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うちの子どもが英語塾も海外経験もなしで英語に苦労しなかった理由

現在大学院生のうちの子ども、英語塾に通った経験はない。特に、英語の勉強を一生懸命してきたわけでもない。(受験などに向けてそこそこはしてきたが。)もちろん、留学経験も海外経験も一切ない。でも、英語にはほとんど苦労していないようだ。

高校2年生までに英検2級まで割と簡単にスラスラと取れてしまった。今通っているのは日本の大学だけど、大学院からは授業は日本人の先生でもオールイングリッシュが主体になる。TOEICの点数はそれほどいいわけでもないが、それでもほとんど英語での授業やレポート作成に苦労がないようだ。

英検2級って、帰国子女や留学経験がある子なら小学校高学年から中学生くらいで、子供の頃から英語塾に通ってコツコツ続けてきた子なら、高校生くらいで取れて当たり前だろうけど、学校の授業と自分の勉強だけで取るのはちょっと難しいかもしれない。

うちの息子は、高校生の時に周りの同級生たちが2級を取るのに苦労している姿を見たり、大学院のオールイングリッシュ主体の授業で英語が苦手な人が勉強で苦労している姿を見たりしていることで、ちょっと不思議に思ったようだ。

「どうして、オレはこんなに英語で苦労していないんだろう」

ある時、そんなふうにつぶやいた。だから、

「その答えはね、お前のお母さんの教材選びが優れていたからだよ」

って答えておいた。

私は子どもに英語をガンガンやらせるつもりは特になかった。でも、塾講師や家庭教師をした時に、アルファベットの読み書きで苦労している子や、英単語がなかなか覚えられなくて苦労している子を結構見てきた。

特に、アルファベットでつまづいて中学を進んでしまった子の高校受験は悲惨で手強すぎて大変だった。

そういう苦労は子どもにはさせたくなかった。

でも、私が勉強しろって言ったってやるわけない。だから、小学校低学年の時に英語のゲームを買ってみた。

当時、子どもが夢中になっていた携帯ゲームに、アルファベットの読み書きや簡単な単語、挨拶程度の会話がゲーム形式で学べるソフトがあったので、それを買ってリビングに放置してみた。

子どもはソフトを見つけると勝手にゲーム機に差し込んで遊びはじめて1ヶ月で全部クリアした。アルファベットの読み書きはこれだけで完璧に覚えた。リスニング力なんかにも多少の良い影響があったようだ。

10歳を過ぎたくらいの頃に、教育に造形の深い知人に、12歳までに英語を始めておかないと、耳で苦労すると言われた。その頃、パソコンで簡単に英語を学べるソフトが出ていたから、それを買ってやらせてみた。

反抗期に入りかけていた子どもは嫌々で、半年も続かなかった。でも、中学1年生くらいの英文法程度の課程は進んだようだ。

当時は、小学校5年生から英語の授業が学校で始まっていた。文法とかを本格的に学ぶ内容ではない遊び的な内容だったが、それでも英語を全くやってこなかった子は苦労したようだ。でもうちの子は、英語ゲームとパソコンの教材だけで、特に苦労しなかったと言っていた。

中学に入って本格的に英語の授業が始まった。私が中学生の頃は、be動詞の使い分けや三単現なんてのにとても苦労したのに、子どもは全く苦労せずに、スイスイ進んでいく。半年程度しかやらなかった教材で学んだことが糧になっていたのだ。

その後、学校のテストの点数は本格的に大学受験に向けた勉強を始めるまで芳しくなかったけれども、英語全般に苦手意識は持たずにすんでいるようだ。

「まあ、母ちゃんの教材選びの秀逸さに感謝しろ」

子どもには心の底からそう叫びたい。

時々、小さな頃から国語力を犠牲にして英語漬けにしているお宅や、レベルが高い英語塾に入れて子供が嫌がっているのに無理やり通わせているお宅を見る。

日本人が日本語力を固めなければ、深い思考や繊細な感情表現ができなくなるので、国語力を犠牲にして英語を身に着けさせても、中学高校での国語や、英語でも心情的な表現の理解に、ついていけなくなるんじゃないかと思う。

国語だけじゃなくて、基本的な読解力が身につかないと、他の教科の成績にも影響が出るだろう。

子どもが嫌がっているのに無理やりやらせても、まず身にはつかない。嫌いなことは頭に入らないので、結局、お金と時間を無駄にするだけだろう。

中学校以降で日本語で学ぶ英語学習の課程をバカにしたような、遊び主体の英語学習も危険だ。

日本の英語教育を受けていない帰国子女の先生や、子どもの頃から家庭で徹底したバイリンガル教育を受けてきた先生に多いと感じているが、英語圏では文法なんか習いません、なんて言う人から英語教育を中途半端に受けると、ずっと日本でやっていくつもりなら子どもが後々苦労することになる。

英語を身に付ける方法には、母語と同じレベルで自然習得するか、母語を使いながら勉強で習得するかの二択しかないはずだ。

日本で生活しながら自然習得させるなら、両親ともに、バイリンガル教育についてしっかりと学んで、生まれた時からキッチリ英語と日本語を同じ量で家庭で話すなど、バイリンガル教育をやり込むしかない。そのレベルまでやり込めれば、大学受験まで苦労しない盤石な英語力をつけられるだろう。

でも、日本語主体の生活の中で、文法学習の芯が通っていない英語教育を中途半端に受けてしまうと、学校のテストで点数は取れない。しゃべったり聞いたりできればそれでいいじゃないか、ってならそれで十分だろうけど。

でも、大学レベルや高度なビジネス現場で、そのような適当なおしゃべり英語で通じるのだろうか?やっぱり、それなりにレベルの高い場所で使う英語には、ネイティブかそうでないかに関わらず、きっちりとした型にハマった文章を読み書きできる力が問われるはずだ。それは日本語でも同じだけど。

そもそも、文法っていうのは、外国語を系統的に学ぶためのものであり、母語の自然な習得には必要ない。

私たち日本人が、助詞や助動詞なんかを自然に使い分けてるのは、自然に習得した母語だからだ。

「私の本です。」
「私の行く道です。」

この2つの日本語の文で、「私」のあとに続く「の」が、所有格(上の文)か強調の主格(下の文)か、なんてことは日本人ならいちいち考えて話さない。

それどころか、助詞なんて文法用語さえ知らずに日本語を使っている日本人は多いだろう。それでも間違いなくこの2つの「の」の使い分けができるのは、自然に体得した母語だからだ。

英語圏の人が、Be動詞や現在完了形って文法用語知らないって言う人いるけど、日本人もそもそも助詞や動詞、名詞って意識して使っていない。

私が子どもにやらせたパソコンの学習ソフトは、全世界で使われているものだったけれども、進み方は中学校の英文法の進み方とほとんど同じように進んでいった。章立てのタイトルも「be動詞」「現在進行形」だったような気がする。

辞書と文法は外国人に習得させるために開発されたものだともいわれているので、全世界的に人気の高い英語教材でも、学校の教科書と同じように、系統だった文法主体の学習で進んでいくのは理にかなっているのだろう。

うちの子みたいに、適当な英語学習しかさせなくても、学習の流れが正しく組まれている教材を選んだことでそれほど苦労しないでいる子もいれば、遊び英語をとことんやり尽くして文法学習に適応できずに点数が取れなくて苦労している子もいる。両方、割と近くで見ているから、子供の頃の英語学習の環境づくりは、本当に大切だと思う。


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