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もの売る喜びを知る ーミリタリーショップ開業するまでの道ー

学生の頃は都市計画を学んでいましたが、実は最近「まちづくり」という言葉を封印していたりしています。

聞きざわりが良いので崇高なことをしてる気分になれますが、その言葉を使い続けると自分を酔わせ現実を見るのが怖くなる気がして。
なので最近は「まちづくり」って何なんだと思いながら、はぐれメタルを探すようにその言葉の意味を探し回っています。

さて、今回の記事はわたしたちが立ち上げた法人についてのハナシです。
昨年の7月に仲間と共に法人を設立し、空家を借り上げて古材廃材を使ったDIY・サブリースを行っています。いわゆる「家守会社」ってヤツです。

法人設立してから設計施工で1年が経ち、ようやくナイトバー「waste wood bar WEEKEND」は今月オープンしました。
しかし、借り上げた物件にはもう一部屋の空室があります。
設立から丸一年テナントさんが見つからないまま、塩漬けの空室があるような状態でした。

仲間と一緒にどうしようかと頭を悩ませてていたところ、ふとしたきっかけから小生は軍事モノが好きという「オタバレ」をしました。
別に隠しているつもりは全くなかったのですが、オタクの世界はニワカに厳しく排他的な世界なので、細々とミリタリー雑誌を読み漁っては自衛隊イベントに足を運ぶ隠れキリシタン的なオタ活をしていました。
仲間にオタバレした結果、借り上げた物件でのミリタリーショップ開業を目指さないかという話になり、とりあえずイベントに出店してみようという感じになりました。

商品を仕入れる

出展までには(隠れ)オタクとしての知識を活かし、仲間と一緒に秋葉原や横須賀でミリタリーグッツの仕入れを行いました。

「キャンプで使えるミリタリーグッツがいいよね」
「職人さんが腰ブクロに装着できるようなミリタリーグッツほしいよね」
「けどやっぱりおしゃれさの方が大事だよね」

という感じで仲間とああでもないこうでもない言いながら、アキバを一日彷徨ってました。その結果、集めた商品がこれ。

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ベトナム戦争で使われたマガジンポーチ、米軍戦闘糧食、スウェーデン軍工兵の工具入れ、アーミーナイフ、ドイツ・ハンガリー軍放出品のカラトリ―セットなど…

キャンパーが集まるという予測のもと「アウトドアでも使えるミリタリー用品」をコンセプトに買い付けしました。

自分の思う軍放出品の良い所って「におい」だと思うんですよね。
古びたにおいには変わりないのですが、その道具が醸し出す絶妙なにおいが今の平和の礎になっているような気がしていて。
買い付けた商品のにおいが自分の部屋に充満して、数日間自室が幸せな空間となりました。

フリーター、商人デビュー

7/24(日)に館山で行われた「なごうみフェスタ」にミリタリーショップとして出店しました。

会場にはかわいいクラフト雑貨やおしゃれな飲食店が出店しており、アメリカ西海岸のビーチような雰囲気でした。
そんな中、ぼくたちのお店は1店舗だけ秋葉原電気街の雑居ビルにあるかような濃ゆい雰囲気を放ってしまい、今振り返ると少し場違い感が…(まあいいか…笑)
運営の皆さん、僕らのようなお店でも受け入れて頂きありがとうございました。

イベント当日のお店の様子。
すこっぷの仲間であり共同代表のタケルさん(中央)と一緒に買い付けからお店の運営までやって頂きました。
ナイトバーWEEKENDオーナーのアッキーさん(左)も応援に駆けつけて頂きました。

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「ナイフはこう、ぶっさすとかっこいいんだ!」とアッキーさんから。
その後、アーミーナイフはすぐに売れていきました。

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ところがどっこい大赤字

初陣ということもあり、今回は買い付けにかかった交通費と出店するためにかかった費用を回収する目標を立てていました。

結果、全く届かず。
出店するためにかかった費用は売上げでカバーできたものの、かかった費用全体で見たら大赤字となりました…

わかっていたようでわかっていなかった、やはり商売は難しい。
小売業で生業を確立させている人達の偉大さを身に染みて実感しました。

シンプルでめちゃくちゃ当たり前のことではあるのですが、今回の出店でわかったことが3つ。

❶軍放出品をいかに安く仕入れるか
❷オタク以外にも受ける定番商品をいかに揃えるか
❸ミリタリーは40代~50代(ランボー世代)にけっこう刺さる

当たり前と思うかもしれませんが、やってみて改めて実感したのです。
「賢者は歴史から学び愚者は経験から学ぶ」という言葉がありますが、こうした商売においては経験から学んだ方がよほど次の商売に繋げられるような気がするのです。無論、勉強はしなきゃいけないのですが。

しかし、金銭的に見れば赤字に終わったかもしれませんが、これからミリタリーショップがオープンすることを告知できたことを鑑みれば結果オーライでした。
商品は多少売れ残りましたが、刷ってきたビラは全て配り沢山の方に名前を売ることができました。

WEEKENDビラ1



また、今回のイベントでは様々な気づきに満ち溢れていました。

自分の好きなものを売ることは自分と同じ価値観の仲間を増やすこと

今回の出店で何より嬉しかったことは、自分の好きなものを売ることでお客さんとミリタリートークに花を咲かせたこと。
その延長で商品を購入して頂くという充足感にあふれた時間を過ごせたことです。

これまで自分の中で商売のイメージはあの手この手で商品の価値を高めて需要を喚起し、価格を吊り上げては顧客に売るしたたかな印象がありました。

しかし、自分が好きなもの or 自信を持てるものに関する魅力やうんちくを説明して、お客さんとの間に共感(バイブスと呼びたい)を生む。
そうすることで、お客さんと一緒に充足感にあふれた時間を過ごすことが商人の根源的欲求なんじゃないかと感じました。
充足感にあふれた時間を過ごした結果として購買行動があれば、それはなお嬉しいでしょう。

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今回、自分は商売というコミュニケーションを通してお客さんとミリタリートークができました。
足を止めてくれるお客さんも「実は僕もこういうミリタリーが好きで…」という方がほとんどで、商品を介してオタク同士が惹かれあうバイブス現象が発生していました。(オタクはスタンド使いか)
普段周りにミリオタがいないせいか、久々に話の通じる人とミリタリートークができて嬉しかったのです。
イメージ的には商売を通して同じ趣味を持つ仲間とバイブスを生むことでお客さんと商人の双方に「②充足感」が生まれます。充足感だけで満足ですが、バイブスをより高めて「③購買行動」に繋げることができれば脳汁ドバドバ出るくらい嬉しくなります。

ミリタリートークができるような仲間ともっと知り合いたい、仲良くなりたい。そんな思いが今回のイベントでより強いものになりました。

今回のイベント出店をして初めて一人の商人(あきんど)として世間にデビューしたわけですが、これを日常にしたいと考えています。

自分は「ひとりの商人 無数の使命」という伊藤忠商事のコーポレートメッセージがとても好きです。狭い視点で考えれば商人とは小さなミリタリーショップの店主だったりしますが、広い視点で考えれば雇用を産み出していたり、税金を納め地域に貢献するなど沢山の社会的な意義があったりします。
そこには自分のまだまだ知らない無数の使命があるんじゃないかと思っています。
自分の住むまちで生業を確立して、目を輝かせながら暮らすことが「まちづくり」の意味なんじゃないかと最近少し思ったりするのです。

今後に乞うご期待!




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