漫画『コマギレ』 完全大説明会
終
以上、コミティア131で配布した、漫画『コマギレ』より本編5Pでした。
他にも遊びのページ等が少し付け足されている電子版をboothで無料ダウンロード出来るのでよろしくお願いします。有料の製本版もあります。
(追記)
boothで販売していた『コマギレ』の製本版の在庫は引き取ったので、コミティアや何かしらの際に在庫が無くなるまでちまちま売っていきます!
【経緯】
(経緯どうでもいい人は【大説明会】へGO!GO!GO!)
こんにちは。ショルダー肩美です。
具合どうですか?元気だと嬉しいです。ペットとか飼ってますか?良いらしいですね。大切な人、大切にしてください。
今回、この解説を書くに至った理由は、もう、在庫がめっちゃ余ってるからです。その反省と言い訳をさせていただきます。自分の漫画を自分で、漫画の外で説明するのは野暮だなと思うのですが、作品への贖罪と描いていた時の自分への労いとして書かせてもらいます。
この「コマギレ」は、そもそも雑誌で5ページの読み切りを描かせてもらう事になり、自分にとって初めて商業誌に載るという事と、企画的に突飛な漫画を求められていることもあり、どうせなら『紙』であることで成立する漫画を描こうという考えになりました。
結果として「わかりづらい」という理由と、印刷が想定通りに出来ない可能性がある事でボツになり別の漫画が掲載されたのですが、作品の性質上原稿を完成させないとやりたい事が伝わらないので、完成原稿の「コマギレ」が手元に残りました。
その後、コミティア131に参加する事になり、今までに描いた漫画に新作をいくつか足した同人誌を作ろうかと思ったのですが、全然間に合わず、というかほぼ描かなかったので出すものに困り、手元に残っていた「コマギレ」を製本して出すことにしました。
前述の通り、漫画「コマギレ」は『紙』である事で成立するのを前提にしています。ですが、掲載予定だった雑誌には電子版もあるので、紙を使ったギミックがありつつも、5ページの内で普通に読み進めてもストーリーが成立する必要がありました。さらに、そこに手を加える理由とその為の概念を入れ込んだことで要素が多くなり、結果、ややこし意味不読み辛漫画になってしまいました。
なので体感的に割いた労力のわりには反応が返ってこなかった作品なんで、はしたなく曝け出して死ね!という思いで、これより、大説明会、⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯いくよ~
【大説明会】
(説明がわずらわしい奴、【作業】へGO!GO!)
そんじゃ大説明、⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯行くよ〜〜〜〜〜〜〜
「コマギレ」は『紙』で物体であること、右綴じの右開きである必要性があります。電子版だと想定していることが完全にはできないので、製本したものを使って写真で説明していきたいと思います。
・表紙
推理ものということで、少しだけ古畑任三郎をイメージした表紙。
・1p
物語
研究室のような場所でバラバラ事件があり、その犯人を追い詰めるところから本編が始まる。返り血らしきものを浴びている事から博士が被疑者として問い詰められるが、支離滅裂な理屈で罪から逃れようとしている。
補足説明
登場キャラは掲載予定誌が小学館だったのでいいかなと思いコナンに当てはめたのですがまんま過ぎだとさすがになので、コナンの眼鏡をゴーグルにしたり髪型を前後逆にした。他の皆は「っぽさ」だけ。
・2p
物語
凶器がないこと、被害者の素性が分かっていないという疑問点を問いかける博士。頭に箱をかぶった、スク水姿の被害者が一体誰なのかという話になる。実は誰も分かっていなかった。まだ生きている可能性もある。
補足説明
ここで博士が「物事を俯瞰で捉える為」と言い、漫画の枠の外に這い出てくる。それに気づいたゴーグル探偵。
キャラの身体部位の有無と、手足の形に気をつけて描いた。
・3p
物語
「狭間」と博士が呼ぶ、漫画枠の外の次元に博士を追いかけてきたゴーグル探偵。漫画枠の中では、その次元から消えた博士とゴーグルを探し回る一同。すると、ドアの先に培養された人間を見つける。そして何かに気づく。
補足説明
ここでいう「狭間」というのは、漫画の外と中の間にある次元のことを指している。こちら側が漫画の中(2次元)、あちら側が読者や作者がいる現実世界(3次元)で、その中間で両方の次元が存在する事を理解し、漫画枠の外でメタ視点を持つ事ができる場所が「狭間」(とはいえ視点の次元が上がっただけで2人がいる場所はほぼ2次元)。
「神の手の平の上」というのは、漫画は読者が手に持って読むからという意味を含める。
枠が黒いのは、手を加える際にズレが多少生じても許容出来るように、枠線ではなくて全部黒くした。枠が黒いと漫画表現として過去を表すことになるが、この辺から時間軸がグチャグチャなので、過去として捉えてもいいしちょうど良いかと自分を納得させる。
・4p
物語
自分達からは認識出来ない上の次元に存在するものを「神」と呼ぶ博士。そしてその神によって自分達の世界とルールが作られた。枠によってコマが生み出されて時間の概念が出来る。ならば、その概念とルール(枠)を取り払ってしまえば、時を超越して枠の下に隠された真実を映し出す事ができるという。枠のフチに切り取り線を書き込み、ハサミで枠を取り除こうとする博士。(「ハサミ(凶器)持ってんじゃん」というのは自分も後で気づいた。)
補足説明
「枠」の裏面。3pの枠を表側から覗き込んだ裏側だという事。3pと4pは両面で対になってるので3pが表でその裏が4pだと捉えてもらいたい。
漫画の「裏側」なので、プロットというか、漫画を描くにあたり、数々のアイデアがメモされている。コナンがベースにあるので青山剛昌作品のワードがところどころ書かれている(『YAIBA』『キッド 正体』『まじっく(快斗)』『クロバカイト(黒羽快斗)』『名探偵コ○○』『探偵情事(ジョージ)』『文字多い 挿絵』)。その他にも漫画の方向性や愚痴などが書かれている。
枠の向こう側でこちらを見ているのは神(読者や作者)。4ページは裏側で漫画の中側からの視点なので、漫画を見る読者と目が合う。そして、その存在に気づくゴーグル。
枠によって時間経過が〜みたいなのはよく言われてる話だろうけど、私の記憶が確かならば(パプリカを持つ)、漫画家の高野雀さんが子供の頃の原体験として、「1枚の紙に同じ人間を描いたら同じ世界に2人いることになるけどコマで区切ると時間が生まれて感動した」的な事を何かしらで仰ってて、この漫画自体はその話から着想をもらった部分がかなりある。
・5p
物語
博士が枠を取り払って、すべてのコマが繋がり、1つの世界があらわになった。壁のタイルだったものはグリッド線になり、全てのコマを繋げて同一の空間になる。培養液に浸された人間は登場人物達のクローンであり、一同は皆博士によって改造された改造人間だったのだ!(元々そうだったのか、同一空間になった整合性の為にそうなってしまったのかは各々の判断で!)
補足説明
同じ空間で重複しない為か、博士が枠を取り払った時に切られたのか、皆手足が一つずつ切断されている。そして空間の底には、バラバラの被害者が横たわっていた台が吊るされている。バラバラの体がそれぞれの体の一部だった事が示唆される。
再度、「我々は作り物だ」と言う博士。そしてこの世界は『カミ』の作品であり、ルールを破れる者が真実に到達すると。「彼は誰だったのかな?」という博士の問いかけで『つづく』。
ここで一旦のオチ。
分かり辛いけどそれぞれの改造ポイントは、警部の頭が、ボタン押すとスノードーム的なやつに水流が出来てそれで輪投げする玩具になってる。女の子はアンドロイド的なヘッドギアを着けてる。光彦っぽい奴は顔がポリゴンっぽくなってる(ポリ彦)。元太っぽい奴は体がツギハギで、胴体の色が違うのが服っぽく見えるだけでずっと全裸だった。お尻が吹き出しになってる。ゴーグル探偵は生首にジェットが付いててずっと浮遊してた。「ゴゴゴゴ…」の音はジェット音。
「ジャキン」「ギチチ…」「ザッ」などの効果音は、3pでは動作の音になるように、5pでは手足を切断する音に見えてもらえたら嬉しい。「ザワ…ザワ…」から「ザク…ザク…」に変わってもらえたら、これまた嬉しい。
・予備ページ
5pで本編が終わり、ページをめくると予備ページに移る。全く同じ内容の5pが続く。
・折り返し
予備ページが終わると、折り返しのコーンが立ってる。テーブルの上には刃物が並べられている。コロナが騒がれ始めた時期だったのでアルコールジェルも置いて、「手が汚れる前に」の注意札を立ててる。
なので、刃物を用意してからページを折り返してもらいます。
・5p
この世界は『カミ』の作品。「神」と「紙」をかけている。神(作者)が作った紙の作品。
『ヨミガエ』せる者。「読み返す」と「蘇らす」をかけている。言葉としては正しくないけど、その辺はまぁいいじゃないですか。
右から左へ読み進める時間の流れを超越出来る、読み返せるのは読者。
問いかけられているのは「バラバラの人物が誰なのか」。
「つづく」の点はハサミを介して、4pへと向かう。
・4p
「ルールを超越し、『神(紙)』に刃を立てる勇気を持つ者だけが、時(枠、コマ)を切り開き、分離された世界を繋げて、真の姿を映し出す事が出来るのだ!」
反省点としてここでの誘導が弱く、もしかしたら行動に移さなかった方もいるかもしれませんが…
タイトルの『コマギレ』はそのまま『コマ、切れ!」なので
コマを実際に切って頂きます!!!(ヤッターーー!) (マシオカだ!>
【作業】
キリトリ線に沿って、カッターでコマを切り抜いていきます。
切り抜きました。
全部切り抜きました。
GTOで冷たい壁壊した時、鬼塚もこんな気持ちだったかな。
切り抜いたページを5pに重ね合わせると、多少元の3pと違う部分もありますが、開いたり閉じたりたりする事で、「枠あり」「枠なし」を楽しめます。良かったね。(ヤッターーー!) (マシオカだ!>
そして、今はルールを超越して時間を逆行させて読み返しているので、切り抜いたページを2pに重ねると…
手足が繋がって、蘇りました!!ヨッ!
枠の裏に書かれていたメモ書きの文字と、2pのセリフを合わせて読んでいくと
「キット 正体 誰か分かる」「クロ(ー)バ(ー) 空いてる穴から」「何かさし示す物があれば… 読者の手元に」「5p iECE(5ピース)KILL(切る)」「鋭利な刃物で挿(す)絵」「コレ私の『足』だ!」「犯人 誰なんだ?」「まず凶器を手に持って YAIBA それに」の文字が浮かびます。
重ねた枠で「丁」が隠れて、「頁(ページ)の向こう側へ行った求道者?」と「突き抜けた変態でしょ」で、ページの向こう側を意識させることを試みました。名探偵コ○○の「○○」が金玉みたいに見える。
余談ですが、ページの重なりを意識してもらうという建前で、元太格のお尻がある位置の吹き出しは、お尻の形をしてて肛門(✳︎)が付いてます。
「突き刺す 星野サキ(先)」とあるように、血溜まりとスク水とクローバーの茎の部分で星の形になっています。(「心(ハート)に突き刺さるマンガ」で、マークをハートにしても良かったなと後から思いましたが、今さらもう遅く⋯)
なので、文が示唆する通りに、星の先にある穴を突き刺すと…
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