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残暑の倉敷広島ツアー2024②大原美術館「特別展 異文化は共鳴するのか? 大原コレクションでひらく近代への扉」


からの続き

大原美術館はもう6年ぶりか。

相変わらず撮影は一切禁止。確か建物の内部も窓枠さえダメだったと思う。係員さんに注意されて「んじゃ、窓から外を写すのもダメかよ?!」とかキレてるひとを前回見た気がする。

今回は「特別展 異文化は共鳴するのか? 大原コレクションでひらく近代への扉」

ということで、テーマに沿った企画展をやるのは初の試みらしい。

第1章:児島虎次郎、文化の越境者

一階の特集は児島虎次郎さん。ここの創設者のひとりらしい。以前来た時も作品を見ていたのだろうがあまり意識してなかった。改めて見てみるとおもしろい人だな。あの時代に海外各国に行ってて、諸国漫遊記って感じ。

チャイナドレスの女性なんか安井曾太郎さんっぽくもある。同時代の空気かな。

《和服を着たベルギーの少女》1911年
お目々をクリっとさせて、「ねえ、いつまでこの重い服着て立ってなきゃいけないの?👁️👁️?」みたいなベルギーガール。

それはともかく修行中で油絵の技法にまだ慣れていないだろうに、着物の表現力はさすが。モネとか有名な「ラ・ジャポネーズ」でゴージャスなキモーノのコスプレ奥さんを描いているがあの着物はやっぱりなんかヘンだよね。

《春の光》1916年
草をはむ羊さんのテーマで線描っぽいこの描き方はセガンティーニじゃないの? どっちが先? セガンティーニは1899年没だから参考にした可能性はあるのかな(まるっきり素人見立てです)。

でも後でここにある本物のセガンティーニ作品見たら断然線が細かく精密に描かれていた…。

二階に上がる。

ありり? ここにあったはずの

レオン・フレデリック
《万有は死に帰す。されど神の愛は万有をして蘇しめん》1893-1918年

がない!? 売っちゃった?? 貸出中?

他の場所にあるのかなと一廻りしても見当たらない。監視員さんに聞いたら貸出はしてなくて、倉庫に保管してあると。「特別展なのであえて外してる」とか。まあ、今回の企画展の文脈からは外れてるかもだけど、あれを目当てに来る人もいるはずだけどな。また見たかった。

ジョルジュ・デ・キリコ
《ヘクトールとアンドロマケーの別れ》1918年
またデ・キリコに出逢った。「デ・キリコ展」では、この絵の立体作品があったみたいなんだが(撮影禁止の展覧会なので)ちょっと覚えてないわ。

向かい合う二体のマネキン。改めて見ると顔への光の当たり方が変なんだ。足元から伸びる影からすると、女性?マネキンは正しいが、男性マネキンの顔への光の当たり方はもっと広く顔の正面に当たるべきでは? 消失点が変わっている? キュビスムっぽくないキュビスム?

そして更によく見たらマネキンさん、足は人間の足してたんだ。するとあの二人はマネキンの着ぐるみ着てる人ってことだったのか? アブノーマルプレイ!?
📐

エル・グレコを通り過ぎて二階最後の部屋に行く。今日はロスコもないな。

古賀春江
《深海の情景》1933年
板橋でオトコだったと初めて知ったハルエさん。

没年に描かれた絶筆だとか。特徴であるメカニカルなものは描かれてないな。いや、潜水艇?(帆が付いてるけど)があるか。

真っ暗な背景。深海というか宇宙空間みたい。虹色の太刀魚? くじら? ジュゴン? イソギンチャク?(深海にいるものなのか?) それとはっきりわかるのはタツノオトシゴと貝くらいか。

ヴィーナスのようにでっかい二枚貝から生まれた裸婦(マンガみたいなネコちゃんの顔付き🐱 いやこれネコなのか?クチバシがあるみたいにも見える)背後にラフレシアみたいなでかい花(ハスなの? いや蓮や睡蓮には見えないな🪷)。まさにシュール。

下の階に行く。

パブロ・ピカソ
《頭蓋骨のある静物》1942年

またじじい、適当な絵描いて金儲けしやがって…と思ったら先日三重で見たやつと同じような試行錯誤が伺える難解作であった。

その《鳩のある静物》は1941年制作。ほぼ同時期。たしかこの頃の作品群はどれも暗く戦争や暴力に対する彼の静かな怒りが込められていたと評されていたはず。ナチスが台頭していた時期だった。

ここでもその時期の作品があったっけ。

1881年生まれのピカソがこの《頭蓋骨のある静物》を制作したのは「ゲルニカ」の5年後、還暦を超えているのか。

西洋の伝統的な静物画はもののあはれというか、消えいくものの哀しみみたいなものを描くもの。ピカソもガイコツでそれを表現しつつ、カクカクした葉を持つ花は生命力を表している? 生と死の対比なのか。

また奇怪なことにテーブルと壁が一体化している。どこからが壁でどこからテーブルになっているのか区別が付かない。

窓のフレームと花の葉の一枚も一体化している。花は水仙かなにか? 花瓶に入っているのか? これも解体されてよくわからない。

頭がグルグルしてくる。 私はどこにいるのだ? エッシャーのだまし絵のような多次元の無限性。

後で出口のところにあるショップでこの絵の絵葉書を見て気付いた。動物(牛?)の骸骨は部分部分で色が違っていたのだ。別にピカソのメッセージがここに隠されているわけではなかろうが、ある部分は水仙の葉の緑と対応し合っている。現物よりも複製品で気付かされることは意外に多い。会場は暗いからね。

撮影禁止なので気になったこれら二作品は絵葉書買ってきた。

絵葉書とはいえこうして公開するのも厳密に言えばよくないかもね。でもなんの影響力もないので許して〜。

東洋館工芸館

モネに敬意を表してか、可憐な睡蓮が咲いていた。

東洋館は前回飛ばしてしまったところだ。飛ばしてしまって正解だったかもw。ふる〜い茶碗とか興味ないのよね。

ただ棟方志功さんコーナーは見ておいて良かった。

《門舞神人頌板画柵》
棟方志功さんによるいろんな神様の縦構図板画連作。こういうのは棟方志功さんたくさん作っているが、これは特に切れ味鋭くかっこいい。

喫茶 エル・グレコ

美術館に隣接する昔からある蔦に囲まれた喫茶店。ふとコーヒーが飲みたくなったので入ってみた。美術館には何度も来ていたのにここに入るのは初めて!

混んでるかと思ったらそうでもないのね。なんか気難しいオヤジがひとりでワンオペとかのイメージだったが普通におにいさんおねえさんの店員が「いらっしゃいませ〜」と迎えてくれた。

店内をバシャバシャ写真撮るのは控えたので文章のみで説明する。4人が向かい合わせになるような長テーブル席が3つ、小テーブル席が2つ。行かなかったけど二階席もあるのかな。そういえばエル・グレコの絵は飾られてないような。あったのかな。

*実はさっきまで「画廊喫茶ユトリロ」と名前勘違いしてた。あっちは箱根だわww

頼んだブレンドコーヒー来た。砂糖とかなにもない。ここはブラックで飲めっていうこだわりの店かな。でもスプーンあるし。もらうことにした。「砂糖ありますか? それとコーヒークリームも」といったら怪訝な顔をされ「ミルクですか?」と店員のおにいさん。「ミルク」というと牛乳なので海外では「クリーム」と呼ぶようにと習ったんだけどね。たまにすれ違う。

その後倉敷名産のデニムをちょこっと見て回ったけどたっけー! UNIQLOとは違うのだよ?


倉敷はデニムの街。触れ忘れたがお昼のお蕎麦屋さんもトレーにデニム生地敷いてたっけ👖



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