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「首都高バトル掲示板」で学んだネチケットを振り返る

先に書いた記事でも少し触れているけど、自分がインターネット上で初めて「文字を通じて他者と交流する」ことを始めるきっかけになったのは、首都高バトルというゲームシリーズのために開設された、企業が公式に管理するネット上の掲示板である。この掲示板は主にゲームに関する情報共有やユーザー同士の交流、シリーズの開発元である元気株式会社の社員の方々との意見交換を主に目的として開設された、今で言うところのSNSのような機能…あるいは、掲示板というシステム自体が現在のツイッターやインスタグラムといった仮想言論空間の原型なのかもしれない。

そんな首都高バトルの公式掲示板、管理する公式側が特に定めたわけではないのだが、意外に「書き込みをする際に知らなければいけない」ルールが、しかも今のネット社会にもある意味通じるであろうものが、諸々存在していたので紹介していこうと思う。

①自己紹介の場にしてはいけない

掲示板では自己紹介だけの書き込みは、基本的に好意的に見られない印象が強かった。というより、そこから話がつながることが少ないのもあるし、スレッドを乱用しているという印象を持たれる故のことだと思う。あくまで、情報共有の場であるというユーザー間の共通認識を前提としているので、仮に掲示板デビューをしたい場合は、何かしらの話題作りか口述の「質問」を含めなければ、歓迎されにくかったことは否めない。

ただ、例外として「自己紹介スレット」が作成されていれば、そこに自己紹介を記載して仲間入りすることはできたので、完全な「一見さんお断り」的な空気が漂っていたわけではない。

②同じ質問を繰り返してはいけない



これは、今でいう「ググレカス」のような…先に該当の質問がないかを確認の上で書き込みを行うルールは公式からも規定されていて、恐らくスレッドの乱発を防ぐ意図だったのだろうけど…仮に確認せずに既出の質問を繰り返してしまうと、他のユーザーから時にやんわりと注意を受けたり、あるいは何度も繰り返してしまうとかなり厳しい姿勢で批判や叱責されることも…(現在のような炎上騒ぎにはならなかったが…)。

ただ「質問」という形式は掲示板という場に参画しやすかったので、自分もうろ覚えではあるが…難しすぎず簡単すぎず、しかも既出でない「誰かが答えてくれそうな質問」で、軽い自己紹介を交えて参加した記憶はある。もちろん、質問の際にも「〇〇ってしってる?おしえて」みたいな軽いノリや「これって何?」的なクソリプ系はNGで、必ず新参者なら「はじめまして」といった挨拶は勿論、(語法の正しさ云々ではなく誠意的な面で)丁寧な言葉遣いと敬語は大前提とされていた。

尚、アンケートを目的としたスレッドは原則禁止されていなかったと思うので、例えば「好きな車は何ですか?」とか、そういう他愛のない話題なら歓迎されやすかったように思う。それもまぁ、もちろん「既出でない話題」に限るのだけれど…(汗)

③個人間のやり取りでスレットをみだりに増やしてはいけない



あくまで情報共有の場なので、個人の交流の場としてスレッドを増やしてしまうことはタブーとされていた(公式もご遠慮ください的に通知していたかも…)そうはいっても、ユーザー同士で盛り上がってしまうと、スレッドや掲示板自体の私物化が発生してしまうことも…当事者とユーザーとのトラブルの原因としても、この手のスレッドの乱用や個人利用が起因するものは結構多かった印象を受ける。

④未成年であっても大人の礼節をもって



これは今日のインターネット上では驚くほどに崩壊しているように思えるが、当時は子供だろうが未成年だろうが大人だろうが、「敬語」が大前提の世界だったので、タメ語でやり取りしようものなら無礼だと塩対応や相手方の不快につながってしまう位、礼儀作法に関する暗黙のルールみたいなものは、割と厳しかった印象がある。

ちなみに、この時に様々な言葉や文章のマナーを知らずのうちに身に着けていた故に、高校でも大学でも、あるいは大卒6年後に社会復帰する職場においても…言葉遣いで目上の人にお叱りを受けることはほとんどなかった…はず(笑)

⑤首都高バトルに関係のない話題は原則NG



これは上記の③の事例にも共通するけど、あくまで「ゲームの情報共有」のための掲示板なので、雑談なども原則禁止されていた…のだけれど、ゲームの話題とは別に「雑談掲示板」というものが設置されていたので、こちらで様々な話題を共有する形での交流を持つこともできた。

この「雑談掲示板」で自分も初期の頃に一度、良心的なユーザーの方に対して非礼をやらかしてしまっている。F1の話題で盛り上がるスレッドを見つけたので、自分もF1の話題に便乗して

「ハッキネン、ありがとう!」

というタイトルで、当時のF1での推しであったジャック・ヴィルヌーブの表彰台が、チャンピオンのミカ・ハッキネンの不運なリタイヤで実現したことを「彼のリタイヤのおかげで表彰台!ありがとう!」というノリで、悪意は全くないのだが…中坊の世間知らず故の配慮のない投稿をしてしまい、これがハッキネンファンの方にひどく不快な思いをさせてしまうことに…(汗)

まぁ、自分が100%悪いので丁重に謝罪させて頂き、その場は丸く収まったのだけれど、そういう「他者からどう見られるのか」ってのをきっちり意識するようになったのも、インターネットで学んだことなんだよね…。近年話題の「炎上」ってのはこの手の失敗が殆どなのだと思う。

そんなルールを時に痛みの経験で学びながらも、首都高バトル掲示板は自分にとって次第に居心地のいい場所となり、気が付けば学校帰りに毎回必ずと言っていいほど訪れるほどに入り浸っていた記憶がある。一方で、公式掲示板では対個人の交流の場としては制約と限界もあったので、ユーザー自身がホームページを開設し、併設される掲示板で自由に交流を楽しむような傾向も増えていったように思える。

先の記事で触れた「15歳の86乗り」さんのHPでは、まさに若年層のユーザーの交流の場としての掲示板が非常に盛り上がり、その掲示板を通じて他のユーザーのサイトに遊びに行ったりと、まるで友達の家に遊びに行ってそのまま次の家に遊びに行くような、そういう楽しみの場が画面を通じて広がっていたように感じられたので、それはもう居心地は非常に良かったし、あんな体験は今のネット空間では難しいだろうと思うほど、貴重な仮想空間であったと思う…。

もちろん、いいことばかりというわけでもない。先に触れたようにユーザー同士のトラブルにも遭遇したし、時にルールを無視し続けた結果として、大きなトラブルに発展しかねないようなこともあった。当時は既に2ちゃんねるも開設されていたので、冷笑系的なユーザーが荒らしに来ることも…俺も一度だけ、名無し君にやんわり冷笑されたことがある(笑)

まぁ、それでもネットの世界は自分にとって趣味を曝け出せる空間であったので、本当に居心地は良かったうえに、心の隙間を埋めてくれた大切な空間でもあった。もちろん、それも最低限のネチケットを前提とした交流の姿勢があってこそ…。





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