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【AIR】なぜ「道路整備」でまちが破壊されるか〜商店街が消失し、参道すら自動車に支配される先にあるもの〜

全国各地において道路を拡幅して終わったストリートというものを多数見てきました。「あーやっちまったな」というところなのですが、一般的には拡幅されて立派な道路ができることがなぜ悪いことなの?! くらいに思っている人もいるので、改めて整理しておきます。

まずはこちらの本は未読だったら絶対に読んでください。我々の自動車に対する固定的な価値観を根底から考え直すことになる一冊です。

○ 自動車という製品の特異性

自動車という製品はかなり特殊なもので、自動車単体では全く使い物にならないものなんですよね。道路というものが整備されてこそ、機能性を発揮するし、自動車の駐車場など関連するインフラもなければなりません。

宇沢先生もなぜ人々が歩き、遊び、自転車などで共有されていた道路が、自動車単体のために占有され、しかもそれがすべて税金で整備されるのか、ということに疑問を呈しています。それが70年代なんだからすごいんですが。

それは自動車業界による政治家への献金の賜物でもあり、米国でも産業育成と利便性、都市開発など複数の面で「経済的視点」から進められていったが、実際に人々の生活が本当に豊かになったのか、は考えなくてはならないというところだと思います。

○ 道路が必要なところ、必要でないところ

基本的に世界各国の主要都市などで進められていっているのは、「自動車で移動するエリア」と「歩きと自転車で移動するエリア」の区分です。自動車をもはや完全否定することは不可能な社会ですが、とはいえ、すべてのエリアに自動車が入り込むのは必要ないよね、という話なわけです。

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