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昭和の婚礼支度・その2(何が?)
先の原稿で紹介した、昭和30年から50年までの婚礼支度、地域の差はありますが、共通して入っているものを、一つのセット(仮に長崎モデルとして)を中心に考えたいと思います。今回は「何が入っているの?」がテーマです。
1 デフォルトで黒喪服
まず 注目したいのが礼装 特に喪服の多さです 。全体の30%を占めていると言っても過言ではないぐらいです。
喪服の種類は女物の 冬用 夏用長襦袢の白のもの その他です 。昭和30年から50年代にかけては喪服が葬儀用の着物の主体でした。特に自分の親族 その他の葬儀では、喪服は和服と決まっていたので これだけの数を用意する必要があったと思われます 。喪服の様式には特に地域的特性などはありませんでした。
2 意外に多い普段着
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驚くことに 普段着に紬などの数が大変多かったです。 全体の50%程度が普段着 日常着であると思われます。 流行なども着物とはいえ あるのでこれだけのものを 嫁ぎ先に持って行っても後で着れなくなる可能性があると思います。 しかし、古着として処分する際、訪問着など他の親族が欲しいと言えば、形見分けで先に差し上げている人もいます。その意味でこのデータは正確なのか?という事は付け加えておきます。
昭和きもの愛好会で研究した リフォームの中にも、こうした 着られなくなった着物 がリフォームされています。それは物理的に着用できないということではなく、 色 柄の流行の変化で着る 気持ちがなくなった着物 がリフォームの対象になっていました 。 そのような着物がかなりの数 入っています。
また縞の紬 などが多かったのも 特徴でこれは当時の流行であったのかもしれません 。 これも 親御さんたちの嫁ぎ先で着物や 洋服を色々買えないかもしれないという思いやりかもしれませんが、 呉服屋に乗せられて これだけ買わされたんだという 憶測も働きます。
3 地域の特異性
地域の特異性については先の言語でも書きましたように、その地域の特産である反物等は 比較的 安くで購入できたりするのでそれを入れていることも多いようです 。
京都では 西陣お召などが嫁入りの荷物の中に入っています。また 白生地も入れることが多いですが 今回は 白生地は見当たりませんでした。
4 十日町周辺の商品の進出
十日町周辺で織られた織物については、 昭和40年前後から 躍進が著しく デパートやその他の販売網を使い日本全国に商品を売却していました 。
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![](https://assets.st-note.com/img/1727004540-QEnGhULSKFXCr03wR6vlgeWD.jpg?width=1200)
その中でも 「PTA ルック」 と呼ばれた 黒 絵羽織、十日町 特有の絣模様の織物、またマジョリカお召しなどに代表される 金銀 などの糸を使って模様を全体に織り出した着物が荷物の中に入っていました。関東地方や 京都 周辺でも銘仙が荷物の中に入ることは多かったのですが、 今回は 1点もありませんでした。 その辺りに時代と地域の特殊性があると思います。
5 最後に、私見
最後に私見ですが 、これらの一連の着物を見ていて当時の女性の衣装から、結婚から子供の誕生 晩年まで見通せるような気がします 。それはレールの上に乗ったような人生で、今の若い方々なら耐えられないと思うかもしれません 。
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例えば黒の絵羽織は 、結婚してすぐ着るものではなく子供ができ 、小学校や中学に上がってから入学式卒業式で着るためのものです。
黒の絵羽織を 色無地 や 訪問着の上に羽織って出て行くのが、当時の流行でした。しかし、もし子供ができなかったら、どうなるのでしょう。
人生は予想通りに進まないことも多いのです。
そうした人生まで予測されて、未来の衣装がプログラミングされていることに何か 昭和 らしさを感じるとともに 、窮屈さも感じます。
今の時代の方が、多様性があって幸せなのかもという気もします。
似内惠子(一般社団法人昭和きもの愛好会理事)
(この原稿の著作権は昭和きもの愛好会に属します。無断転載を禁じます)
一般社団法人昭和きもの愛好会 youyube チャンネル
昭和きもの愛好会FB
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