行ってみたいなと思いホームページみていたが、ここの常設展では139点中15冊くらいを入れ替えで展示しているとのことだったので、本特別展で40点ほどまとめてみることができたのは幸いだった。

https://www.ilf.jp/

また、ホームページ内に刊本作品について書かれていたので、抜き出す。

「本の宝石」と呼ばれる刊本作品は全部で139点。
一回ごと異なる技法と素材を用い、絵も文もすべて武井武雄のオリジナル。
記番署名入りで300部限定を原則に上梓した入魂の芸術作品は、半世紀にわたる武井のライフワークでもありました。

イルフ童画館HPより


武井武雄のゾーンでかなり満足したが、次以降のおもちゃ、アートの展示もとても良かった。特に、おもちゃゾーンの秋岡芳夫の竹とんぼと、アートのゾーンの高橋禎彦のガラス作品「花のような」がすごくきれいで好きだった。とても美しく展示されていたおかげかもしれない。ただ、ひとつ残念だったのは、写真撮影禁止だったこと。おもちゃやアートのゾーンの展示が美しく展示されていただけにもったいなく感じた。アンケートにも一応書いといた。

企画展は「アートとデザインの空間 遠藤亨展」で、旭山動物園のロゴを作った人の展示だった。正直ほかの広告や美術の良さはよくわからなかったが、旭山動物園のロゴは好き。

常磐公園という旭川市内の中心地にある大きな公園の中にあるので、良い天気の日に散歩がてら訪れるのもおすすめな、素敵な美術館でした。


・川村カ子トアイヌ記念館
カ子トは「かねと」と読む。今でもアイヌの儀式などはここで行ったりしているそうだ。展示自体に特筆するものはなかったが、アイヌ文化を引き継ぐアイヌ民族が自ら運営している意義は大きい。イベントなどに参加して体験をするのが良いと思う。
また、町中にあるので、地域の人たちにとってもアイヌ文化を身近に知ることができるということは良いことだ。

1階展示室

外にチセが展示されており、アイヌの儀式などにも使われるようだ。わたしが訪れたときは特別な日ではなかったが、中で火が焚かれていた。


旭川の博物館についてこれで半分くらい。後編に続く。


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