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真夏の三重大阪ツアー①三重県立美術館

*例によって最初は個人的なグダグダ話が続く。三重県立美術館について早く読みたい方は下の目次でジャンプ!


さて世間は本格的な夏休み。ここは私も地方活性のため、いくつか地方美術館を訪問しようと計画をねった。

地方美術館は小さなところが多いが舐めてはいけない。なかなか珍しいものを見ることが出来るのだ。それまで知らなかった新しい出逢いも何度も経験した。

今回、まずは三重県。長崎県立美術館の所蔵品を交えスペイン絵画特集をしているらしい。長崎行くよりは近いね。

実は直前に南海トラフ地震臨時情報が発令される中、東海地方に行くのはどうしようかちと迷った。最初の目的地津市も「想定震源域」の端っこに入ってる。そこそこ海の近くでもあるんだが津波に遭遇する可能性は低かろうと血行した。

NHK提供

ただ新幹線が揺れで脱線する可能性はあるかも。そのへんはJRも考えているようだ。乗り込んだ新幹線アナウンスで「危なそうなところは減速する」と。

素晴らしい危機管理。ちゃんとしてるね(万が一事故が起きた時の責任回避を早めに打ってるだけというそしりもあるが)。でも乗り継ぎの特急に間に合うのだろうか? わたしゃ名古屋で乗り換え予定なのだ。

とか思っていたら続いて乗り継ぎに関するアナウンスが流れた。名古屋で快速みえに乗る予定の人は通りかかる乗務員にその旨伝えろと。

ちょうど通りかかったので申告すると、切符を拝見させられ、「この後またアナウンスが入るのでよく聞いておけ」と。イヤホンで音楽とか聴いてられんな。何が起こるんだろうかワクワク。優先でホームを歩けるよう護衛でも付くんだろうか。

名古屋が近づいた。

アナウンス:「名古屋駅には5分少々の遅れの見込みです。ご迷惑かけたことお詫び申し上げます。なお快速みえには接続できませんでした

をい!!

アナウンス:「1時間後の列車をご利用ください」

はあぁ…。

で、名古屋の窓口で指示を仰ぐと改札出たとこの別の窓口で予約を取り直せと。そこに行くと長蛇の列。10分程並び

「接続できなかったので次ので取り直せと言われたんすけど…」
「はい…えっと、次のもその次のも満席です」
「…。自由席ないんスか?」
「ありますよ」
「んじゃそれで(やれやれ)」

考えてみりゃ近鉄に乗る選択肢もあったんだな。JR一本で行く方がトータルで安いかなよくわからんが(指定券分払い戻しになったし)。

いずれにしろ津駅まで小一時間だからね。耐えられるだろ。始発だからワンチャンあるかも。実際早めに行って並んでたら座れた✌

快速みえアナウンス:「新幹線の乗り換えのお客様を待ちますので発車まで4分ほど遅れます

をい!!! 今度は待つのかよ?!(さっきのに乗るひとがほぼ私だけだったのかも少数弱者切り捨て?!)

波乱の幕開けであった。ちなその日の津市の気温は最高気温37℃予想…。

やっと津駅に着いた。取り急ぎ今日のお宿である津のドーミーインに荷物を預ける。

やはりクソ暑い。美術館までは徒歩15分弱みたいだがとてもじゃないが命の危険を覚える。バスに乗ろう。Suica使える。乗客は私一人だった。

バス停の裏にあった看板

三重県立美術館

謎のオブジェ
穴の奥は鏡になってたかな
こりゃなんかエッチな意味合いがあるのかな

企画展に入る前に涼みがてらミュージアムショップに寄ってみた。このあたりの名産?焼き物の食器が置かれていた。「万古焼き」?と書いてある…へ? 危なくねーか?

調べると本来の表記は「萬古焼」で「ばんこやき」と読むらしい。ああよかった(なにが?)。しかし勘違いしないようにちゃんと古式に則った正規の表記にしろよな(お前の目が汚れている?)。

これこれ

特集
長崎県美術館・三重県立美術館コレクション「果てなきスペイン美術―拓かれる表現の地平」

撮影ポリシー📸


アントニ・クラベ
《埋葬》1949年
最初に目に留まった。残念ながら撮影不可。ピエタってやつかな。キリストの埋葬。青基調で大雑把な描き方。キュビズム手法ではないのでピカソっぽいというか、むしろ素朴な木彫り仏像的で棟方志功さんぽかった。ロマネスク壁画の意識もあるとかキャプションにあった。


ホセ・グティエレス・ソラーナ
《軽業師たち》1930年頃

英題はequilibristとなっていた。ピエロじゃないんだ。にしても顔怖っ。ゴヤの影響を受けているとか。

私にはこっちに見えちゃうんだが🤡


パブロ・ピカソ
《ロマの女》1900年
小品。通り過ぎそうになったがなんとピカソ。素朴な総天然色でパステルっぽいなと思ったらパステルだった。青の時代の前の作品らしい。青の時代の由来は、当時ピカソが貧乏だったから一番安い青の絵の具を使っただけよ説があるけど、カラーの絵も描いてたんじゃん。いやパステルってそんなに安いの?

頭巾を被り膝を抱えて赤子を膝に置き青い海を見つめるロマの女。水平線から船を経由して女まで消失点をピカソは意識してるよね。配色もだいぶ計算してるんだろうな。そういう工夫は以下の作品にも受け継がれている。

パブロ・ピカソ
《鳩のある静物》1941年

ポスターにもなっている今回最大の呼び物。撮影可だがSNS掲載不可というややこしい制約。よって、表にあったポスターを切り出した。ご参考まで(これもダメ?)

なんか適当な絵にも見えるがじっと見ているといろんな角度からいろんなものが見えてくる🕊️ 頭クラクラしてきた。ヤバいな。これぞピカソマジック。

鳩に限らず動物の死骸、テーブルの上の酒や果物は静物画の季語みたいなもので(ヴァニタス)、この世から消えていくものの象徴である。

この絵の場合鳩はナチスに侵される自由の象徴らしい。四角くて中にグルグルが描いてあるのはなんかの果物かなと思ったけど薔薇の花らしい。その背後のでっかいつくしみたいなやつはなんだろ? ニョロニョロ?

ビンの真ん中には目があるように誰しもが思うだろう。安易だがビッグ・ブラザーのつもりかな。


常設展

なかなかいい絵があるね。

ポール・セザンヌ
《青い服を着た若い女》1876年頃

若き日のセザンヌ作品。至極まっとうな絵である。デッサン狂ってない。

これもしかして横浜で見たやつかな。

この絵かどうかは正直さっぱり覚えてないが、ちゃんとした絵を描いてるなと思った記憶はある。

日本の巨匠たちの作品も。

《裸婦》
安井曾太郎 1910年頃
村山槐多
《自画像》1916年
佐伯祐三
《サンタンヌ教会》1928年


ちょっと離れたところに

《道東の四季 秋》 1977年

柳原義達記念館だけど展示されてるのは植松永次?

この部屋の前に展示されているこの彫像は作者名がないが柳原義達作品さんなんだろうな。

ん?「道東の四季 秋」って、あの舟越保武さんとかが参加したやつだよね。もはや伝説の企画。

植松永次さんの展示は撮影可能。せっかくなので少しご紹介。

広い部屋
ひび割れた四角い石板?がチョコレートクッキーにしか見えなかった🍪


うむ、期待に違わず楽しめた。やはり侮れないね地方美術館。定期的に巡回しないと。



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