編集長気になるニュース「バスがこない奈良公園バスターミナル」
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さて、バスが計画の半分しかこないということで奈良公園バスターミナルが話題です。今年の春に開業したばかりなのに何が起きているのでしょうか。
◯ 目的は正しいが「方法」を間違う
そもそも奈良公園バスターミナルは、以下のような目的で設置されています。
奈良公園周辺の交通渋滞の緩和、周遊環境の向上を目的として、県庁本庁舎・東側にバスターミ ナルを整備しています。 バスターミナルには、観光バスの待ち時間や休憩時間を快適に過ごせるよう、アメニティの充実 を図るとともに、奈良公園や周辺地域の歴史・文化を学習できる機能をもたせ、奈良公園の魅力を 一層充実していきます。 http://www.pref.nara.jp/secure/207458/houdou_20190111.pdf
奈良は基本的にバスの日帰り観光客が多く、一旦客を卸して公園でうろうろしてまたピックアップして次なる目的地へ移動するパターンなわけです。基本的には奈良公園周辺に観光客がくると、このバスが大渋滞をおこし、その混雑した道の横を人々が歩いていくという危険な状況であったのは確かで、投資してどうにか渋滞を緩和し、安全に奈良公園散策に出てもらおうてな話だったようです。
が、そのためにバスターミナルだけでなく、付帯施設として、ホールやら、飲食物販といった商業施設まで作ったようでございます。で、合計45億円をかけた、と。
◯ 「べき論」では使われない
バスターミナルが開業したわけですが、実際には予想の半分しかこない。ということは、もともとの混雑構造は変化せずに普通にバスから乗り降りして人々は回っているという話になるわけです。
確かに危険だしバスターミナルで乗り降りさせるべき、とは思いますが、それが2000円かかるということで、しかも駐車場を作ったわけでもないので、単に乗り降りして次に待機場所の駐車場に止めなくてはならない。となると二重コストになるわけです。
しかーーーも、近くにはもともと県営の駐車場があって2500円で乗り降りも駐車もできるということで。。。。そこが想定の5.5倍の利用ということで。
え、県内でしかも公共がやっている競合施設があったのー!?と驚くばかりですが、なんか冒頭の目的はわかるんだけど、べき論だけで、結局中身みると杜撰すぎるでしょ、、と。
県は、6月までの2か月間の利用台数をおよそ1万5000台と見込んでいましたが、NHKが情報公開請求で実際の利用台数を確認したところ、想定の半数以下の7020台にとどまったことがわかりました。
ターミナルを利用するバスは、1回当たり2000円の料金が必要ですが、乗り降り専用のため、観光客を待つ間、離れた場所で待機しなければならず、そこでも別途、駐車料金がかかります。
一方、奈良公園の近くには、2500円の料金で乗客の乗り降りや待機ができる県営駐車場があり、同じ時期にここを利用したバスは、県の想定の5.5倍にのぼっていました。
バスの運転手の1人は「東大寺など観光地までの距離は変わらない」と話していて、バスターミナルの利用が伸びないのは、利便性やコストの面で優位性が低いことが影響しているとみられます。
◯ どうすればよかったか。
立地がとてつもない場所ではないのだから、バスターミナルに併設される商業施設部分を民間投資で開発し、家賃で投資回収してもらう。底地利用料をもらいながら、商業施設部分の固定資産税収入などをベースにしてバスターミナルの維持運営費を捻出できるモデルを検討すべきだったというのがシンプルな解答でしょう。
バスターミナル利用料金を無料にしても、全体が運営可能な経営モデルになるような設計するというのが必要なのに、従来型の公共開発でやってしまい、結果としてバス会社に利用料をもとめ、利用料支払うくらいなら使わないとバス会社言われるという負の連鎖。入居した商業施設のテナントもご愁傷さまであります。
何より県営駐車場がもともとあるなら、そこを普通に拡充してターミナル機能を拡充したほうがよかったというのが自然の話ですね。もともとの利用者もするんだから、そこを改修して拡張するとか何か方法を考えれば、民間も投資しやすかったでしょうね。県庁の横に意味不明なホールとか作りたかったのですかね。
今、盛岡でもバスターミナルの改築計画が進んでいますが、こちらは我々の仲間も関わるPPPモデルで推進されているのでどうなるか注目ですね。巨大なバスターミナル開発が各地で流行っていますが、よりちゃんとした地元経済、財政力に寄り添う施設で地域のインフラとなるのが大切なことを忘れてはいけません。
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