見出し画像

Ridge Racer Type 4 ~リッジレーサーの世界に”物語”が生まれた作品~

※書影等の関係もあるので、タイトル画像は以前自身が撮影したものになります。ちなみに画像のF1マシン、鈴木亜久里氏が日本人としてF1チームのオーナーとして戦った「スーパーアグリF1」の車…ドライバーはインディ500を2度制覇したサムライ「佐藤琢磨」。このチームには本当にいろいろなドラマがあったよね…。

リッジレーサーといえば、ドリフトと街中を疾走する爽快感…ある意味、非現実的なレーシングイベントを疑似体験できる最高のレースゲームだと思うんだけど、その中でも傑作だと思っているのが

「リッジレーサータイプ4」

前作「レイジレーサー(クリスマスプレゼントだったのも懐かしい…)」でも、グランツーリスモ的な自動車(レーシングカー)を所有し改造していく要素を取り入れて、新しい形のシリーズ作品となったと思うんだけど…次のタイプ4では自身が駆け出しのレーサーとなり、4つのチームのうち1つでキャリアを積んで成長していくという…シリーズで初めて、ストーリー要素のある作品となり、現在も多くのファンを持つ名作…

個人的に、リッジレーサーシリーズで一番衝撃的だった作品だと思うし、ある意味「全力で推したいゲーム」だと思う。何が素晴らしいって、4つのチームの代表者として出てくる監督やチームオーナー、そしてチームマネージャーも…それぞれ個性的に、かつ人間味豊かに描かれていて、ゴールする順位によってシナリオに変化が起きるのは勿論だけど、プレイヤーに向けての感情が変化していくような描写も端的ながら、非常にわかりやすく人間味あふれていて…。

4つのチーム間でもそれぞれドラマがあって、例えば一番の強豪「ソルバルウ(イタリア系チーム、名前はナムコのシューティングゲームから)」レーシングの監督はエンキ・ジルベルトという名ドライバーで頑固ジジイなんだけど、若手のレーサーだった息子ジュリアーノをチームの同士討ちの事故で亡くして、その事故の原因ともなった元チームメートが、ゲーム内の新興ライバルチームの「パックレーシング(日本のチーム、「パックマン」由来で、その生みの親ナムコがメインスポンサー)」の日本人監督の矢崎信次という人物で、複雑な感情を抱いているという…中々ドラマティックな感じだよね。

エンキ・ジルベルトは日本で言うところのヘルムート・マルコ博士(レッドブルレーシングの責任者、文字通りF1ホンダにとっての「オヤジさん」)に近いのかなって思うけど、このエンキのオヤジが作品内の登場人物でも特にエモいんだよね…成績を挙げるごとに、どんどん主人公にかつての息子の姿を重ねて感情移入してくるというか…なんか、一緒に戦ってる気持ちになってくるんだよね(笑)

一方のかつての事故の遠因となった矢崎は口は悪いが面倒見はいい、要するに江戸っ子気質の印象で、↑のジュリアーノとは親友で事故に負い目を抱えていながらも、チームとしても勝利を重ねるごとに親友との約束を思い出し、こらえきれない感情をあらわにするような人間味ある一面もあって…この2つのチームの代表者はある意味「一人の若いドライバーの死」から物語が違う形ながらも素晴らしく発展していく感じで…小学生ながらに、ストーリーの完成度に感激したよね…。

他に、かつては↑のジルベルトも所属し超強豪だったが、現在は無能なオーナーのせいで低迷してジリ貧最下位の「ディグレーシング(アメリカのチーム…ディグダグからの名前だけど、今思えば「墓穴」って解釈も…うわぁ/汗)」の再建を任されるロバート・クリスマン、彼のエピソードは勝利を重ねるごとに状況が好転するわけではなく、むしろ苦悩とフラストレーションに苛まれる形なんだけど…この方のストーリーもすごくよかった。ある意味、ナムコのスタッフの方も日本のサラリーマン向けに、この方を登場させたんじゃないかって位…(笑)

個人的にこの方…ロバートさんが一番好きだったなぁ…。多分、プレイヤーも一番この方に思いを寄せることができるような、要するに真面目で人と仕事をすることに真摯だから、一緒に勝利を重ねていきたいと思えるような人柄なんだよね。だから、プレイヤーとしてはその後のストーリーとして、彼と新規チームを立ち上げてレースの舞台に立つ…っていうのも思い描いちゃって…どうなんだろ、今だったら「セガソニック」みたいな形で思わぬコラボなんてのも…!?(笑)

そして、突如フランス系中堅「マイクロマウスマッピー」のチームオーナーを任された24歳の若い女性ソフィ・シュバリエ…ゲームに慣れない序盤ではこのチームのマシンを使うことになると思うんだけど(端的に言えば、曲がりやすい車の設定のため)この女性オーナーのストーリーも中々ぶっ飛んでて…まず、(家族運営で引き継いだため)レースのことが分からないので現場のことはベテラン監督のドナルドに任せっきり、しかも父親から今年チャンピオンを獲得できなければ「結婚」させられるっていう…ええ!?(笑)

とはいえ、この方も主人公が優勝を重ねていくにつれて…オーナーとしての自覚が生まれてくるのである意味主人公と共に成長していく、のも確かなんだけど…ある種の恋愛シミュレーションみたいになってきて、実際主人公の設定は特にないのだけれど、仮に若手のルーキーだと仮定するなら…一種姉さん女房的な展開というのかな…疑似恋愛的なエンディングで、恋心もくすぐる…のかは分からないけど(笑)こちらも中々興味深いストーリーだったなぁと思う。

なんだろう、今の作品に触れているわけではないので比較はできないけど、凄くこの時期のゲームってある意味小説や映画の次を担うメディアとして注目されていたこともあって、ストーリーや登場人物にもこだわりを感じるし、本気でそうした位置を目指していたんだなと感じるんだよね…。確か、天外魔境シリーズの広井王子氏も、そうした作品作りを心掛けていたというし…。グラフィックこそ現在のゲームには劣るけど、エフェクトのかけ方や車のライトの残像が残る演出も含め…本当にシャレてるんだよなぁ。

確かにリメイクや続編ってのも凄く興味深いけど、あえて当時のプレイステーションの実力を存分に活かした作品のまま、シリーズの最高傑作として残ることも…今では意義あることなのかなと感じる。それ位完成度の高い作品だし、本当にファンの方も多い愛されているゲームだと思うんで…。

改めて、4つのドラマが楽しめるリッジレーサー…やっぱり、当時も今も凄く斬新だと思うし、この作品のインパクトってグランツーリスモが登場した時に匹敵すると思う。オフィシャルファンブックも架空の広告を織り交ぜたりシャレがふんだんに盛り込まれてて、読んでるだけでもすごく楽しいし、何より…サウンドトラックも本当に秀逸。

こちらはスーパースイープより発売されているリミックス+オリジナル音楽を収録した記念アルバムで、現在も手に入るのでご興味のある方はぜひ…!(アマゾンでも買えます)

余談ですが、ジャケットに映る女性は「永瀬麗子」さんという、リッジシリーズではおなじみの…。確か、次の作品で一度「深水藍」さんという女性に交代するのも懐かしい…けど、あまりに人気すぎて永瀬さんが戻ってきたんだよなぁ…(笑)あの、オープニング映像も凄く懐かしいね…気になった方はググってみてください(笑)


#全力で推したいゲーム

この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?