横山大観「夜桜」を 大倉集古館の春 〜新春を寿ぎ、春を待つ〜 で見る
大昔、ここで(今あるこの施設は建て替えられたものだと思う)横山大観の作品をたまたま見て、日本画なんてどれも似たようなものでつまらんと思っていた固定概念を大きく覆させられた。
以来各種大観展に行くようになりこの「夜桜」にも何度かお目にかかっている。あまり意識してなかったがここの所蔵品だったのか。
実はここで見た記憶よりも各地での印象の方が強く残っている。
数度ブログでも触れているし
だから果たしてこの「夜桜」があの時の作品だったのかはもうわからない。まいっか。
裏話を聞くと、この作品は海外での展示のために制作されたもので、外人さんたちにもわかりやすい主題や色彩を意識して取り込んだウケ狙いものだったそうな。
でもお陰で私のような伝統日本文化に暗いたわけものもウケてしまった。単純でわかりやすいものは常に正義なのだ。
ちょっと見、童話の挿絵みたいなほのぼの感がある。お花きれい〜。クッキーみたいな月がひょっこりはん。
もともと日本画は総じてリアルな写実にこだわりはしない(ヘタという意味ではない!)
でも燃え上がる篝火の煙に透ける桜の花びらの美しさよ。花は透かすに限る。
今回気付いたのは、近くよりも遠くの松の針葉の方がより写実的に細かく描かれているようにも見える不思議な遠近法。実際の景色としたらそうなるんだろうか。
ひとつ試して欲しいのが、しゃがんでこの絵を下から見上げるようにするとまた違う味わいになる。山はより高く、地の落花は眼の前に。
人混みの中でやると迷惑というか「このおっさん気分でも悪いのか」と衆目を集めるリスクもあるがw 負けないで欲しい(今日はとても空いていた)。
実際、夜の花見は坐してみることが多かろう。また屏風絵は座敷の茶席や酒宴で広げられる用途であったのではないか。画家もその視点から見られることを意識しているはず。
なんかこんなトンデモ理論をどっかで書いたなと思ったら以下でもっとしつこく書いていたよ。すっかり忘れてたバカ。
春はまだ遠いがお近くの方あるいはホテルオークラ東京にお泊りの際は是非隣接するこの大倉宝物殿(そんな名前じゃないが)にお立ち寄り、一足早いお花見に興じて欲しい🌸
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