自民党の「もやウィン」のあれは何がおかしいのか【4コマが無茶】
話題沸騰のあの四コマ漫画
自民党が「憲法改正ってなあに?身近に感じる憲法のおはなし」というテーマで「教えて!もやウィン」という四コマ漫画を公開している
この四コマ漫画は第1話から物議をかもして散々批判されたのだが、まあ、それはさておき。第3話がまた大いに叩かれまくって「デマ」とまで言われている。
さて、果たして「デマ」なのか。
結論から言えば、法的な説明としてアウト判定される部分がある。反省しろ自民党。四コマづつにキリ良く無理に収めようとして、大事な部分で雑なことするんじゃないよ。
ただし、これを叩いている連中の中には問題となる部分だけを切りとって、ヒトラーだのスターリンと並べておかしな騒ぎ方をしているのが見受けられる。そういうのはほっておいて。
というわけで実際に漫画を見てみよう
サイトでは『第3話 3つの柱』として一つのページの中に 4コマ漫画×3 が①3つの柱 ②主権と人権 ③平和主義 の順で縦に並んでいる。
(上の画像は第3話の中で、①『3つの柱』②『主権と人権』のみを横に並べたものである。③『平和主義』はとりあえず関係ないので省略)
まず①と②は内容として続いているものだというのを確認して頂きたい。
①は、憲法改正を考えるにあたって、何を変えてはいけないのかを読み手に把握させる内容になっている。その4コマ目では、憲法の原理となる「3つの柱」は「絶対に変えてはいけないと考える」と、ちゃんと強調している。
(´・ω・`)てゆうか、①の2コマ目と3コマ目って無駄すぎやろ。特に3コマ目いらんやろ。
そして①で言及した「絶対に変えてはいけない」「3つの柱」について、②ではそれらが何であるのかの説明が始まる。
「国民主権」「基本的人権の尊重」「平和主義」は絶対に変えてはいけないということが、①からつづけて読めば②の一コマ目でわかるようになっている。ついでにそこに国民主権の説明が詰め込まれてている。
(´・ω・`)4コマづつに分ける必要性がいまいちわからん
そうして②の2コマ目からが「基本的人権の尊重」の話だ。なんと「基本的人権の尊重」がたったの3コマ分で説明。しかも2コマ目なんか「基本的人権の尊重」と挙げただけ。実質たったの2コマ分で説明してる。
(´・ω・`)無茶や
3コマ目を見て頂きたい。基本的人権についてとてもとても重要なことをちゃんと書いているのだ。
「生まれながらにして持っている」「永久に保障する」のだと。ちゃんと言ってるんです自民党は。
(´・ω・`)まあ、言ってあたりまえなんだけどね。
基本的人権は我々が生まれながらにして持っている権利であり永久に保障されるもので、それは絶対に変えてはいけないのだと、①からはじまって②のここまでは、力強く言ってるんです、自民党は。
そして問題の4コマ目
この物議をかもしている4コマ目「つまり、法律にふれたり、人に迷惑をかけない限り自由ってことで…」を読んだみなさん、どうでしょう。
ある人は「そうだね」「なるほどね」とそのまま読み流すでしょう。ある人は「ふざけるな自民党」と激怒するでしょう。
はい。法的な説明としてめっちゃアウトです。ふざけるな自民党。
なぜなら、
「先のコマでも書かれていたように生まれながらにして持っている権利が永久に保障されるはずなのに、なんで?「法律」とか「人に迷惑かけない」が憲法より上なの?おかしい!こわい法律できたら権利めちゃくちゃにされてしまう!」
…ということになり、おもいっきり間違いだから。そういう意味では。
ところで我々って日頃どんな感じで暮らしてます?
わりと多くの人が「法律にふれたり、人に迷惑をかけないでおこう。まあそれ以外はわりとのびのびやっていっていいんじゃないかな?」、そんな緩~い感覚で日頃暮らしていると思う。
じゃあ、なんでそんな緩い感覚で日頃それなりにのびのびやっていけるのかといえば…
(´・ω・`)我が国日本では、憲法でも基本的人権が「侵すことのできない永久の権利」とされているからですよ。
(´・ω・`)我が国日本では、法律よりも憲法が上位だからですよ。
(´・ω・`)法律は、憲法の定める手続きに従ってつくられるからですよ。
(´・ω・`)そうして法律の内容についても憲法に反してはいけないからなのですよ。
つまり、我々をしばる今の法律は(一応)憲法にフィットしているものだ(と考えられる)から「法律にふれない限りのびのびやっていい」とふんわりしたこと思えるのでしょうよ。
(´・ω・`)なお「人に迷惑をかけない限り」という言い方については、おそらく自民党は、権利同士の衝突が調整されるという雰囲気だすためにそういう言い方をしたのだろうけど、憲法の説明としては意味不明過ぎてめっちゃアウト。基本的人権をわかってないと言われてもいいレベル。
そういう意味では、4コマ目の「つまり、法律にふれたり、人に迷惑をかけない限り自由ってことで…」というのは、憲法のもとで暮らしている我々の現状の説明的なものとしてはそうおかしくもない。法的な説明としてはアウトでも。
今の憲法が、基本的人権の保障についてはとてもしっかりしてるから、そして民主主義であるからこそ言えてしまうのだ、日本万歳。
だからこそ自民党はいい加減にしろ
こういう我々が日々あたりまえのように享受していることは、あえて学ばないとそれをはっきりと認識することはとても難しい。だから、物議を醸した②の4コマ目を「そうだね」「なるほどね」とそのまま読み流してしまう人もたくさんいるだろう。
(´・ω・`)あかんて、自民党。この4コマ漫画は憲法改正を考えるための漫画やねんからそれではあかんねんて。
自民党は、善意解釈すれば、わかりやすさを狙って四コマにしているのだろう。だけど難しいことを簡単に説明するというのは、時として池上彰のトークのように危険だ。間違いが混ざっていても知識のないものにはわからない。実はとても重要なことが印象から抜け落ちる。そうしてふんわりとわかった気になってそのふんわりに判断が左右される。あかんのや、それでは。
自民党もこの漫画で書いているように「国民主権」「基本的人権の尊重」「平和主義」は絶対に変えてはいけないのだから、改正後も維持される・・・はずなのだけども、はたして本当に憲法改正案はそうなっているのか。
その難しい作業をできるだけ多くの国民個々人がした上で、改憲に賛同する反対する。
改憲を望んでいる自民党だからこそ、与党だからこそ、反対もしやすいように情報を与えなあかんねんて。力強く反対する国民がいてもなお力強く支持する人々が多かったという状態で改憲されてこそ、改憲後の憲法を国民全体で長く掲げていけるのだから。
自民党は、国民を難しいことがわからない人々と侮るのではなく、難しいことでも咀嚼する人々と信じて、真正面から正しく憲法を説明することに挑め。
(´・ω・`)自民党はいい加減にしろ